IBM Sustainability Software
[インダストリー4.0事例: ロレアル社] IoTデータと洞察からアジャイルな生産ラインを
2019年08月06日
カテゴリー IBM Sustainability Software | 事例 | 設備保全・高度解析
記事をシェアする:
■ 個々の消費者に合わせパーソナライズしたコスメ製品を
製造プロセスのさまざまな場面で、データと情報が大量に生産されています。
もし、これらのデータと情報を、適切に収集して瞬時にインテリジェンスに変換できれば…。
さらに、そのプロセスを自動化することで、適切な意思決定を適切なタイミングで下せるようになれば…。
それを実現しているのが、世界最大手の化粧品メーカー、ロレアル社です。
他の多くの企業と同様に、ロレアルもますます厳しくなる顧客からの要望に直面しています。消費者は、化粧品メーカーに、自分の肌タイプ、肌の色、そして個人的な好みにぴったり合うコスメティック製品を求めているのです。
「変化の激しい市場でお客さまの要望に応え続けるために必要なのは、お客さまの求める製品をすばやく開発するための継続的エンジニアリングです。ニーズに合わせた製品を、オンライン・チャネルを最大限に活用しながら、いち早く市場に投入できなければなりません。」
ロレアルのオペレーション部門のチーフ・デジタル・オフィサー(CDO) ステファヌ・ラニュゼル氏は次のように続けました。
「ただし、需要予測というのは本当に難しいものなのです。」
■ IoTデータと洞察から、より柔軟でアジャイルな生産ラインを作り上げる
テクノロジーを用いることで、消費者の購買意欲や行動についてより多くの洞察を得ることができます。メーカーはその洞察をベースに、生産量を調整することができます。
ロレアルは、センサー、レーザー測定、カメラ、高度なベルトコンベアを組み合わせることでこの課題に取り組み、ベルギーのリブラモンの工場に、従来とはまったく異なる新しい生産ラインを作り出しました。
消費者個々人の肌に合わせた高度にパーソナライズされた製品を作り上げるために、再設計された工場の生産ラインは、消費行動をIoTデータとして瞬時に取り入れて分析します。
そして、分析結果に合わせ、数十からなる異なる製品に、柔軟に生産ラインを適応させます。
ラニュゼル氏は言います。
「私どものような大規模な組織で、より柔軟でアジャイルな生産ラインを作り上げることは、非常に大きな挑戦でした。」
■ インダストリー4.0をIBMと共に実現
インダストリー4.0という大きな潮流の中で、ロレアルは適切なアクションを適切なタイミングで取れるように、Watson IoTプラットフォームをパートナーとして選択しました。
この選択により、ロレアルは、購買、生産、包装および配送という一連のプロセスを、包括的パッケージとしてまとめ上げたのです。
このスマートファクトリーの土台を築いているのは、IoT、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)、AIなどのテクノロジーです。
ラニュゼル氏はこう言っています。
「私たちのインダストリー4.0への取り組みは、IBMと共に進んでいます。デザイン思考のメソッドを取り入れたブレインストーミング・セッションを、IBMと共同でシリーズ開催することで、IBMの専門知識や技能、テクノロジーを、ロレアルの従業員たちに取り入れさせています。
そして同時に、これらのセッションを通じて、私たちは問題点を特定して解決方法を探り、機会を最大限に活用する方法をIBMと一緒に見つけ出しているのです。」
そしてさらに、こう続けました。「私たちの新しいプラットフォームでは、生産システム内のさまざまなセンサーからデータを収集しています。これらのデータを処理することで、洞察をプロセスに適用できているのです。」
製造エクセレンス部門グループ長のオリヴィエ・チャペル氏はこう言っています。
「IBMとのパートナーシップにより、私たちはさらにアジャイルになりました。高品質の製品を提供し続けるためには、新しい製品やサービスをアジャイルに開発していくことが必要ですからね。」
「AIのおかげで、ロレアルは再び同じ問題が発生し得るという状況をいちはやく察知し、その根本原因を推測できるようになりました。
AIは、私たちがより効率的に仕事をできるように支援してくれるだけではありません。私たちの能力そのものを上げてくれるのです。」
ロレアル社のようにIoT、AIの力を活かすことによって、製造の効率化や保全の最適化を図ることができます。下記図はIoTとAIを活用し、どのように保全の最適化を実現できるかを表している例になります。
IoT、AIを活用して導き出された分析結果(新たな知見、ビジネスに有用な情報)を現場にフィードバックして活用することによって、計画外のダウンタイムの削減や歩留まりの向上など、ビジネスを改善できるさまざまな効果が期待できます。
IBMにはIoTデータ活用による効率化や最適化を支援した数々の実績があります。もしIoT、AI、データ活用をお考えの場合は、ぜひ下記の問い合わせ先までご相談ください。
問い合わせ情報
お問い合わせやご相談は、Congitive Applications事業 cajp@jp.ibm.com にご連絡ください。
関連記事: 次世代工場ソリューション・ショールーム(ISE Technical Conference 2019レポート)
関連記事: 「安全・安心」を守り、育てるために – IoTプロジェクト担当者が語る、変革期のものづくりを支えるテクノロジーと方法論
関連記事: Think2019現地レポート #3 “ロレアル、ミツフジ、メルセデス、ビザ” by Watson IoT
イ ヘリン テクニカル・セールス, Watson IoT
当記事は、L’Oréal and IBM: An Industry 4.0 makeoverを抄訳し、日本向けにリライトしたものです。
「第2回ベジロジサミット」レポート後編 | ベジロジシステム討論会
IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software
ベジロジ倉庫とベジロジトラック、そしてキャベツ食べ比べを中心にご紹介した「第2回ベジロジサミット」レポート前編に続き、ここからは第二部、場所を屋内に移して開催されたベジロジシステム討論会の様子をご紹介します。 目次 前編 ...続きを読む
「第2回ベジロジサミット」レポート前編 | レタスの食べ比べとベジロジ倉庫・トラック
IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software
「佐久地域は葉洋菜類の一大産地であり、産地の生産を守ることは日本の食を守ることです。主体的に取り組んでいきます。ただ、青果物の取り組みは特に困難な要素が多く、物流業界でも取り組みが進んでいない分野です。そんな中で、持ち前 ...続きを読む
日本Maximoユーザー会2024@天城ホームステッド 開催レポート
IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software
2024年10月15〜16日の2日間に渡り、IBM天城ホームステッドにて1年半ぶりの「日本Maximoユーザー会」が開催されました。 石油・化学企業、産業機械製造企業、エネルギー企業、エンターテインメント企 ...続きを読む