IBM Partner Ecosystem
「IBM Partner Plus Global Award」優勝を果たした、人事向けソリューション評価版がついに提供開始
2024年11月01日
カテゴリー IBM Partner Ecosystem
記事をシェアする:
「素晴らしいエンジニアを見つけられるか否か。日本ではそれが最も大きな課題となっています。特に、我々のような中堅・中小企業にとっては、それが会社の命運を握っていると言っても過言ではありません。この最重要課題の解決策を、私たちは自らの経験と強みを活かして創り上げました。それが人材発掘SaaSソリューション『RecoTalent(レコタレント)』です。」
そう語るのは、2024年、「IBM Partner Plus Global Award」*を受賞した世界6社のうちの1社であり、唯一の日本企業であったシルバーエッグ・テクノロジー株式会社(以下「シルバーエッグ」)の代表取締役社長&CEO、トーマス・フォーリー氏です。
参考 | 2024年3月26日公開 日本IBMニュースリリース「2024 IBMパートナー・プラス・アワードの日本での受賞企業を発表」
今回、シルバーエッグのフォーリー氏と同社チーフ・ストラテジストの水上翔太氏に、フリートライアルできる評価版が発表されたばかりのRecoTalentについてお話を伺いました。
RecoTalent評価版 はこちらから
目次
- 「優秀なエンジニアが見つからない…」中堅・中小企業の採用担当者の悩み
- 人材発掘SaaSソリューション「RecoTalent」とは
- ソリューション完成の源泉は、優秀な採用担当者の存在
- RecoTalentの未来と倫理的で責任あるAI
● 「優秀なエンジニアが見つからない…」中堅・中小企業の採用担当者の悩み
「転職サイトの掲載求人数は増え続けているものの、登録会員数は頭打ちで変わっていません。ですから、企業が直接求職者にアプローチする『ダイレクトリクルーティング』市場が2ケタ成長を続けているのも、道理かと思います。
ただ、ダイレクトリクールティングも競争は激しさを増す一方ですし、これまでのやり方ではうまくいかないケースも増えています。採用活動に関わる方たちは皆、ここ数年で一層難易度が高まっていると感じていらっしゃるでしょう。ましてや探しているのが優秀なエンジニアとなれば……。」
エンジニア採用の現状を説明する水上氏に続き、フォーリーCEOは言います。
「特に日本のエンジニアは、転職に消極的です。いい話があれば聞いてみたいと思いつつも、自分から積極的に転職活動をしない傾向がありますよね。つまり、優秀なエンジニア人材とそれを求める企業のマッチングが上手くいっていません。
かたや経済の中心は、すでにサービスに移行しています。ですから企業成功の鍵は、素晴らしいサービスの中核となるエクセレントなアプリケーション開発を行えるかどうかにかかっているのです。
私たちシルバーエッグは、そうした採用担当者のお悩みを解決したいのです。特に、コスト制約の大きい、中堅・中小企業の採用担当者のお悩みです。」
● 人材発掘SaaSソリューション「RecoTalent」とは
採用担当者のお悩みを解決する人材発掘SaaSソリューション「RecoTalent」とは、一体どういったものなのでしょうか。
「手短に言えば、AIを活用した優秀なエンジニア採用支援プラットフォームとなります。
一番のポイントは、求めている人材を浮かび上がらせ、スクリーニングし、しっかりと返答をいただけるスカウトメール作成まで、リクルーティング活動の一連の流れを支援するものだということです。」
フォーリーCEOの言葉を受け、RecoTalentならではの特長を、水上氏が実際の画面を表示しながら説明してくれました。
- 多くの優秀なエンジニアが登録・活用しているGitHubを人材リソースのプールとして活用していること
- エンジニアリングに縁遠い採用担当者にもわかりやすく、探しているスキルを持ち、転職に興味を示している候補者を見つけやすいインターフェース
- エンジニアが公開している開発経験やコードを読み解き、候補者それぞれにパーソナライズされたスカウトメールのドラフト作成機能
「特に強調したいのは、パーソナライゼーション技術をベースとした“NO SPAM”戦略です。私たちシルバーエッグは、これまでECや旅行、賃貸住宅など幅広い事業を対象とした、ユーザーに合わせた商品やコンテンツを表示・提案するレコメンドエンジンを高く評価いただき成長してきた企業です。そして成功の鍵は『相手のニーズをどれだけ理解しているか』でした。
今回の人材発掘ソリューション『RecoTalent』では、もう一つ、『相手の経験をどれだけ理解した上でコンタクトしているのか』を伝えることが重要です。
ダイレクトリクルーティングにおいては『同じ内容で多数の相手に送っているんだろうな』と思われてしまうメールではSPAMと判断され、内容をしっかり読んで返信しようという気を起こさせませんから。」
フォーリーCEOの言葉に、再び水上氏が続けます。
「RecoTalentは、GitHubに公開されている情報を元に、相手のどんなスキルや経験を元にリクルーターがコンタクトしているのかが分かるメールドラフトを作成します。もちろん対象とするのは採用コンタクトを許可しているGitHubユーザーのみです。
実は今回、優れたソリューションが構築できた理由が2つあると思っています。
1つは、私たちのクライアントに求人・人事関係が多く、業界の傾向やお悩みのディテールまで深く理解していたこと。そしてもう1つは、当社のリクルーターの存在です。」
● ソリューション完成の源泉は、優秀な採用担当者の存在
シルバーエッグのリクルーター(採用担当者)が、RecoTalentの開発に何をもたらしたのか、水上氏が説明してくれました。
「実は当社のリクルーターも、自らGitHubを駆使して優秀なエンジニアを探していたのです。
その活動の中で、一般的な採用担当者にとってはGitHubでの人材発掘の難易度がかなり高く、必要以上に時間がかかってしまうことに気づき、大きな可能性があることをRecoTalent開発チームに伝えてくれました。
そこからは開発プロセスにも参画してもらい、試行とフィードバックを繰り返して一緒にソリューションを育ててくれました。
フォーリーCEOは、その開発プロセスをこう振り返ります。
「できるだけ顧客に近いところでソリューション開発を行うというのは、良いソリューションを作るのには欠かせいないものです。そして私はIT業界に長くいますので、自社がファーストユーザーとなる重要性はよくよく理解しています。
事実、当社のリクルーターは、ソリューション開発の根幹にもかかわる、大きな転機をもたらしてくれました。
当初、私たちは『いかに優秀なエンジニアから応募してもらうか。そしていかにその履歴書を迅速かつ公正に評価し、将来性の高い応募者を見つけ出すか』に注力していました。
しかし、リクルーターの経験とニーズを市場の課題と照らし合わせていく中で、むしろ、コミュニティーに存在しているエンジニアの中から自社に適した人材を見つけ出し、最適な形でコンタクトすることに注力すべきだと気がついたのです。」
「また、同時に、リクルーターからは『AIだけにすべてを任せられるものでもないし、そうすべきでもない』ということも学びました。
効率性が求められる部分はAIがやった方がいいでしょう。しかし『人間ならでは』の部分も間違いなく存在します。そこに注力してもらう方が、皆がしあわせになれますよね。
また、人間とAIの共創が大切なように、どの企業のどういった技術と共創するかも大切です。お客様に安心してもらえることは当然ですが、提供する私たちも安全性に万全の自信を持ってお勧めしたいですから。
RecoTalentの基盤が、セキュリティーやプライバシーの観点で最も信頼性が高く、日本のビジネス環境に適するようデザインされた生成AI開発基盤IBM watsonx.aiであることの意味は大きいですね。」水上氏はそう語ります。
● RecoTalentの未来と倫理的で責任あるAI
「私のAIとの関わりは1980年代、当時最先端のAIと呼ばれていた、エキスパートシステムの開発エンジニアとして 、DEC(Digital Equipment Corporation)社に勤務していた頃までさかのぼります。
そこからシルバーエッグを起業し、AIテクノロジーの開発を続けてきたわけですが……。実はここ数年の、生成AI界隈の隆盛な動きを見ていると、不安を感じずにはいられません。
私たちは、より良くより自由な社会と、人類の可能性を広げるためのAIを作ろうとしてきたはずなのに、社会や他者を操作したり支配したりしようとする、誤った方向へと進んでしまってはいないでしょうか。
だからこそ、私たちはAIのガーディアンのような存在として、AI倫理性にコミットメントをしているIBMとのパートナーシップを深め、ビジネスを行っていきたいのです。
長期的に考えれば、それこそがビジネスと経済を、ひいては社会を望ましいものへと発展させて行くものであると、私は信じていますから。」
フォーリーCEOはそう話すと、最後にRecoTalentの未来についても触れました。
「具体的な計画はまだありませんが、RecoTalentもいずれは日本のエンジニア市場だけではなく、より幅広い領域で展開したいと思っています。より大きな機会に恵まれることで、可能性をより大きく広げられる人材がこの国にはたくさんいるのですから。」
* Partner Plus Global Awardとは
パートナーシップを通じてビジネスを成長させ業界を変革し、新たな価値を創造するパートナーの皆様を表彰する年次表彰プログラムです。IBMのテクノロジーを活用してお客様に素晴らしい価値をもたらしたプロジェクトを自薦でパートナー様が応募いただき、応募社名や地域名を匿名化した上で、IBMの専門家および第三者の専門家が5つの評価軸(専門性、パートナーシップ、ビジネスへの影響、イノベーション、ストーリーテリング)にて公平に審査を行います。
シルバーエッグ・テクノロジー株式会社は2024年開催のPartner Plus AwardのDigital Labor部門にてグローバルアワードを受賞され、5月にボストンで開催されたThink2024にて表彰されました。
企業情報
シルバーエッグ・テクノロジー株式会社
シルバーエッグ・テクノロジーは、企業がリアルタイム・パーソナライゼーションを顧客に提供することを可能にする、AIベースのウェブ・マーケティング・クラウド・サービスを研究・開発する、20年以上の経験を持つテクノロジー企業です。東京証券取引所グロース市場に上場しています。
関連IBMソリューション
IBM watsonx.ai:AI開発スタジオ
TEXT 八木橋パチ
この記事を読んだあなたへのおすすめ
伝統と革新 | 日本IBMユニバーサルデザイン・カレンダー制作の舞台裏
Client Engineering, IBM Partner Ecosystem
日本IBMはこれまでおよそ40年間にわたり、日本の美術品や絵画をテーマに壁掛けカレンダーを制作し、年末年始のご挨拶の際にお客様にお渡ししてきました。 しかし、オフィス空間や室内内装の在り方が大きく変化したここ数年で、壁に ...続きを読む
AI、エネルギー、食、人材育成 | 「IBM Think Lab Day@札幌」を4つのキーワードで
IBM Partner Ecosystem
お客様、パートナー様のビジネス課題の解決や一層の価値創造に役立つ共創を目指し、IBM Think Lab (弊社箱崎事業所、東京日本橋) ではIBM Researchの先端テクノロジー体験をお届けしています。 「先端テク ...続きを読む
使いやすさに寄り添った文書検索AI「InsightBuddyX」登場(empowered by watsonx)
IBM Partner Ecosystem
生成AIを使用したPoCの3分の2以上が、サービス実装に至らず終わってしまっていると言われています。そして原因の多くは、「精度」「コスト」「運用」面での課題を解消するまでのハードルがまだまだあるから、とのこと。 当記事に ...続きを読む