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IBM Sustainability Software
PwDA+ウィーク報告と参加者からのフィードバック | インサイド・PwDA+4
2022年11月09日
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日本IBMとKyndryl(キンドリル)には、障害のある社員とアライ社員(味方として当事者を支援する社員)が一緒に活動をする「PwDA+(ピーダブルディーエープラス=People with Diverse Abilities Plus Ally)コミュニティー」があります。
2022年9月中旬には、2019年のコミュニティー発足依頼初となるキャンペーンウィーク「PwDA+ Week」を開催し、複数のアライの輪を広げるための特別イベントなどを行いました。
今回は、前半でキャンペーンウィークでのイベントの様子と参加者からの声を、そして後半では、厳しめのフィードバックをどのように受け止め、より良い活動につなげていくための意見交換会の様子をご紹介します。
ダイバーシティー&インクルージョン(D&I)に興味をお持ちの方や、より公正(エクイティ)な社会への取り組みを進めている方にぜひお読みいただきたい内容です。

今回のキャンペーンウィークを記念して新たに作成されたコミュニティー・メインロゴ。
多様な個性をもつ人々が交流を通じて和を創り出しているイメージ。
Access Blue Program(障がいがある学生向けのインターンシッププログラム)卒業記念講演&発表会
日本IBMには、10年弱の歴史を持つ障がいがある学生向けの有償インターンシッププログラム「Access Blue Program」があります。
この日、半年にわたるビジネス提案やアプリ開発を、そしてカリキュラム最後の2週間の事業部オン・ザ・ジョブ・トレーニングで実践体験を終えたインターン生たちが、7カ月にわたる学びと経験の発表を行い、無事にプログラムを卒業しました。
働き方Hints & Tips 〜PwDA社員に聞いてみよう!〜
聴覚や下肢などに障害があるPwDA社員2名が、仕事や日常においてどんなことに困っているのかについて、そしてその解決に向けてどのような取り組みや工夫をしているかを、講演形式で共有しました。
イベント参加者からの声
- 「同じ聴覚障害と言っても人により聞こえない音と聞こえる音があるんだね」と部門でも話題となりました。障害も人によって千差万別ですね。継続して「こういう障害があるよ」「こういう障害がある人もいるよ」とIBM社員に伝えていただきたいです。
- Access Blue参加時からIBM就職後の現在まで、できることやできないこと、課題とソリューションの組み合わせがシビアに変遷していったことが説得力を持って伝わってきました。非常に含蓄のある内容でした。
- ミーティングでは聾者の方が口元や手先を読み取りやすくするようにするなど、そういう気遣いも必要であることを認識いたしました。
- 通勤からリモートワークになって身体的に楽になりよかったなど、具体的な話があり良かったです。他にも改善できる点や工夫の余地があるのではないかと思いました。継続的に少しでも改善ができるよう、コミュニティーに期待しています。
ダイバーシティー・マイノリティーについて考えよう 〜多様なマイノリティーによるディスカッション〜
PwDA+コミュニティーメンバーが、LGBTQアライやビジネスケアラー(介護)コミュニティーのメンバーと共に、「どのような時にマイノリティーと感じるか?」「どんな会社に、そしてどんな社会になっていって欲しいか」などを、パネルディスカッション形式で話し合いました。
イベント参加者からの声
- いろいろなコミュニティーの方の話が聞けて、視野が広がった気がします。偏りがなく、誰でもが参加しやすい良い内容でした。
- 当たり前に縛られてしまったり、見聞きした情報で目の前の人を定義してしまったりすることが自分にもあるのではないかと気づきました。
- 個を尊重すること、個に向き合うことの大切さを改めて実感しました。また、行動を通じて問題の解決策を探していくことも大事であると感じました。
- 「誰もが違いがあることが認め、感謝しあえる社会がくればいい」 —— 良い言葉だと感じました。

今回のキャンペーンウィークで社内初お披露目されたコミュニティー・サブロゴ(1)。
切り離されていたものがつながり、本来の輪を形成している。中心の宝石は、活動の価値の高さや、意志の硬さを表現。
参加者からたくさんのポジティブなフィードバックをいただいた一方で、PwDA+コミュニティー事務局にはいくつかの懸念や疑問なども届きました。
私たちはそうした声をしっかりと受け止め、一緒に考えていくことこそがインクルーシブな社会への重要な一歩であると考え、声を届けていただいた方と意見交換会を行いました。
以下、とりわけ大切だと思われるポイントについて、共有させていただきます。この記事をお読みいただいている皆さまのご意見も聞かせていただければ幸いです。
フィードバックと意見交換会から
アライ宣言について
イベント中に「当事者を応援したいと思われる方は、ぜひ気軽にアライ宣言をして欲しい」と伝えていましたが、アライ宣言をしてくれる人を増やすことが目的化していないだろうか? 理念や取り組みを十分理解してもらい、その上で宣言してもらうことが大切なのでは?
PwDA+コミュニティー事務局内の意見
- 「宣言をしたら定期的にボランティア活動に参加しなければならないのか?」という質問をこれまで何度か受けてきた。そのような義務が発生しないことを伝えたいという趣旨での発言だったが、「気軽に」という表現は誤解を招きやすいものだったので伝え方を今後はもっと考えたい。
- アライ宣言は、「PwDA社員の活躍をともに考え、活躍の機会作りに協力し、障壁や制約を取り除くことをサポートする」という趣旨の7つの項目にチェックを入れていただいた上で初めて宣言できるものとなっている。そこでしっかりと考えてもらえるだろうと考えていたが、その点を説明すべきだったかもしれない。
- イベント前、PwDA+ Ally宣言実施者は50人以下で、まずはもっと多くの方に知ってもらいたい、そして数字でもその存在を示せるようになりたいという気持ちからの発言であった (なお、イベント後は約150人になりました)。
職場におけるDE&I(Diversity=多様性、Equity=公平性、Inclusion=包括性)の意義について
職場においては大切なのは「みんなが最大限のパフォーマンスが出せる環境をみんなで作る」ことであり、PwDA支援は間違いなく重要だが、マイノリティーの種別によっては職場での支援は必要ないのでは?
PwDA+コミュニティー事務局内の意見
- 個々人により、マイノリティーの種別毎に考えが異なることは十分理解できる。ただ一方で、さまざまなマイノリティー当事者やアライ同士が連帯しなければ、状況を変えていくことが難しいのも事実ではないだろうか。
- 「本当の自分」や「辛い状況」を周囲に隠しながら働くことがどれだけ大きな心理的負担をかけることかは広く知られている。一人の同僚/仲間として、支援できることはしてあげられる自分たちでいたい。
- 性的指向や性自認に関係する悩みや不安から解放されることで、パフォーマンスが上がるという事例が多数確認されている。さまざまな種別のマイノリティー当事者に対し、社内にアライが存在していることを視覚化して伝えていくことには意味があると思う。
マイノリティーを受け入れられない人の立場について
マイノリティーを受け入れられない人がマイノリティーとなり、発言しにくい立場に追い込まれていないか? 肩身の狭い思いをしていないだろうか。
PwDA+コミュニティー事務局内の意見
- D&Iは強制できるものではなく、特定の種別のマイノリティーを受け入れられない人も存在しているということを、私たち自身も常に理解していなくてはならない。
- 「理解・共感できない」という意見があるのは理解できる。ただ、それが発信されると、それを「強い脅威」として受け止めざるを得ない立場の人たちも存在している。バランスを意識したい。
- 誰にも肩身の狭い思いはさせたくないけれど、「寛容のパラドックス」という言葉があるように、不寛容に寛容でいると「不寛容な社会」となってしまう。それもしっかり意識して伝えていきたい。

キャンペーンウィークに合わせてお披露目されたコミュニティー・サブロゴ(2)。
協業が成果を挙げた際のHigh fiveや、さまざまな活動への参加表明の挙手(積極性)や賛同を表す。
意見交換会の最後には、声を届けていただいた方から「相手がマイノリティーだからアライとして支援したいということではなく、困っている人が身近にいたら、それがどんな状態や状況の方であっても手を貸したいし、力になろうと思える自分たちでいたい」という言葉をいただき、参加者全員が深く頷いていました。
それが現実となり、DE&Iが深く浸透した未来では、もはや「アライ宣言」は意味のないものとなることでしょう。私たちの活動が、そういう社会に一歩でも近づくこととなるよう、今後も対話と発信を進めていきます。
問い合わせ情報
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TEXT 八木橋パチ
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