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米国証券取引委員会(SEC)の気候関連情報開示に関する規則案について
2023年07月14日
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米国証券取引委員会(SEC)は、気候関連情報を開示する方法を標準化するための規則案を公表しています。この規則案は、米国市場に上場している企業に対し、自社の事業が気候関連リスクをどのように評価、測定、管理しているかを、毎年開示することを求めるものです。
開示対象には、気候関連リスク評価に役立つ指標となる温室効果ガス(GHG)排出量の開示も含まれています。
この規則案は、投資家向けの気候関連の開示を標準化するものであり、投資家はこの規則により、投資先組織の気候関連リスクの分析・評価、事業運営や財務状況への潜在的な影響を明らかにすることができます。
SECの気候変動開示規則案が重要な理由
この規則案は、気候変動関連の開示要件を標準化する、近年の世界的な取り組みと連動した時宜に適ったものです。
すでに多くの企業がサステナビリティレポートなどを通じてGHG排出量を開示していますが、同じ業界に属していても、企業ごとにその報告方法に相違があります。
SECの規則提案は、排出量報告方法の一致を図り、株主、投資家、一般市民にデータの比較可能性と透明性を提供することを目的としています。
この規則案の適用が開始されれば、GHG排出量をこれまで報告していなかった企業にも報告義務が科されるようになり、ポートフォリオ・マネージャーにとっての気候関連リスクの重要性が高まります。
他の地域でも、このような義務付けが排出量削減に大きな影響を与えることが証明されています。
オーストラリアでは、2007年に国内報告ガイドラインNGER(National Greenhouse and Energy Reporting)法が導入され、現在では数百の登録企業がエネルギーの生産、消費、GHG排出量を報告しています。
英国も2023年、イギリス上場企業や金融機関に排出量の開示を義務付ける計画を立てており、欧州連合は2024年から、欧州証券市場に上場しているすべての大企業に排出量の報告を義務付けるとしています。
SEC規則が制定された場合の影響
SECが提案した気候変動開示規則は、米国市場に上場している大手企業を対象としています。規則案は、小規模報告会社についてのスコープ3排出量報告に関する開示免除を含む、ある程度の柔軟性を含むものとなっています。
SECの気候関連提案の要求事項
SECの提案は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の既存の提言に沿ったものとなっており、規則改正案は、組織に対し、以下のような特定の気候関連情報を開示することを求めるものです:
- 温室効果ガス(GHG)排出量: スコープ1、2、3(監査可能な基準で報告されたもの)
- 気候変動に関連するリスク、影響、目標、ゴールなど
- カーボンオフセットや再生可能エネルギー証書(RECs)の体系的な管理
- 移行計画の策定・管理
- TCFDに準拠した金融機関対応レベルの正確性や網羅性を担保した報告
SEC規則提案の次フェーズ
規則案がSECのウェブサイトで公表された後、広範なパブリックコメント期間が設けられました。SECは意見募集の結果を踏まえ最終規則案を策定し、委員による投票・承認により施行を決定する予定です。
SECはファクトシートの中で、新しい規則は数年かけて段階的に導入されると述べています。規模の大きな企業では、2023年会計年度から気候変動リスクの開示を開始する必要があり、その他の企業も2024年会計年度までに開始となる見込みです。
Enviziは、SECの気候変動開示に関する提案が協議段階を経て、最終規則案となるまで、あるいは追加発表がなされるまでの間、その動向を注意深く見守り続けていきます。
SEC規則案にも適応。その他各種ESG報告義務を満たすEnvizi
クラウドベースのESGデータ管理/ESGレポーティング・プラットフォーム「IBM Envizi ESG Suite」は、GHGプロトコルに基づく監査可能なシングル・ソースのESGデータ管理・分析ソリューションです。
2022年3月に発表された上記SECの規則案にも適応し、その他各種の厳しいESG報告義務を満たすことを支援します。
以下、Enviziのポイントをいくつかご紹介します。
・ スコープ1および2排出量の開示
Enviziの「温室効果ガス排出量スコープ1、2 算定・報告」モジュールは、さまざまな情報源からの自動データ取得、GHGプロトコルに基づいて構築された組み込みの排出量計算エンジン、カスタム排出係数の取得、マーケット基準の排出量計算管理を実施できます。
Enviziは、SECの要件を満たすよう、Scope1,2それぞれのGHG排出量の内訳および総量を、絶対量および原単位(経済価値単位または生産単位あたり)で開示します。
・ スコープ3排出量の開示
Enviziの「温室効果ガス排出量スコープ3 算定・報告」モジュールは、上流および下流のGHG排出量データの取得と管理を可能にし、堅牢な分析エンジンを使用して排出量を自動で管理・計算します。
バリューチェーンのサプライヤー、データタイプ、強度、その他のメトリクスによって排出量を分類し、監査対応・追跡可能なソース・データを提供します。
・ 気候関連のリスクと影響
Enviziの「ESGレポーティング・フレームワーク」モジュールは、開示レポート作成に必要な担当者、作成プロセス、各種ESGフレームワーク、サポートドキュメントを管理します:
- 気候変動リスクや影響に関する開示
- 気候関連のリスクや影響の評価に関連するガバナンスに関する開示
・ カーボンオフセットと再生可能エネルギー証書の管理
カーボンオフセットや再生可能エネルギー証書(RECs)を使用した場合、カーボンオフセットによる炭素削減量やRECxによる再生可能エネルギー発電量などを含む情報を、Envizi上で管理することができます。
・ TCFDとの整合性
Enviziの「ESGレポーティング・フレームワーク」モジュールには、TCFD、SASB、GRIなどのフレームワークに沿ったテンプレートがあらかじめ用意されており、SEC開示の管理基準として利用することができます。
Enviziは、SECによる開示規則案が確定した時点で、他のフレームワークの特定の開示にリンクし、整合性の取れた標準SEC開示テンプレートを作成し、複数フレームワークへの開示を合理化します。
・ シナリオ分析
Enviziの「サステナビリティー・プログラム追跡」モジュールは、サステナビリティー・プロジェクトや効率化プログラムの追跡・管理や、目標達成のためのプロジェクト・ポートフォリオの定義、実施したプロジェクトが削減したコストやGHG排出量の検証およびシナリオ分析を行う機能を有しています。
当記事は『SEC’s climate disclosure rule proposal explained』を編集したものです。
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