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私やっぱり「欲張り」なのかも(笑) – IoTで「イイトコ取り」を(Watson IoT 中条 真璃子)

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Watson IoTチームメンバー・インタビュー #19

中条 真璃子 Cloud Coders / ISE

 

IoTやAI、クラウドなどに代表される「社会を変容していくテクノロジー」とIBM、あるいは自分自身について、Watson IoTチームメンバーに自由に語っていただくインタビューシリーズも第19回となりました。

今回はCloud Coders(クラウド・コーダーズ)というIBM社外の開発者の皆さんとコラボレーションしていくチームに所属しながら、Watson IoTチームでも活躍いただいている中条さんに登場いただきます。

(インタビュアー 八木橋パチ)

 

■ 入社〜イノベーター・コミュニティー「innovatty」の立ち上げ

 

        — 中条さんは今はCloud Codersというチームに所属しているんですよね。どんなチームなんですか?

コーダーズは昨年からIBMの東京ラボラトリーに新設されたチームで、お客さまの開発部門の方たちと一緒にITシステムやアプリを開発するメンバーが揃ったチームです。活動を通じてハンズオンで新技術を伝えたり、あるいは技術的な相談に乗ったりしつつ、文化や組織のアップデートをお手伝いするのがミッションです。

10人弱のメンバー全員がそれぞれ担当する会社を持っていて、普段はそれぞれ自律的にお客さまと一緒に仕事をして、随時オンラインやオフラインで情報を共有するっていうスタイルで働いています。

 

        — 中条さんと初めて会ったのは2年くらい前ですよね。入社したばかりだったのかな?

いや、入社は2015年です。ISEというIBMの技術者の集まったグループ会社で、先端アプリ開発チームのIoT担当者でした。

パチさんに初めてお会いしたのは2017年の秋です。「innovatty(イノベッティ)」というIBM社内外のイノベーターが集うコミュニティーを立ち上げるときで、いろいろ調べていたら「コミュニティーのことだったら、パチって人に会っておいた方がいいよ」って仲間に教えてもらったんです。

 

        — そうだそうだ、3人でいらしたんですよね。あのときは「このリーダーの人、めっちゃ姉御肌だな!」って思ったのを覚えています。

えええ、姉御肌ですか!? 初めて言われました。私、面倒見がいい方でもないと思うし…。

ただ、「方向付け」というか、「ビジョンの明確化とか、活動に対するポリシー付けが得意だよね」とは、仕事でも課外活動でもときどき言われます。暑くるしいんですかね…。

 

■ 課外活動とクリエイター欲

 

        — 課外活動ですか。中条さんは最近はどんな課外活動しているんですか?

最近のものでわりと広く知っていただけているのは、慶應大学テニス部とコラボレーションして作っているIoTシステムですかね。

テニス部のコーチのニーズから  開発を進めたんですが、結果としてプレスリリースも出たので、結構注目を集めることができたのかなって思ってます。

参考: テニスデータの活用方法や指導メソッドの共同検討を開始 横浜慶應チャレンジャー大会から

 

他にはまだ発表はされていないんですが、近いうちにAI技術を用いた、アートの世界にコグニティブをかけ合わせたプロジェクトがお披露目される予定です。もしかしたらこれもプレスリリースとか出るかもしれないです。

 

        — おーすごい。でもプレスリリースが出るって…それって課外活動なの?

まあ業務範囲外でやってることなんで、課外活動かな、と。

実はコーダーズのメンバーになってからよりクリエイター欲が高まってしまって(笑)、つくりたくってウズウズしちゃうんですよね。

 

        — え? コーダーズって開発者としてどんどん作るチームなんじゃないんですか?

お客さまの開発者とは密にやり取りするんですけど、今はまだ最初のビジネス検討やアイデア出しのフェーズが多いんです。

クリエイターとしては、「最後まで作り上げて世に出すところまでやりきりたい!」って気持ちが募っちゃって。

 

■ デザインへのこだわり〜経験価値を伝えるために

 

        — もう一年以上前ですが、inovattyの活動の一部として、デザイン勉強会で講師をやっていましたよね。中条さんの中ではクリエイターとデザイナーの役割はどういう位置付け、あるいは関係性ですか?

私自身は開発者というクリエイターでもあり、そしてデザイナーでもあると思っています。その2つは私の中では「両輪」としてつながっています。

「技術的に可能か」を理解した上でデザインした方が、より幅広くかつ適切な開発ができるし、デザインのスキルが上がると、技術の適応のさせ方にもより深みやバリエーションが生まれます。だから、両方やることの相乗効果が高いと感じてるんです。

いつかどこかのタイミングでどちらかに絞る必要が出てくるのかもしれませんが、少なくとも当面は両方やっていきたいです。…私「欲張り」なのかもしれませんね(笑)。

 

        — デザインへのこだわりとか、想いっていうのは昔から高かったんですか?

いいえ、入社してからなんですよね。それまでは「まあ見た目キレイに整っている方がいいよね」くらいの感じでしかありませんでした。

それが、とあるプロジェクトでプロトタイプを作る機会があったのですが、中身には自信があったのに、見た目がパッとしないせいで全然関心を示してもらえなかったんです。

 

        — それで「こりゃ見た目も重要だ」ってなったわけですね。

はい。それで「人目に付くかっこいいデザイン」を学ばなくては! と思い、周りの先輩にも触発されて勉強をはじめたら、見た目と同時に「ユーザーインターフェース(UI)」もしっかり考えないと、手には取ってもらえてもちゃんと使ってもらえないってことが分かりました。

そしてUIを学び始めたら、より上位の概念としてユーザーエクスペリエンス(UX)やカスタマーエクスペリエンス(CX)というのが出てきて。「好ましい体験を持ってもらうためには、体験価値を伝えるデザイン」を学ばなくては! と思ったんです。

 

        — デザインの本質というか、源流にどんどん迫っていったんですね。

そうなんです。それで「さすがにこれは独学だけでは無理があるんじゃないか?」と思い始めて、去年の秋から産業技術大学院大学の「人間中心デザイン」コースで半年間、UXを学びました。

体系だった実践的な学びができてすごく勉強になったし、同じ志を持った仲間も増えてすごく楽しかったです。

 

■ IoTとIBM 〜13年後の未来

 

        — IoTに何を期待していますか? 今後IoTは何をもたらすと思いますか?

これまでのIoTはまだ初期段階のものがほとんどで、「人間ができること / やっていること」の置き換え」だったと思うんです。その効率を上げるとか、何か危険な作業を代替するとか。

でも次のステップでは、IoTはこれまで人間が気づいていなかったことや人間にはできなかったことをやっていくようになると思うんです。もっとクリエイティブな領域に向かっていくというか。

 

        — もう少し具体的に説明してもらえますか?

具体的には…難しいですね。でも、これまで取得することができなかったデータを取得できるようになっていくことで、人間の生活のアナログならではの良いところとデジタルならでは良いところを掛け合わせて「イイトコ取り」できるんじゃないかと思うんですよね。

私やっぱり「欲張り」なのかも(笑)。

 

        — それでは、最後の質問です。13年後の中条さんは何をしていますか?

13年後…40歳の私……。すいません、まったく分からないです。想像がつきません。

新しい発見をしたり知識を手に入れたりすると、新しい世界がわーっと広がりますよね、一を知ると十の道が拓けるというか。この感覚を頻繁に感じているので、3年後を想像するのも難しいです。

 

        — なるほど、仰られている意味、分かります。それでは、13年後にどんなものを見ていたいですか? どんな状態にいたいですか?

「息をするようにさまざまなコラボレーションを起こしているIBM」を目にしていたいし、そんな状態に囲まれていたいです。そんな中で、日本や世界に大きな価値を提供できるようになっていたいです、立場はエンジニアでも何でも構わないので。

そのためには、もっとIBMという会社をより深く見て洞察を深めたい、視座を高めて行きたいです。IBMのさまざまな組織や機能の強み、弱み、問題や特性を理解すればするだけ、より良いかけ合わせができると思うから。

 

        — IBMには所属しているんですね。

IBMほど多種多様なお客さまやステークホルダーとのつながりがある会社ってないと思うんです。製造、医療、運輸、農業、大学…どの分野でも世界のトップレベルの組織や企業とつながっているじゃないですか。

私は、一社二社のコラボレーションではなくて、もっと大きな範囲で良いところをかけ合わせて、もっと新しくて大きな価値を作り出して提供していきたいんです。

それをする上で、IBM以上にチャンスがある企業ってないと思うんですよね。

 

        — やっぱり欲張りですね(笑)。今日はありがとうございました。

 

インタビュアーから一言

「昔からそんなに欲張りだったんですか?」と聞いてみると、どうやら高校時代、知的探求を思う存分味わせてくれる先生たちに囲まれていたそうで、「惜しみなく専門知識を分け与えてもらった」そうです。

その後、大学時代には言葉の理解を深めるために、英語やドイツ語だけではなく、中国語や古代ギリシア語、サンスクリット語なども勉強したとか。

語学に個人的にとても興味を持っているので、今度は語学談義をお願いさせてもらおうっと。

 

(取材日 2019年6月12日)

 

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