IBM Sustainability Software

災害に強く環境に優しいスマートな道路、橋、トンネルで、経済と社会を支える

記事をシェアする:

 

世界経済がCOVID-19との格闘を続けている中、何が経済成長を再び活気づける鍵となるのか、さまざまな検討が進められ決断が求められています。

大手再保険会社スイス・リーの最近のレポートには、持続可能な成長の迅速な再開には、公共インフラへの支出が重要な役割を果たすであろうと書かれています。

パンデミック発生前、災害に強い公共インフラへの取り組みは強力に進められており、急速なイノベーションが起きている分野でした。AIやIoT、そして資産管理システムなどのデジタル・テクノロジーが、市民生活を支える公共インフラ分野においてはすでに有効活用され始めていました。

 

現在、各国政府はCOVID-19景気刺激策を決定・実施を進めています。

米国政府は、合計数千億ドルに上るインフラストラクチャ支出プログラムの概要を発表し、欧州連合は7500億ユーロの回復基金を、そして新興市場では今後20年間に渡り年間2.2兆ドルのインフラストラクチャへの投資が予想されています。

これらの道路、橋、トンネルの近代化プロジェクトには、大きな支持が集まることでしょう。ここで重要なのは、道路、橋、トンネルの一層のスマート化であり、災害に強く環境に優しいものへと変換させることです。

 

■ 市民生活を支えるインフラ近代化3つの方法

公共インフラ近代化において、有効性が確認されている3つの方法を順に見ていきましょう。

 

管理: 資産管理システムにより、建設・保守履歴、計画と実施の記録、関与部門と責任部門の明確化がインフラのライフサイクル全体を通じて行われます。

スプレッドシートや写真、ビデオや3Dモデルなど、さまざまな形式のデータセットが統合・管理され、一貫性と情報透明性が向上します。

その結果、メンテナンスが合理化され、第三者検査への対応も容易になります。

 

監視: インフラに関するデータ収集機能は、ここ10年間で指数関数的に向上しました。

以前であれば、視覚検査のためのデータ集積は労働集約的作業であり、エンジニアの多くの時間が費やされ安全上の懸念も少なくありませんでした。それが今では、ネットワークセンサーやカメラ、ドローンなどで簡単にデータを集められるようになりました。

収集されたデータはAIにより分析され、障害や亀裂などの検出に用いられています。

これらのデータ分析機能は高い精度と整合性を示すだけではなく、エンジニアの限られた時間と労力をより必要とされる分野につぎ込むことを可能としています。

 

予測: 資産管理システムによる履歴管理が正確に行われるようになると、現場に設置されたセンサーから定期的かつ決められた形式で送られてくるデータが適切に蓄積されるようになり、AIによるデータの洞察への転換が可能となります。

AIを用いた機械学習は、統計モデルを作成し、異常を特定して将来の問題発生可能性を予測します。

予測分析とは、履歴データを基に過去の同様のシナリオを活用し、将来何が起こるかを予測・示唆することで、予防的な資産管理アプローチを可能にするものです。

 

■ インフラ資産の寿命を延ばし、コストとリスクを抑える

公共インフラ近代化という新しいアプローチの成功に不可欠なのが、公共・民間を問わない関係各社と、その取り組みを支援するテクノロジー企業との効果的なコラボレーションです。

IBMは先日、インフラストラクチャー業界が必要としている新たな機能を提供するために、ヨーロッパの主要公共インフラ企業であるSund&Bælt社、およびインフラストラクチャ評価会社であるSacertis社と提携し、「IBM Maximo for Civil Infrastructure」という新ソリューションを発表しました。

 

IBM Maximo for Civil Infrastructureは、橋、トンネル、高速道路、ダム、グリッド、鉄道などの公共インフラ状態管理に特化した、新しい資産管理ソリューションです。

構造的健全性を監視して劣化や損傷を早期に警告することでメンテナンスを最適化し、インフラ資産の寿命を延ばすことができます。インフラ資産管理者は提供される情報を用いることでより効率的な作業とより適切な意思決定を行うことができ、コストを最小限に抑え潜在的なリスクを軽減できます。

このソリューションは、イタリアの高速道路を運営管理するアウトストラーデ・イタリア社との75億ユーロにも上る変革プログラムにより生まれたものです。このプロジェクトでは、デジタルテクノロジーにより、イタリア全土に広がる数千もの公共インフラストラクチャの管理を変革しました。

 

COVID-19は、あらゆるものへの再考を人びとに迫りました。世界中の公共インフラも例外ではありません。

施設の安全性と混雑・混乱のない状態に向けた取り組みは世界が求めているものであり、IBM Maximo for Civil Infrastructureはその声に対して応えるものです。

そして同時に、世界経済の再起動に向けて、必要な行動を支援するソリューションでもあるのです。

 

問い合わせ情報

お問い合わせやご相談は、Cognitive Applications事業 にご連絡ください。

 

関連記事

アウトストラーデ・イタリアとIBM、社会インフラをリアルタイム監視・管理するIoTソリューションを発表

[事例] クウェート石油会社 | あらゆる機器資産と業務プロセスをMaximoで管理

設備資産をどう守る? 複数の戦略を比較してみる

 


ヘリン テクニカル・セールス, AI Applications

 

 

当記事は、米国時間2020年10月に掲載されたIBM News Room記事「Why Smarter Roads, Bridges and Tunnels Are Good for Economies and Societies」を抄訳したものです。

 

More IBM Sustainability Software stories

「第2回ベジロジサミット」レポート後編 | ベジロジシステム討論会

IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software

ベジロジ倉庫とベジロジトラック、そしてキャベツ食べ比べを中心にご紹介した「第2回ベジロジサミット」レポート前編に続き、ここからは第二部、場所を屋内に移して開催されたベジロジシステム討論会の様子をご紹介します。 目次 前編 ...続きを読む


「第2回ベジロジサミット」レポート前編 | レタスの食べ比べとベジロジ倉庫・トラック

IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software

「佐久地域は葉洋菜類の一大産地であり、産地の生産を守ることは日本の食を守ることです。主体的に取り組んでいきます。ただ、青果物の取り組みは特に困難な要素が多く、物流業界でも取り組みが進んでいない分野です。そんな中で、持ち前 ...続きを読む


日本Maximoユーザー会2024@天城ホームステッド 開催レポート

IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software

2024年10月15〜16日の2日間に渡り、IBM天城ホームステッドにて1年半ぶりの「日本Maximoユーザー会」が開催されました。   石油・化学企業、産業機械製造企業、エネルギー企業、エンターテインメント企 ...続きを読む