IBM Sustainability Software
[事例] エンジニアリング革命のはじめ方 | AIを活用したリモート監視サービス
2020年03月03日
カテゴリー IBM Sustainability Software | 事例 | 設備保全・高度解析
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ときおり、本当に独創的で先見性に溢れたアイデアが登場し、業界全体が塗り替えられることがあります。その代表例の一つが、流れ作業式組み立てラインです。その登場により、製造業はそれ以前と完全に異なるものとなりました。
そして今、数万のスマートコントローラーと数千万のセンサーが、世界中のあらゆる業種の生産施設にエンジニアリング革命を起こしています。
生産設備には、現在プロセスや機器の状態や健全性を伝達するためのセンサーが、通常装備されています。これらは、PLC(プログラマブル制御装置)、PAC(画像保存通信システム)、VFD(可変周波数駆動)などのプロセス制御機器や装置として長年用いられており、特に目新しいものではありません。
革命的と言われる所以は、それらの役割が根本的に変化したからです。AIによるデータ分析とそこからの学びと洞察により、状態を伝えるだけのものからビジネス上の意思決定支援へとその役割を変えたからです。
カリフォルニア州に本拠を置く産業技術およびエンジニアリングサービス企業であるNovate Solutions社は、IBMのAIおよびリモート監視ツールを活用した、プロセス制御を強化する新サポートサービスを開発しました。
このサービスは、システム異常を識別し、設備故障として顕在化するよりもはるか前に問題発生を予測して対応を促す、拡張性の高いリモート監視サービスです。
■ AIが鍵を握るリモート監視システムの進化系
従来からの産業用制御システムは、機器から継続的にデータを受け取り、そのデータをあらかじめ定めておいた設定値と照合して動作しています。
具体的には、機器から送られてきたデータが定められている設定値に近づくとアラームが発せらせ、このアラームに反応して保守チームが出動して対応作業にあたります。そして多くの場合、機器の生産時間と費用、そして労働力が無駄になっています。
Novate Solutions社の事業開発担当副社長であるロブ・モーラ氏は、次のように述べています。
「当社が開発したAIを活用した新リモート監視システムは、お客さまがすでにご利用中の制御システム・インフラストラクチャとIBM Maximo Asset Monitor(MAM)、そして当社の高度な訓練を受けた専門家チームが一体となり、サービスを提供しています。
具体的には、まずリモート監視システムが異常を察知すると、当社のサポートオペレーションセンターに連絡が入ります。専門家チームは、長年の経験と確かなクライアントのシステムに対する運用知識、そしてエンジニアリング原則を用いて、その異常がプロセスの上流下流にどのような影響を与えるかと、それがどの程度重大なものとなるかを判断します。」
ロブ・モーラ氏は、最終的にはAIがより高精度な分析を行えるようになることで、専門技術チームはさらに素早く判断し故障発生前に対応することができるようになると言います。
「現段階においては、当社のリモート監視システムはIBM Watsonの支援を受けながら、プロセスに何が起きているかを認識し、故障予測の精度を高めるための学習をしています。学びに必要なデータを集め、分析し、異常を特定し、当社のエンジニアの専門知識を適用して影響を判断するより高度なアルゴリズムへと成長させている途中です。私たちは、今後もより良く、より洞察力のあるものへとこのシステムを発展させ、生産システム強化を継続して支援していきす。」
ロブ・モーラ氏は、今後同社の有資格エンジニアが製造プロセスを監視し、信頼性改善と品質向上のための予防措置を講じるようになるだろうと言います。その結果、製造業者はシステムの稼働時間を増やし、コスト削減と全体パフォーマンス向上を同時に実現することができるようになるのです。
また、同社のサービスが、シックス・シグマやその他のプロセス/品質改善手法の進化形となるだろうともロブ・モーラ氏は言っています。そしてサービスの拡張性を考えれば、業界や業種を問わず、あらゆる産業エリアのあらゆる規模の組織が同社のサービスを活用できるでしょう。
いずれ、同社の安価なサービスを、多国籍ケミカルメーカーや地元に根ざしたワイン生産者などが用いれば、多くの変化が生まれることでしょう。
■ IBMを選んだ理由は「リスクを取るから」
「大企業で安定しているから」「歴史があり高く評価されているから」「国際的な企業だから」 — これらは、IBMをパートナーとして選んだ理由として、頻繁に耳にする言葉です。
しかし、Novate Solutions社がIBMを選んだ理由は少々異なっており、もしかしたら少し驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。
同社がIBMが選んだのは、「IBMがリスクを取る企業だから」です。
「最初に連絡を取ったとき、リスクを取ろうとするIBMの意欲にまず驚かされました。彼らは投資に対するリターンを短期的な視点で捉えていませんでした。IBMが求めていたのは、イノベーションだったのです。
また、IBMの誰もが常に協力的で、全員が一貫してコラボレーションに前向きなのにも驚きました。」
これらの言葉に続き、ロブ・モーラ氏は、IBMの文化を表す言葉として「謙虚さ」と「学習意欲」を挙げました。
■ AIアプリケーションで新しいビジネスモデルを
IBMの新しいリモート監視ソリューションは、従来からのSCADA(Supervisory Control And Data Acquisition: 工程監視制御システム)やシステム履歴、IoTセンサー、およびその他のリポジトリーから届く動作状態データとプロセス・パラメータを集約します。
そしてIBM MAMを用いることにより、組織はすべてのデータを統合集約して分析し、高度な予測分析とAIによる運用パターン識別を実行できます。
組織は、AIを活用した異常検出機能により、日々生成される数百から数千におよぶアラートの中から最も重要なものを識別することができます。
そしてこられを基に、専門家チームは最も重大な異常に迅速に対応することができ、また設備の損害を引き起こす根本要因や素因に対する洞察を深めることができるのです。
エンタープライズ規模のリモート監視ソリューションで、AIを活用した異常検出機能を備えているのはIBMだけです。
IBM Maximo Asset Monitor(MAM)がお届けするスマートでインテリジェントな設備保守と運用に不可欠な洞察により、OT(運用技術)チームとIT(情報技術)チームは、デジタル・リインベンションを推進する洞察に満ちた意思決定を、よりいっそう協力して行えるようになるのです
Novate Solutions社は、MAMの力を活用して革新的なサービスを開発しました。
さあ、あなたの組織ではどのようなビジネスモデルを生み出せそうでしょうか?
ぜひ、私どもと一緒に検討してみませんか。お気軽にご連絡ください。
問い合わせ情報
お問い合わせやご相談は、Congitive Applications事業 cajp@jp.ibm.com にご連絡ください。
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イ ヘリン テクニカル・セールス, Watson IoT
当記事は、How to start an engineering revolutionを抄訳し、日本向けにリライトしたものです。
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