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インテリジェントな製造により品質と歩留まりを向上 (セミナーレポート)

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セミナー『Smart Manufacturing Forum 2020』から、志田 光洋によるセッション「インテリジェントな製造により品質と歩留まりを向上」の一部を紹介いたします。

 

インダストリー4.0(スマート・マニュファクチャリング)の実現に向けて、「とりわけ日本の製造業においては、現場を支え続けてきた熟練工の方たちの知識と経験を、どうデジタルに引き継いでいくかという観点が欠かせません」と、講師の志田はセミナー冒頭で語りました。

そして「画像認識」「作業者遠隔支援」「インテリジェント・ワークフロー (ワークフロー全体の自動化・高度化)」の3つに絞り、自らのコンサルタントとしての経験を基に話を続けました。

当記事ではその中から「画像認識」の説明を中心にご紹介します。


 

熟練工の経験と知を大きく分解すると、以下の3つに分けることができるでしょう。

  1. 作業日報やトラブル報告書などに「自然言語」として形式化されているもの
  2. 画像や音、匂いなどの「五感」を判断源とするもの
  3. 初心者や周囲の作業員の動きや姿勢との違いなど「人の動き」からの洞察

 

これからご紹介させていただく画像認識は、人間が視覚を用いて行う上記2番目の五感を用いた判断源を、画像データとIoTやAIを用いることで品質や欠陥箇所などを特定し、それに対して作業を行うという分野です。

電子・食品・材料・自動車など、さまざまな製造現場で用いられています。

 

IBM Visual Inspectionは、製品・部品の受入れ検査工程で欠陥を検査し、学習させた欠陥パターンと照合し、パターンに応じてOK/NGを判別する画像認識ソリューションです。

「多くの画像を用意してパターン化し、なにが異常でなにが正常を認知させ、検出する」という作業ですが、従来は実施前の準備に非常に手間(時間やコスト)がかかり、本格的な実運用がなかなか進まないという状況でした。

今からご紹介させていただくのは、実施前の準備を大幅に減少させるのと同時に、お客さまからいただいていた「新製品の最初の生産時に起きる、重大な組み立て工程上の問題の解決」というお題をクイックに解決した取り組みと結果です。

 

この事例の結果を先にお伝えすると、ソリューション導入後最初の30日間で、32台もの組み立てミスを防止することができました。これにはお客さまも驚かれ、高い評価をいただき、現在組み立てライン30工場への展開を進めているところです。

この好結果につながったプロセスと理由を簡単に説明すると、以下のようになります。

・ 大掛かりな準備・工事不要

まず、既存のiPhoneに取り外し可能なバッテリーパック付きのケースを作成して製造ラインに直ちに組み込みました。これにより、AIがデータから学習するための画像を、作業員が簡単に撮影できるようになりました。

・ 発見と是正

Apple App StoreからIBM Visual Inspectionのアプリをダウンロードするだけで、作業員は現場を離れず、アプリダッシュボードから簡単に画像データに対するフィードバックを行っていくことができます。

・ データサイエンティスト不要

以前であればデータサイエンティストが時間をかけて行っていたデータモデルの学習(機械学習のアルゴリズム調整)が、現場からのフィードバックとシステムに事前に組み込まれた学習モデルテンプレートを用いる事で、わずかな時間で完了するようになりました。

 

ご紹介させていただいた画像認識ソリューションは、新しいテクノロジーを活用した自動化の一例です。

このセミナーでは、他にも「情報を探す時間がかかる」「専門家の数が限られている」「経験や感覚で対応せざるをえない」といった製造現場の課題に対して、AIやモバイルデバイスの活用によって作業者を遠隔から支援するツールキット「IAMA(イアマ)」についても紹介しています。

 

そして最後に、製造プロセスにおける一部の自動化・省人化ではなく、エンジニアリングチェーンとサプライチェーンの全工程をデータでつなぎ、相互フィードバックにより最適な状態を作っていく「インテリジェント・ワークフロー (ワークフロー全体の自動化・高度化)」について保全業務を例に説明し、セミナーは修了となりました。

 

問い合わせ情報

 

関連ソリューション: Visual Inspection(旧名: IBM Visual Insights)

 

 

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TEXT: 八木橋パチ

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