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IBMが描く未来の労働者の安全 – 産業用IoT界のイノベーターと共に

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■ 従業員の安全をどう守るのか

米国安全性評議会は、毎年2万人以上の参加者が集まる恒例のコンベンションをカリフォルニア州サンディエゴで先日開催しました。このコンベンションは世界最大規模の健康と環境に関する会議であり、労働安全衛生市場に数十億ドルのサービスを提供するものです。

今年、IBM Maximoチームは、多くの産業用IoT界のパートナー企業を招き、彼らと共に未来のスマートワーク — 労働者の安全と生産性 — についてセッションを行いました。

 

現場作業監督、倉庫管理者など、現場の安全管理担当者は大きな困難に直面しています。従業員の安全をしっかりと守りながら業務効率を向上させ、さらにコスト削減を実現しなければならないのです。

多くの担当者は、IoTデータとそこから得る洞察が、困難な課題に取り組むための重要な鍵だということを知っています。この記事では、米国安全性評議会のコンベンションで、産業用IoT界のイノベーターたちとのセッションにて会話した内容を、いくつかご紹介させていただきます。

 

■ ジェイソン・リー氏 – SmartCone Technologies社、創業者

「現場で働く従業員が、テクノロジーやシステムの導入に煩わされないようにしたいのです。」

SmartCone Technologies社の創業者、ジェイソン・リー氏はそう言います。

同社は、労働環境をより安全にするためのセンサー・ゲートウェイ・ソリューションを企業や行政機関に提供しており、その革新的な製品は従来技術を代替することでコストを約3分の1にし、現在急速に市場を広げています。

 

同社の「Click IoTモジュール組立システム」を用いれば、LiDARや画像認識、RFIDや音声システムなど、現場のニーズに応じて必要な機能を組み合わせたスマートコーン(センサー群を備えた安全監視ツール)を簡単に構築できます。

そして900MhzのLoRaWanやWi-Fi、BluetoothやMQTTなどの中から状況に相応しい通信プロトコルを用い、あらゆるセンサーデータを同一プラットフォームへと送ります。

そしてエッジコンピューティングとスマートアセット管理ソフトウェアを備えたIBM Maximoが、柔軟なハードウェアプラットフォームを提供しています。

 

情報と人間に優しい技術を提供し、技術者が最優先される世界を作り出すことが同社の最終目標だとジェイソン・リー氏は言います。

「私たちは技術者の未来について真剣に考えています。もし私が作業現場を指揮する企業の社長や現場監督だったら、従業員たちにテクノロジーやシステムのことに気を取られて欲しくはありません。彼らには効率性と安全を考えて欲しいのです。私たちはここ10年にわたり、この考えを形にしてきたのです。」

 

複雑なテクノロジーは効率性も安全性も作業員に提供しない、データが真の意味を発揮するのは、保管やトラッキング、レポートに用いられるときではなく、従業員に安全を提供したときだとジェイソン・リー氏は言います。

「必要なのは、情報と人間に優しい技術であり、スマートコーンとIBM Maximoのペアのような包括的なソリューションこそが、技術者の未来なのです。」ジェイソン・リー氏は最後にそう断言しました。

 

■ ディーン・ウィラード氏 – Willard IoT社、共同創業者

産業、医療、航空宇宙分野の未公開企業で働いていたディーン・ウィラード氏は、非常口誘導サインにユニークなチャンスがあることに気づき、自身の娘であるエミリー氏と共同でWillard IoT社を創業しました。

同社はARROW社とIBMと協力し、音響センサー、カメラ、その他の技術を用いて自動化を実現し、医療施設や病院などの厳しい規制のある施設のコンプライアンス遵守を支援する、革新的なスマート非常口サインを開発しました。

一例を挙げると、RFIDトラッキングシステムを用いることで患者や医療労働者、医療機器の現在位置を確認し、より安全で効率的な環境を提供しています。

 

医療分野は規制の厳しい産業であり、日々の安全コンプライアンス遵守には膨大な労力が必要とされます。しかしそれが人々の命や安全性を守っているのです。

医療施設内には、約450個の生命安全装置があります。それらの位置だけではなく機器の状態や使用履歴まで管理することで運用効率を高めることができ、それが人命や安全を守ることにつながっているのです。

例えば、ナースコールのシステムも、患者の呼び出しの緊急性や根拠を判断して適切なスタッフ配置を実現できれば、人々に大きな意味をもたらす改善となるのです。

 

より良い技術は、技術者をより良く活かすのです。

Willard IoT社は、IBM Maximoを活用してそれを実現しています。その結果、施設のコンプライアンス遵守と満足度、そして精度を高めています。

 

■ マーク・バーンスタイン氏 – Wearable Technologies社、創業者兼CEO

Wearable Technologies社を5年前に創業したマーク・バーンスタイン氏は、ウェアラブルセンサーから送られるデータを通じて現場とオフィスをつなぎ、作業員にさらなる安全を提供することが自らの使命だと言います。

同社のスマートPPE(Personal Protective Equipment: 個人用保護具)「Eleksen」は、石油およびガス、建設、輸送、海運業界などの産業労働者に多くの利点をもたらすウェアラブル型のハブで、あらゆるハードウェア機器とペアリングできます。

 

例えばガスを用いる作業現場であれば、センサーはデータを通じて誰がどの機器をどこでどのようにそれを使用しているのかをリアルタイムに報告します。

他にも、センサーはガスの発生や騒音、位置情報や環境要因を常に監視してデータを取得し、2Gや4G、あるいはさまざまな通信ネットワーク用いてリアルタイムにEleksenに送り、作業者の安全状況を正確に把握して管理スタッフに伝えます。

そしてIBM Maximo Worker Insightsは、データを駆使して予測分析を実施し、個々の従業員ごと、作業ごと、そして現場で起きていることに合わせて安全を提供します。いわば、テクノロジーが頭の先からつま先まで作業者の安全性を守り、生産性を高めているのです。

 

マーク・バーンスタイン氏は、以下のように予測しています。

ロボティクスやオートメーションというトレンドがそのスピードを緩めることは、今後もないだろうし、間違いなく未来の作業員はAR(拡張現実)やデジタル・ツイン(デジタル空間上に作成された、物理空間に存在しているものの双子)を用いるであろうし、それらはより低コストで、労働者の生産性と安全性の水準を高めていくだろうと。

さらに、将来の技術者はより専門的になり、ロボットと作業を分担するようになるかもしれないとも。言っています。

 

 

■ IBM Maximoの重要な役割り

あらゆる業界における労働職場の安全性と作業効率の向上に、IBMは真剣に取り組んでいます。

IBM Maximo Worker Insightsは、ウェアラブル・センサーと環境センサーからのデータを分析して危険を予測し、労働現場の安全を実現します。

IBM Maximo APM – Asset Health Insights(AHI)は、データを駆使して物理的な資産の正常性をスコアリングし、設備の故障や障害リスクを軽減します。

 

IBMは、健康、安全、環境の世界トップクラスの専門家と共に、それらをさらに前進させるための新たなツールや機能の開発に取り組み続けています。

労働職場の安全性と生産性の向上に、IBM Maximoの活用をぜひご検討ください。

 

問い合わせ情報

お問い合わせやご相談は、Congitive Applications事業 にご連絡ください。

 

関連ソリューション: 戦略的企業資産管理(IBM Maximo)

 

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当記事は、Ensuring worker safety for the technician of the futureを抄訳し、日本向けにリライトしたものです。

 

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