IBM Sustainability Software
IoTデータとAIで、鉱業・採掘業界に次世代の生産性を
2020年08月07日
記事をシェアする:
このブログ記事は、サンドビックグループのRock Drills & Technologies社の社長パトリック・マーフィー氏が書かれた『How AI technology can make mining more productive』を抄訳し、日本向けにリライトしたものです。
サンドビック マイニング&ロックテクノロジー社は、150年以上にわたり採掘および建設業向けにビジネスを行ってきた企業です。
しかしこの150年間の変化は激しく、弊社は機器や部品、ツールなどを提供する企業から、今では採掘関連業のお客さまにデータ駆動型の生産性向上ソリューションを提供する、サービスプロパイダーへとビジネスの主軸を変化させています。
■ 遠隔地から機器の故障を防ぎ生産性を軌道に乗せる
鉱山や岩盤の掘削プロセスでは、鉱山設備や機械を管理・調整するオペレーターの役割はこれ以上なく重要なものとなります。そして多くの場合、その重要な任務を、実際の地下掘削現場から遠く離れた場所で行わなければならないのです。
もしも、鉱山機械がトンネル内で故障してしまったら…。それは考えるだけで恐ろしい悪夢です。トンネル内のオペレーションだけではなく、その後に続く掘削プロセスのすべてに影響を与え、大混乱を招くこととなるでしょう。鉱山機械の修理が完了するまでのすべての工程が止まり、生産性を大幅に低下してしまうのですから。
もちろん、鉱山会社は予防保全を行っています。しかしもし彼らが、予期せぬ故障を予測できるようになり、その発生を未然に防ぐことができたなら? さらに、故障の有無に関係なく定期的にメンテナンスを実施するTBM(Time Based Maintenance)から、本当に必要な最適タイミングでメンテナンスを行えるように進化したら、いったいどれだけの効果が生まれるでしょうか?
実は、オンボード計測やセンサーなどを備えた弊社の機器は、データ駆動型ビジネスを実現する機能をすでに備えています。そして弊社のお客さまはすでにそれを活用することができる状態です。
とは言うものの、弊社がこれまで提供していたデータ駆動型サービスソリューションは、センサーや機器から取得したデータの価値を最大限に活用できていませんでした。
そこで、お客さまの生産性の問題の解決と、プロセス全体とパフォーマンスを最適化できるようにしたいと考え、データに高度な分析を適用することとしたのです。
■ AIでデータを掘り進み、リアルタイムの洞察を得る
高度な分析を実施するために弊社はIBMをパートナーに選びました。なぜなら、IBMにはデータ駆動型業務運用に最適な分析力と洞察を与えてくれる、AI ApplicationsとMaximo Asset Managementソリューションがあったからです。
もう一つ、IBMは、弊社がビジネスをしている採掘業・鉱業を深く正確に理解してくれていたからです。
弊社はIBMと協業して、プロセス改善を推進するOptiMine Analyticsサービスを通じて、高度な分析とAIテクノロジーを提供しています。
このサービスは、IBMのAI Applicationsを使用して、お客さまのデータから導きだした予知的洞察と実用的な計画変更を、鉱業運営管理システムのダッシュボードに組み込みます。
予測分析により、リアルタイムデータを活用して差し迫った故障や近い将来に想定される故障を特定できます。そして根本原因にすばやくたどり着くことで、お客さまの機器故障を未然に防ぐことを支援できます。
弊社はすでに、故障が生産ロスに及ぼす影響を、数十パーセントレベルで減少させることに成功しました。
■お客さまのデータ分析に対する高い関心と意識の変化
お客さまのOptiMine Analyticsへの、そしてIBMとの協業への関心は高まっており、デジタル・トランスフォーメーションと予知保全についての取り組みについてお客さまからご質問をいただく機会が非常に増えています。
そんな中、弊社はOptiMine Analyticsを使い、Hindustan Zinc社のシンザークハード鉱山の完全デジタル化を進める契約を、インドの天然資源会社ベダンタ社と結びました。
さらに、南米チリのサンティアゴに多くの重要なお客さまをお招きし、2日間にわたる「Through the Rock」というカンファレンスを実施し、そこでもIBMに基調講演をしていただきました。
■ 鉱業をデータ駆動型産業に変える
弊社が変えようとしているのは、機器の稼働時間を改善するこだけではありません。
データとデータ駆動型業務運用がもたらす生産性に焦点をあてることで、鉱業界全体の考え方に変革を起こすこと。そして鉱業界を取り巻く環境全体にプロセス最適化を実現し、業界にデジタル変革をもたらそうとしているのです。
この実現が、機器メンテナンスに浪費される時間と費用を削減し、生産性を向上させることにつながるのです。そして大切な安全性を高めることにつながるのです。
より多くのデータからの洞察が意味するのは、より適切なメンテナンス計画とより高い機器の利用レベルです。なぜなら、お客さまはより質の高い情報を元に意思決定を行うことができ、高い目標と生産計画を設定しそれを達成することができるからです。
最終的にそれらがもたらすのは、今までよりも高い収量と、低い1トンあたり鉱石コストです。業界内にこれにワクワクしない人間は一人としていないことでしょう。
弊社がIBMとの協業で実現したいのは、インテリジェンスを用いることで、この業界全体によりスマートでより安全な、より効率的なオペレーションをもたらすことなのです。
問い合わせ情報
お問い合わせやご相談は、Congitive Applications事業 cajp@jp.ibm.com にご連絡ください。
関連記事
「第2回ベジロジサミット」レポート後編 | ベジロジシステム討論会
IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software
ベジロジ倉庫とベジロジトラック、そしてキャベツ食べ比べを中心にご紹介した「第2回ベジロジサミット」レポート前編に続き、ここからは第二部、場所を屋内に移して開催されたベジロジシステム討論会の様子をご紹介します。 目次 前編 ...続きを読む
「第2回ベジロジサミット」レポート前編 | レタスの食べ比べとベジロジ倉庫・トラック
IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software
「佐久地域は葉洋菜類の一大産地であり、産地の生産を守ることは日本の食を守ることです。主体的に取り組んでいきます。ただ、青果物の取り組みは特に困難な要素が多く、物流業界でも取り組みが進んでいない分野です。そんな中で、持ち前 ...続きを読む
日本Maximoユーザー会2024@天城ホームステッド 開催レポート
IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software
2024年10月15〜16日の2日間に渡り、IBM天城ホームステッドにて1年半ぶりの「日本Maximoユーザー会」が開催されました。 石油・化学企業、産業機械製造企業、エネルギー企業、エンターテインメント企 ...続きを読む