IBM Sustainability Software
[事例] AIと優れたデータでオンタリオを停電から守る
2020年07月14日
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当記事は、カナダ オンタリオ州を中心に電力事業を行なっている「ハイドロ・ワン社」の配電システム制御および緊急管理を担当するデレク・ロールズ氏による寄稿『Hydro One reduces power outage duration with AI predictions』を抄訳し、日本向けにリライトしたものです。
電力業界は増え続ける大規模な悪天候や天候災害という大問題に直面しています。これは停電回数増加と停電範囲大規模化という2つの現象を引き起こしており、その中でより素早い電力回復を求めるお客さまの期待に応えていくのは、もはや至難の業と言っても過言ではないでしょう。
■ 悪天候に対してより能動的に
ハイドロ・ワン社の主要業務は、安全で信頼性が高く、手頃な価格の電力をオンタリオ州のお客さまに提供することです。ハイドロ・ワンはこれまで、天候に由来する停電には常に迅速に応え、高い評価をいただいてきました。とは言うものの、これまでの私たちが「待ちの姿勢」だったことは否めません。
これからの電力会社は、そしてエネルギー業界は、厳しい気象に対してより迅速かつ積極的に対応できるように、リソースをより効果的に管理するもっと優れた方法を見つける必要があります。
北米の電力業界には社内に気象学者を擁している企業も少なくありませんが、私たちハイドロ・ワンは異なります。
以前の私たちの運用方法では、当直マネージャーは天候を監視しつつ、ウェザー・ネットワーク社やカナダ環境省などと連絡を取り合っていました。しかし、この方法では悪天候が私たちのシステムのどの部分にどのような影響を与えそうかを正しく知ることができなかったため、先を見越した能動的な対応を取れずにいました。
気象災害発生直後の最初の12〜24時間は非常に重要です。私たちはその時間を有効に活用できるよう、気象予報を先取りして影響を予測し、緊急対応指針を発動できるようにしたかったのです。
それが可能となれば、お客さまに最新情報をタイムリーに提供しながら、より早く電力を回復して停電時間を最小化することができるのですから。
■ IBMの停電予測ツールで電力復旧時間を半分に短縮
そこで、私たちはIBMグループのウェザービジネスソリューションズが提供する停電予測ソリューションを使用することとしました。
このソリューションは、悪天候に先回りして、資機材やスタッフの配置により良い決定を下すための気象予測モデルを提供してくれます。そしてAIが、ハイドロ・ワンの有する過去の停電被害データベースを、これまでに停電を引き起こした天候パターンと照らし合わせて分析してくれるのです。
嵐が予測されると、過去データを用いて配電区域ごとの停電予測が作成されるようになりました。
そこから、私たちは24時間、48時間、そして最大72時間前まで予測可能範囲を広げ、緊急対応ステージと計画・実行レベルを調整し、嵐に先立ち緊急対応指針に則った対応手順を進めることができるようになったのです。
従来、気象災害直後の24時間は、人と資源を再配置するための時間となってしまっていました。でもこのソリューションのおかげで、事前に問題対応センターを開設して嵐に備えつつ、嵐の通過後すぐに電線や送電塔の修復・整備をスタートし、電力回復を行えるようになりました。
2018年には、不幸なことに大きな気象災害が4度も起きてしまいました。しかし私たちは、それを停電予測ツールのテスト機会としました。
4度のうちの2度は2013年の気象災害ととても似た部分があり、予測ツールのおかげで2013年に比べて電力復旧時間を約半分に短縮することができました。
■ 優れたデータが優れた分析を生みだす
私たちは最高の分析結果が得られるよう、当初からIBMそしてウェザービジネスと綿密に連携し、ハイドロ・ワンのデータが正確かつ適切に気象モデルのトレーニングに用いられるよう協業を進めました。そしてこれこそが、このプロジェクトがうまくいった重要なポイントでした。
「ゴミを入れればゴミが出てくる(Garbage in, garbage out.)」という格言がありますが、これはまさにその通りです。ツールから得られるデータ分析の質は、それまでの蓄積データとインプットしたデータの質が反映されるのです。
電力業界において、自分たちの意思決定を支援するソリューションが信用できるものであるかは非常に重要であり、その信用を左右するのは、ソリューション提供企業との永続的な信頼関係構築です。
これまでハイドロ・ワンはIBMに幾度となく支援を要請してきましたが、彼らは開発の初期段階から今日に到るまで、常にソリューションの改善に注力し続けてくれています。
問い合わせ情報
お問い合わせやご相談は、Congitive Applications事業 cajp@jp.ibm.com にご連絡ください。
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