IBM Partner Ecosystem
ラウンドテーブルを通じてPwDA+Week2024を振り返る(前編) | インサイド・PwDA+9
2025年01月14日
カテゴリー IBM Partner Ecosystem
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日本IBMグループのダイバーシティー&インクルージョン(D&I)活動の特徴の1つに、当事者ならびにその支援者であるアライが、自発的なコミュニティーを推進していることが挙げられます。
そしてD&Iフォーカス領域の1つ「障がい者の活躍」においては、「People with Diverse Abilitiesとその仲間たち」から成る「PwDA+コミュニティー」がさまざまな活動を企画・実行し、人事部門がそれを支援しています。
毎年12月初旬には、通年の活動に加え「PwDA+ Week」というキャンペーンウィークを設けし、誰もが自分らしく活躍する社会について社員が考えるためのセッションやイベントを集中的に開催しているPwDA+コミュニティー。
当記事では、キャンペーンウィーク最終日に開催されたラウンドテーブルの内容をご紹介しつつ、キャンペーンウィークでの活動を中心に、2024年のコミュニティー活動を前後編にてお伝えします。
目次
前編
後編
- 経営者視点でのダイバーシティー – 多様性を体現する組織とは(内藤拓也)
- QAタイム | D&Iを推進する上で、難しいと感じる場面は?
- 知識を持つことも大事。実際に触れ合う中で感じていくことも大切
● 今から一緒に未来を考えませんか? | あなたの知らないPwDA+Community
12月9日のランチタイムに開催したオンライン・ラウンドテーブルでは、PwDA+コミュニティー・エグゼクティブスポンサーの村澤賢一がモデレーターとなり、「CDO視点で社外から見たPwDA+」をテーマに日本IBMのCDO(チーフ・ダイバーシティー・オフィサー)の今野智宏に、「経営者視点でのダイバーシティー – 多様性を体現する組織とは」をテーマに日本アイ・ビー・エム システムズ・エンジニアリング株式会社(ISE) 代表取締役の内藤拓也に話を伺いました。
最初にモデレーターの村澤より、PwDA+コミュニティーのこれまでの簡単な振り返りが行われましたが、ここでは、12月3日に開催された「PwDA+ Week」のセッションの1つ「あなたの知らないPwDA+Community、でも大丈夫、今から一緒に未来を考えませんか?」の中から、コミュニティー創設メンバーの一人であり事務局メンバーである河村のトーク内容と、当日の様子を描いたグラフィックを紹介します。
● CDO視点で社外から見たPwDA+(今野智宏)
村澤: 日本IBMのCDOとして活動されている今野さんは、当コミュニティーが中心に置いている「障がいがある社員の活躍」だけではなく、LGBTQや女性活躍推進、介護を中心としたやケアギバーなど、さまざまなD&I活動に関係する、社外の方や組織とのコミュニケーションも多いと思います。
改めてお聞きしますが、今野さんの目にはこうしたコミュニティーの活動は、どのように映っているでしょうか?
今野: まず、わずか4名での話し合いが、こうして大きな活動へとつながっていること自体が素晴らしいですよね。今回のキャンペーンウィークを通じて改めて敬意を覚えました。そして感謝の気持ちを新たにしました。
社員の皆さんが業務外で、自分の思いを持ってこのような活動をしていることって、実は結構珍しいことなんです。
日本IBMグループの中にいると、社員の皆さんには「自主的なコミュニティー活動」が「当たり前のこと」に見えているのかもしれません。
でも、他社様や官公庁など社外の組織の方たちは、とても驚かれています。
多くの場合、他社様では、専任組織を構え業務の一部としてD&I活動が行われています。それに対してIBMでは、完全に社員の皆さんが仕事以外の時間を使い、自主的なものとして行われています。
これ自体がすごいことだということ。そして「自発的にこれだけのことをされているなんて。すごくすてきです」という声をたくさんいただいていることを知っていただきたいです。
村澤: 私も社外の方とお話しする機会が少なからずありますが、日本IBMのコミュニティーを中心とした活発な活動、そして「誰もが活躍できる職場環境が組織全体にあるべき」という考えを基に特例⼦会社*を作らないというポリシーにも、かなり驚かれることが多いです。
*「障がい者の雇用機会を増やし、障がい者が安定して就労できるように特別の配慮をする企業の子会社。一定要件を満たすこと、厚生労働大臣からの認定が必要。
今野: 多くの社員がさまざまな現場でそれぞれ活躍しているという状況を初めて知ったという方は、とくに驚かれますし、詳細を教えてほしいとおっしゃる方も多いですよね。
こうした文化を下支えし、多様性のある働き方が推進できているのも、PwDA+コミュニティーの皆さんの活動があってこそではないかと思います。
一方で、「日本IBMのイメージや見方が変わりました」と多くの方から言われることに、問題意識も感じています。
IBMのD&Iの取り組みを知っている方の多くは、ダイバーシティーに関わっている方や経営者の方で、一般的には知られていないこともあります。「こういう取り組み方もある」「実践できる」ということを、もっと多くの方々に発信することが必要と実感しています。
先日IBM箱崎事業所にてご講演いただいた、株式会社ローランズ代表の福寿さんが言われていたように、皆がもっと取り組みを発信することで、学び合いを活性化することができ、それが社会を前へと進めることにつながっていくのでしょうから。
村澤: その通りだと思います。会社の宣伝やPRという観点ではなくて、福寿代表が言われていた「当たり前のことを当たり前に実践できる社会」に向けて、我われももっと積極的に発信し、より有機的でスピード感のある社会課題の解決につなげていくべきかと思います。
多様性が花開く職場づくり~原宿発の花屋が創る、障がい者雇用の成功モデル~
● 技術が解消する障がいと、技術を活用した取り組みを体験してもらう機会
村澤: もう一つ、社外からの学びについてですが、先日、技術的に非常に高レベルの義足の開発をされているスタートアップ企業の方にお話を伺う機会がありました。
そこで強く心に残ったのが、ユニバーサル・デザインに基づく街や建物などのファシリティー、日常を形作る制度などがテクノロジーと相まって進化していくことで、「社会側の障害」は減っていくという話です。これは特に、身体における障がいに顕著かもしれません。
つまりそれが意味するのは、社会環境の充足度が整っていないがゆえに、今はまだ、先天的あるいは後天的に身体的困難を抱える人の、社会的な活躍の場が過剰に狭められている状態だということです。
身近なもので言えば、メガネやコンタクトレンズ、あるいはレーシック手術なども含まれるかと思いますが、もし、そういった技術がなかったら…と想像いただくと分かりやすいのではないかと思います。
間違いなくそういった「技術が解消する障害」は存在しています。そしてそれに積極果敢に取り組まれている企業や技術者も、社会にはたくさんおられます。
今野: はい。私も先日、日本のシンクタンクや大学の方と、個人の特性を活かせる専門的な業務を一緒に考え、そこに実証データを用いた科学的なアプローチを組み合わせていくことについてお話させていただきました。技術の活用に関しては来年以降、もっと具体的に考えていきたいです。
そして技術そのものだけではなく、技術を活用した取り組みを体験してもらう機会を増やしていき、それらを通じて広く知っていただくことも大切だと思います。
今年の夏、虎ノ門本社のIBM Innovation Studioで、「ココテープ」のワークショップを行いました。あのような形で、技術から生まれた製品を知り、さらにそれを必要としている方たちに役立つものとしていくための学習・体験を増やしていきたいです。
『「視覚障がい者は単に視力を失っているだけで、多くの身体的感覚、内面の精神が残っている人間であり、(社会側の)障壁を取り除くことができ、障壁のない(バリアフリー)作業環境を実現できれば、多くのことを成し遂げる能力と可能性をまだ持っている」というのが私の信念です。障壁を取り除こうとするすべての方がたに、心から敬意を表します。』
後編ではISE代表取締役の内藤拓也による「経営者視点でのダイバーシティー – 多様性を体現する組織とは」と、QAタイムに寄せられた質問「D&Iを推進する上で難しいと感じる場面」についての話を中心にお届けします。
TEXT 八木橋パチ
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