IBM Sustainability Software
次世代店舗ソリューション・ショールーム(ISE Technical Conference 2019レポート)
2019年05月20日
カテゴリー IBM Sustainability Software | イベントレポート
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2019年4月に行われた日本アイ・ビー・エム システムズ・エンジニアリング株式会社(ISE)の技術カンファレンス「ISE Technical Conference」では、IBM箱崎本社事業所に流通・小売業向けソリューションを集めた「次世代店舗ショールーム」が2日間限定でオープンしました。
そのショールームで展示されていた、店舗運営の効率化、販売戦略立案、新たな顧客体験の創造などを支援する7つのデモを紹介します。
1. カメラとAIによる来店客認識と顧客ごとのオススメ品紹介
店舗ショールーム店長の矢野さんにご案内いただき、今後、各地の次世代店舗で使われるであろうさまざまなテクノロジーを、デモで見せていただきました。
いくつかのパターンを見せていただいたのですが、上顧客の来店時には「ロゼワインが好み」と表示したり、危険人物として登録されている人が来店した際には、赤いパトランプが回転し始めたりも!
店員不足で接客の品質が落ちてしまったとか、有効な声かけができないという話も最近は少なくないようです。リピーターの増加や顧客単価の向上にいかがでしょうか?
2. 次世代スマートカートと商品口コミ分析
ポイント: ショッピングカート搭載のタブレットが、音声チャットでお客様にさまざまなアドバイスを
対象:顧客向け
「今晩の献立はどうしよう?」「いつもより高級なワインを試したいけど、ハズレは怖いし…」「重たい荷物は持ち帰りたくないから配送して欲しい!」など、来店客のいろいろなリクエストに応え、スムーズな買い物体験を提供するショッピングカート搭載タブレットです。
デモでは「今日は何にしようかな?」という曖昧な問いかけに「ビーフシチューはいかがですか」と答えてくれました。さらに、材料売り場までの行き方も教えてくれました。
上の写真は、メニューに合う飲み物として、オススメの赤ワインの口コミを提示してくれているところです。ワインって、選ぶのが難しいですよね? ここでは口コミ情報をキーワードの関連性などから視覚化して見せてくれて、購買決定の支援をしてくれました。気になるワインがたくさんあって絞りきれないお客様には、重たい荷物を持って帰らなくていいように、タブレット端末がネットショッピングによる商品の購入および配送の提案までしてくれるそうです。
3. ブロックチェーンでお客様に商品の生産・流通情報を提供
ポイント: ブロックチェーンを利用し、お客様に信頼性の高いトレース情報をQRコードで提供
対象:顧客向け
食への安心安全を求める声が高まる中、中央集権的な管理システムに「透明性が低く、データ改ざんされても気づけない」と不安を覚えたり、信頼できないものと受け取るお客様も増えてきているようです。
商社・卸業者、輸送業者、製造元、小売店でブロックチェーンを利用した食品トレーサビリティシステムを構築することで、消費者だけではなく、事業者側にも問題発生時の原因究明や影響範囲の迅速な特定などのメリットを提供できるのではないか? とこのデモでは提案していました。
特に、ワインなどの輸送中の環境や状況に多大な影響をうける食品の場合は、IoTやブロックチェーンでの「今、ここに至るまでの品質の可視化」が、今後重要な取り組みとなっていくことでしょう。
4. ARによるパーソナライズされた商品情報表示
ポイント:探している商品の位置や関連情報をアプリやスマホカメラに提示
対象:顧客向け
売り場の人手不足により、本来であれば売れた商品が売れなかったという機会損失や、顧客満足度を下げてしまったというケースに悩まれている店舗も少なくないのではないでしょうか。
このデモは実にシンプルで、探している商品の詳細情報をモバイルアプリに表示し、それが商品棚のどこにあるかをARで表示してくれるものです。またその際、別の人気商品や話題の商品を合わせて映しだすことができるので、「合わせ買い」や「ついで買い」にもつなげやすそうです。
「技術的には実装が比較的簡単なんで、PoCをしたいなどのリクエストがあれば早く対応できると思います」とのことなので、お客様から「あの商品はどこ?」とよく聞かれるお店は早急に導入を検討した方がいいかもしれませんね。
5. ドローンとAIで在庫管理を効率化
ポイント: 自動操縦のドローンが陳列棚や倉庫を撮影し、画像解析で在庫を確認。必要に応じて通知も
対象:店舗スタッフ向け
こちらも一つ前のARによる商品情報表示のデモと同様に、店舗の人手不足に困っている方にオススメです。デモのシナリオは以下のようなものでした:
- 「30分おき」などで設定した時間トリガー、あるいはユーザー実行によりドローン離陸
- 決められたルートをドローンが巡回
- 決められたポイントで画像解析にて在庫確認
- 在庫がない場合は通知(例: MM/DD hh:mm:ss 棚Aにポテトチップスを補充してください)
- 次のポイントに移動
- すべてのポイントを巡回後、離陸地点に戻り着陸
固定カメラで在庫管理を行う場合、大量のカメラが必要となりコストがかかる、あるいは陳列棚のレイアウト変更に対応が困難などの課題がありますが、ドローンを使うことにより1台のドローンで自由に店内を飛行させることができるので固定カメラよりも費用や利便性でメリットがあるようです。
一方で、ドローンは静粛性や安全性でまだ課題も残っているようなので、これらが解消されると一気に導入が進むソリューションかもしれませんね。
6. IoTセンサーで「手に取る」に新たな顧客体験を
ポイント: 商品を持ち上げたタイミングで関連情報がディスプレイに。「持つ」と「見る」の新しい関係性
対象:顧客および店舗 / 本社スタッフ向け
このデモはISEではなく、2018年4月に発足したDigital Makers Lab.(DML)によるものでした。DMLについては、こちらの記事で詳しく紹介されていますのでぜひ併せてご覧ください。
展示品に加速度センサーを取り付け、手に取るという動きに合わせて情報をモニターに表示します。また、カメラと連動させる事で、いつだれがどの商品をどのくらい手に持ったかというデータを収集・分析し商品企画や販売戦略につなげることもできるというものでした。
ディスプレイに表示する内容や、表示先のディスプレー自体に工夫を凝らすことで、いろいろな「新しい顧客体験」を生みだせそうですよね。
私の頭には、ハンガーラックから手に取った洋服を持って姿見の前に行くと、それを着た自分の姿が映る「スマート試着」が浮かびました。
7. LiDARとWebカメラによる顧客行動の可視化
ポイント: 買い物客の位置、行動、姿勢などを収集・分析し、配置やディスプレイを最適化
対象:本社スタッフ向け
従来のPOSでは得られなかった「非購入者」に関するデータを、商品棚に設置したWebカメラと、LiDAR(light detection and ranging、ライダー)と呼ばれる光を用いたリモートセンシング技術で取得し、それを分析することで店舗レイアウトや商品企画など、潜在顧客へのアプローチを検討することができるというデモでした。
デモ担当者によれば、前述の「4. ARによるパーソナライズされた商品情報表示」と同様に、SaaS(IBM Cloud、Watson、Watson IoT Platform)を利用すればを素早く簡単にPoCを開始できるとのことでした。
これまでは技術的に検証することが難しかった仮説を、一挙に明らかにするチャンスかもしれません。そしてそこには売上アップへの大きな秘密が隠されているかもしれませんよ?
何名かの来場者に「どれが興味深かったですか?」と聞いてみたところ、みなさんの意見が分散していたのが印象的でした。
ただ、誰もが口を揃えて言っていたのが「自社の業務への展開イメージがわいた」と答えていたことです。やはり、実際に自身の手で触れてみたり直接目にしたりしたことで、ご自身の業務への適応アイデアがいろいろと浮かんだようでした。
問い合わせ情報
お問い合わせやご相談は、Congitive Applications事業 cajp@jp.ibm.com にご連絡ください。
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