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統合型職場管理システム(IWMS)バイヤーズガイド

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今日のデータ駆動型の社会では、物理的なインフラとデジタルはより密接な関係となっています。不動産施設やワークプレースは刻々とデータを生み出し続けており、それらを管理する施設管理業界は、データ駆動型ビジネスの最前線に位置しています。

収集したデータの分析から、運用効率を改善していく機会をタイムリーに捉えること、施設の価値を上げるための洞察を活かした意思決定をしていくこと — これらを実施できるか否かが、ROI(費用対効果)の向上と企業の競争力を大きく左右します。

 

このデータ駆動型の社会に対応した企業となるには、施設パフォーマンスを最適化し強化するためのテクノロジー・ソリューションが不可欠です。不動産管理、リース管理、大規模プロジェクト管理、空間利用率、運用保守、職場での体験最適化の各領域を管理し、そこから最大の付加価値を生み出すための統合型職場管理システム(IWMS)の選択に、誤りは許されません。

それでは、IWMSの選択に誤りが起きないよう、必要とされる機能とそれがもたらす付加価値を各領域別に見ていきましょう。

 

■ 不動産管理

通常、不動産は組織にとって最も費用がかかる領域です。よって最高財務責任者や財務担当役員は慎重に不動産ポートフォリオの最適化を進めます。彼らの業務目的は「面積あたりの価値を最大化する」ことと言ってもよいでしょう。

IWMSは、次の3つの重要な分野で不動産ライフサイクル管理を改善し、企業に新たな機会を提供します。

 

  1. トランザクション管理は、組織による施設取得や統廃合のための意思決定を支援します。リアルタイムのパフォーマンス可視化と、そこから作成されるシナリオにより、経営幹部は自信を持ってデータに基づいた意思決定を行えます。
  2. リース管理は、リース更新の合理化や過払い回避などを実現します。契約条件に応じたトラッキングや日付通知、請求書の検証などを自動化し、コストを削減し効率を向上します。
  3. リース会計は、財務上の数値やデータ変更・承認などの大量の監査作業を支援します。バランスシートが資産と負債の両者を正確に反映していることを保証し、コンプライアンス要件を満たす財務報告の作成を実現します。

 

■ 大規模プロジェクト管理

組織は、IWMSに、最高品質の施設・環境プロジェクト管理とそれがもたらす結果を期待しています。また同時に、統合された分析とプロセスの自動化によるスケジュールの加速も求めています。

IWMSは、次の3つの重要な分野で大規模プロジェクト管理を改善します。

 

  1. プロジェクトポートフォリオ管理:IWMSは、組織のすべてのプロジェクト結果を分析することで、複数の資金要請をビジネス要件に照らし合わせ、優先順位を決定します。
  2. プロジェクト計画:IWMSは、投資シナリオ分析を通じてプロジェクト計画と実行管理を支援します。マネージャーがプロジェクトの計画と進捗を比較し、より多くの情報に基づいた意思決定を行えるよう、プロジェクト分析を提供します。
  3. プロジェクトスケジュール管理:IWMSは、継続的に時間、コスト、スコープの観点でバランスを取るための、高度なプロジェクト実行およびコントロールするための機能を提供します。

 

■ 空間利用率

スペースの3分の1近くが未使用の状態にあるとも言われる変化の激しい今日のワークプレースにおいては、組織は適切な規模、移転、合併、買収などを通じて入居者の期待に応え続けなければなりません。

IWMSは、プロセスの集中化と統合により、地理的に分散した従業員の作業効率を改善します。また次の3分野を支援し、組織の重要分野への集中を加速させ空間利用率を向上します。

 

  1. 戦略的スペース計画:IWMSは、組織のビジネス要件と目的に適合した稼働状況を把握、評価を支援します。
  2. 移動管理:IWMSは、自動化されたセルフサービス・プロセスを用いて、人、リソース、資産の移動作業を手順化し管理します。移動後は、スペース使用量に応じて内部部門およびサードパーティへの請求も自動化します。
  3. スペース予約管理:IWMSは、共有ワークスペースや資産などの限られたリソースを最大限に活用できるよう、利用可能時間を最適化するガイドと予約システムを提供します。

 

■ 運用保守

施設の総所有コストの70%が運用保守に関わるものです。施設の適切な管理は、効率向上と運用コスト削減、高品質の入居者体験を同時達成するのに不可欠であり、そのために重要なのが以下の3分野です。

 

  1. サービスライフサイクル管理:IWMSにより、問題を的確に把握してSLA(合意サービス水準)や保証条項と連携させることで重複作業を削減し、遅延減と大幅な節約を実現できます。サービス要求から対応手配までのサービス管理プロセスを自動化することにより、サービス提供者のパフォーマンスを向上させます。
  2. 予防保全:IWMSにより、定期的な保守スケジュールが維持され、SLAと保証条項に則った作業指示書が自動的に発行されます。効率性向上の切り札である予防保全により、故障や計画外の作業停止によるコストを最小限に抑えられます。
  3. 状態保全:IWMSにより、問題発生の可能性を予防的アプローチにより特定し、特定箇所に問題発生前に保守を実施することでさらなる価値を提供します。システムの施設評価機能が問題点を追跡および評価し、施設寿命を延長する機会を特定します。

 

■ 職場体験最適化

MarketsAndMarkets社の調査によれば、従業員エンゲージメントで上位にランクされている企業は、生産性が21%高く欠勤率が37%低くなっています。また、エンゲージメントの低い企業と比較すると離職率は最大59%下がり、組織の収益に大きな影響を及ぼしています。IWMSは、次の3つの重要な側面で職場体験最適化に必要な機能と洞察を提供します。

 

  1. スペース管理:データセンターからカフェテリアまで、全社的な視野で施設内のあらゆるスペースを適切にサイジングするには、データを読み解きビジネス目標に重ね合わせることが必要です。IWMSは、どのタイミングでどのスペースに対してどのような戦略的な判断を行うべきかを特定し、意思決定を支援します。
  2. 職場サービス:今日の従業員は、自宅と変わらないレベルの便利なテクノロジーを職場にも求めています。従業員が成長するのと同じように、施設の設備や提供サービスも成長するべきでしょう。IWMSは、タッチスクリーンや音声などで直感的に使用できる技術を従業員に提供し、ケータリング手配や会議室などのスケジューリング、保守要求や報告、室温設定などの一般的な作業を簡素化します。
  3. ユーザーエクスペリエンス:従業員により良いユーザーエクスペリエンスを提供することが、職場体験をより良くします。IWMSは、従業員にとって最も重要な作業を特定し、その作業体験をカスタマイズ可能なアプリ、レスポンシブ・デザイン、カレンダー統合などで改善します。

 

■ リーダー製品への投資による価値最大化

IoTとAIによるデータ駆動型「スマートなビル」は、従来とは異なるレベルの運用効率と最適化をもたらしており、具体的で目に見える価値を生み出しています。先見の明のあるリーダーたちはすでに投資を進めており、この分野への年間投資額は2020年までに30億4千ドルに達するであろうと予測されています。

IBM TRIRIGAは、施設管理業界が必要とする不動産管理、リース管理、大規模プロジェクト管理、空間利用率、運用保守、職場体験最適化などの中核領域において他の製品よりも高い評価を受けており、独立系調査会社のVerdantix社によってリーダーとして選出されています。

 

IBM TRIRIGAは公共・民間を問わずさまざまな企業や組織にご利用いただいており、世界中の多くの政府機関や大規模不動産の所有者に大きな価値を提供し、高い評価をいただいています。

 

IBM TRIRIGAの詳細について下記ページよりご確認いただけます。

統合型職場管理システム(IWMS)で不動産・施設管理を強化

 

 

問い合わせ情報

お問い合わせやご相談は、Congitive Applications事業 にご連絡ください。

 

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土屋 敦 |Technical Lead, AI Applications.(Watson IoT)

当記事は、The true value of an integrated workplace management system(要登録)を抄訳し、日本向けにリライトしたものです。

 

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