IBM Sustainability Software
アトランタの都市交通を守るIBMのIoTとAI – APMが進化させる保全戦略
2019年05月02日
カテゴリー IBM Sustainability Software | 事例 | 設備保全・高度解析
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IBMは、資産集約型産業の保全戦略を、IoT(モノのインターネット)とAIによる高度分析で支援する新たなソリューションを発表しました。
これはすでに、アトランタ都市圏高速交通局(通称「マルタ」)での採用が決定しています。
この新たなソリューションは「IBM Maximo Asset Performance Management (APM、資産パフォーマンス管理)」に加わるもので、物理的な資産(自動車、製造ロボット、タービン、採鉱設備、エレベーター、変圧設備など)の故障/障害リスクを軽減し、企業コストの削減に大きく貢献します。
物理資産からほぼリアルタイムに収集したデータの運用状況パフォーマンスを分析し、AIが故障やトラブルの種類を予測・識別するとともに、最適な対応方法をリコメンドします。
■ 設備パフォーマンス管理の最適化でダウンタイムを最小化
エネルギーや公益事業、化学薬品、石油とガス、製造、運輸などの資産集約型産業では、数千から数万もの物理資産、設備を保持しています。
これらの設備に不具合が発生し、ひとたび稼働停止などの事態が発生すると、莫大な損害が発生します。Aberdeen Research社は、計画外のダウンタイムは1時間あたり26万ドルものコストを発生させる恐れがある調査結果を発表しています。
そうした事態を避け、稼働状態を監視/管理して最適化するためには、設備が生みだし続ける莫大な運用状況データを活用して、継続的に保守、修理、交換の決定を下していく必要があります。
IBMのAPMは、異なるデータソースを統合して分析することで、特に注視すべき設備を見つけだし、オペレーターに推奨する対応や修復方法をお知らせします。
IoTとAIによる高度な分析を活用した設備パフォーマンス管理によって、これまでのTBM(Time Based Maintenance)による予防保全からCBM(Condition Based Maintenance)による予知保全へと、保全戦略の進化を支援します。
このAPMソリューションは、組織内の既存エンタープライズ資産管理(EAM)機能を補完するもので、他社のEAM製品とも、そしてもちろんEAM市場をリードする以下のIBM Maximoソリューション群ともシームレスに統合することができます。
- IBM Maximo APM – Asset Health Insights (設備のヘルススコアリング):
設備のレコード、センサーデータ、および外部データを使用して、リアルタイムに資産の健全性評価を提供し、最適な保守や交換タイミングを通知します。
- IBM Maximo APM – Predictive Maintenance Insights(設備の故障予知):
統計モデルと機械学習を使用して、資産の健全性を予測します。障害発生が予測される日時や発生確率、その主要因、劣化曲線、異常検出などを含みます。
- IBM Maximo APM – Equipment Management Assistant(AIによる問題判別支援):
AIを使用して、現場の保全担当者に対して、修理のためのドキュメンテーション、症状の診断および推奨事項への迅速なアクセスを提供します。
IBMは今後、このAPMソリューション群を、さまざまな資産集約型の業務特性を踏まえてカスタマイズした形で提供していきます。
今回発表したのは、エネルギーと公益事業向けにカスタマイズしたAPMソリューションで、物理資産データからリスク/重要度のスコアリング、正常性および劣化モデル、標準業界データモデルを分析し、天候データ分析を統合することで、状況に基づいた予知保全行動を取るための機能を提供します。
■ アトランタ都市圏高速交通局(通称「マルタ」)での採用
ジョージア州アトランタ首都圏の主要公共交通機関である「マルタ(MARTA)」は、IBMのAPMソリューションをベースとして輸送資産管理(Transit Asset Management)システムを構築して、予知保全の実装を進めています。
これにより、資産インベントリ、状態評価、業績評価および意思決定支援データマイニング、AIによる機械学習を通じて資産の信頼性を向上させ、コストの大幅削減が実現される予定です。そして機器とシステムの状況管理を一層スマートなものとすることでパフォーマンスを向上させていきます。
マルタは、北米で最初の資産管理の国際規格ISO55000認証を取得することを目指しています。
IBMとの協業により、マルタは最新テクノロジーを用いた、輸送資産管理のリーダーとなります。
そしてIBMは、マルタと共に、さまざまなステークホルダーに安全と安心をお届けすることを目指します。
近い将来、技術者の退職による人材不足予想されるなか、保守実務の効率化は、どの企業にとっても非常に重要な課題です。
この新しいアセットパフォーマンス管理ソリューションにより、IBMは、高度な分析とAIによるインサイトを活用して、現場の意思決定を支援します。
Maximo APMによって、既存のエンタープライズ資産管理システムを強化し、物理資産の健全性、予知保全、修理の最適化などの資産パフォーマンス向上を実現することができるのです。
問い合わせ情報
お問い合わせやご相談は、Congitive Applications事業 cajp@jp.ibm.com にご連絡ください。
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当記事は、IBM Brings AI and Advanced Analytics to the Industrial Worldを抄訳し、日本向けにリライトしたものです。
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