IBM Sustainability Software
特別寄稿 | サステナブル・ビジネスのハブ「IDEAS FOR GOOD Business Design Lab」
2021年12月24日
記事をシェアする:
あなたが、世界が抱えるさまざま課題や日本の社会問題に対してなんらかの危機感を感じているZ世代の若者なら、あるいはミレニアル世代で、ビジネスや社会構造に違和感を感じているのならば、おそらくは世界中のソーシャルグッドなアイデアを集めたオンラインマガジン「IDEAS FOR GOOD」のことはご存知でしょう。
IBM社内でも、サステナビリティーに関心を寄せているIBM社員十数人に「IDEAS FOR GOODを知っていますか?」と質問してみたところ、2名を除き「もちろん知っている」という答えが返ってきました。
しかし、それとはまったく反対の答えが返ってくるのが次の質問です。
「そのIDEAS FOR GOODに、ビジネス・ユースに特化したサイトがあるのを知っていますか?」
世界中のソーシャルグッドな「アイデア」を日本のビジネスに提供するIDEAS FOR GOOD Business Design Lab(以下、BDL)と、世界中のさまざまな業種・業界のお客様とビジネスを行い、その「ノウハウ」と「テクノロジー」を日本のビジネスに提供しているIBMがタッグを組んだら、日本のビジネスのサステナブル・トランスフォーメーションはもっと加速するのではないか?
— 今回、そんな仮説を元に、BDLの開発者であり、中心となってその活動をリードしている宮木 志穂さんに、その活用方法について寄稿していただきました。
記事後半では、宮木さんに開発裏話や、その原動力について伺ったショートインタビューの模様をお届けしています。ぜひ最後までお読みいただき、自社ビジネスをよりサステナブルにするための方法をご確認ください。
IDEAS FOR GOODでは、世界を大きく変える可能性を秘めた最先端のテクノロジーから、社会問題を知らせる広告やアート、人々の行動を変えるデザインまで、世界中に散らばるソーシャルグッドなアイデアをご紹介しています。
記事例:
・ 消費期限が近い食材は、赤に。家庭からの食品ロスを防ぐスマートタグ
・ ロンドンの街全体がゲームに。歩いて大気汚染を解消する「Beat the Street」
・ イスラエル政府の「清掃テック」ごみがデジタル通貨に変わるアプリが登場
上記のようなユニークなニュース記事以外にも、最先端のサステナブル事例を手掛ける世界中の人びとへのインタビューや、「アグロフォレストリー」「ダイレクトエアキャプチャー」などのサステナビリティー関連用語を解説した用語集ページなど、世界の最新トレンドをインプットできるメディアです。
このメディアの知見を、国内企業のサステナブル・トランスフォーメーションに着実に繋げるためのプラットフォームが「IDEAS FOR GOOD Business Design Lab(以下、BDL)」です。
BDLでは、事業を通じて社会課題の解決に取り組む企業・団体を情報収集からアクションまでワンストップでご支援しており、会員登録(無料)いただくことで、「アイデア検索」「メルマガ登録」「イベント参加」の特典があります。
それでは、1つずつその特徴についてご紹介していきます。
● アイデア検索
アイデア検索では1700件(2021年12月現在)を超えるアイデアをデータベース化しており、効率よく検索し、インプットすることができます。
<特徴>
- 国・業界・イシュー(社会課題)・ソリューション、SDGsといった切り口で、世界中の先行事例を日本語で複合検索できる
- じっくり知りたい事例はお気に入り登録し、IDEAS FOR GOODの記事も読める
- 多数の事例を見てきたIDEAS FOR GOOD編集部の視点から、事例の「ここがGood!」ポイントを知ることができる
<使い方>
- 自社・クライアントの業界や挑む社会課題についてキーワードを入れる(複数検索可能)
- 検索結果の事例から、概要をざっとつかむ
- 深く知りたい事例は「記事を読む」や「出典リンク」から辿る
所属している業界・共創したい業界のユニークな先行事例を手軽に見つけ出して事業アイデアにつなげたり、自社技術を活かせそうな取引先やパートナー企業候補を探し出したりと、さまざまな用途でご活用いただけます。
また、これらのアイデアをキュレーションしたコラムについては会員登録不要でご覧いただけます。
記事例:
・ 製品を長く循環させるカギとは?愛着が湧くデザインの原則と事例
・ 脱炭素の先を見据える。国内外のサーキュラーなメーカーの取り組み事例と回収のメソッド
・ 働き方やオフィスの工夫で、サステナビリティ推進を加速させるには?従業員のウェルビーイングを高める事例をご紹介
● メルマガ登録
毎月発行しているメールマガジンも受信できます。このメールマガジンでは、グローバル企業の戦略やCOP26などの国際会議のニュースなど、その月の世界のサステナビリティーに関する最新情報の要約や、BDLのおすすめ記事、IDEAS FOR GOOD創刊者加藤佑のオリジナルコラムを掲載しています。
<特徴>
- サステナビリティー業界のトレンドを毎月学べる
- 世界のサステナビリティー動向のサマリーを日本語で追うことができる
- 世界のサステナビリティー事例を追ってきたIDEAS FOR GOOD創刊者独自の視点を得ることができる
また、これまでのアーカイブはこちらからご覧いただけます(メルマガ内容は会員登録者のみ閲覧可能)。
メルマガタイトル:
*2021年11月号*プロダクトが提供したい「価値」から考えるサステナビリティ
*2021年10月号*どうなるCOP26? 脱炭素とサーキュラーエコノミー
*2021年9月号*正解がないサステナビリティを、どうコミュニケーションするのか?
● イベント参加特典
BDLではサステナブルビジネスに関してアップデートできる勉強会・イベントを実施しており、イベント参加費割引特典もご用意しております。
<特徴>
- サステナビリティーをよりジブンゴト化するためのアップデートができる
- 同じ悩みを抱える異業種の同志とつながる
- 第一線で活躍するパイオニアから業務に役立つインスピレーションを受ける
過去のBDLイベントレポート
・ 東京のローカルプロジェクトに学ぶ都市型ウェルビーイングのつくり方。企業はどのように地域の人々の生活を豊かにできるのか?
・ 先進企業2社に学ぶ。サステナビリティの社内浸透を加速させる従業員体験をどうデザインする?
・ 企業とNPOの関係をリデザインする「寄付」のニューノーマルとは?
IDEAS FOR GOOD Business Design Labでは、個別のご相談も受け付けております。ぜひお気軽にお問い合わせください。
● 宮木さんへ5つの質問
―― 今回はご寄稿いただきありがとうございました。BDLには関係者の想いがつまっていると思うのですが、その「コンセプト」をシンプルに言うと、どのようなものとなりますか?
宮木さん: 「Turn Ideas into Actions(アイデアを形に変える)」ですね。IDEAS FOR GOODに載っているアイデアは、誰かの原動力や業界・世界の常識を大きく変える「種」に近いものだと思っています。希望にあふれたアイデアをアクションに変えることを使命としています。
―― BDLがセットしているKGI(重要目標達成指標)があれば教えてください。
宮木さん: BDLを通じて、IDEAS FOR GOOD に掲載できるような優れたプロジェクトを増やすことを目標に置いています。IDEAS FOR GOODのノウハウを活用して企業のサステナビリティーを支援し、結果として実現したアイデアやプロジェクトがIDEAS FOR GOODに掲載され、また誰かの参考や希望になるような循環を目指しています。
また、BDLにはIDEAS FOR GOODという事業の中で収益を生み出すという役割もあります。真正面から、サステナビリティーと経済性の両立を実現できることを証明しようとしています。
―― BDLを運営するハーチ株式会社は他にもソーシャルグッドな取り組みをいろいろ実践されていますよね。今、特に注力しているものや紹介したいものがあれば教えてください。
宮木さん: 弊社では、サーキュラーエコノミーのプラットフォーム「Circular Economy Hub」や横浜市内のサーキュラーエコノミーを加速させるプラットフォーム「Circular Yokohama」、日本のサステナビリティーを海外に英語で発信する「Zenbird」、サステナブルなライフスタイルを応援する「Life Hugger」など、サステナビリティー領域を中心に全部で9つのメディアを展開しています。
これらのメディアを通じ、さまざまな業界の垣根を超えてどのように読者の皆さまやその先にある社会全体の「Better Future(よりよい未来)」を実現できるのか、社内でディスカッションしています。
具体的には先日社内でマテリアリティを策定し、弊社のステークホルダーを招いた勉強会とダイアログを実施しました。ここで頂いたご意見をもとに社内のサステナビリティー推進をチームとして検討していることが特に注力していることですね。
(参考記事)ステークホルダーミーティング「Stakeholder Meeting for Good 2021」を開催しました
―― 宮木さんの、あるいはBDLの野望があれば教えてください。
宮木さん: BDLを通して企業さんとやりとりをするなかで、社内外でつながりながら、将来世代に歓迎される未来を創っている手触りを感じています。野望というほどではないですが(笑)、この充足感をより多くの人に感じていただくために、BDLの仲間を増やしていきたいです。
人事の方でも金融関係の方でも、工場勤務の方でもすべての人にサステナビリティーは関わってくるので、業界や組織の枠組みを横断して知恵を出し合い、環境・社会・経済にとって良いのはもちろんですが、個人の自己肯定感も高まるような、そんな仕事を創っていきたいです。
―― すごく重要な仕事ですね! 私たちIBMも、そういう仕事創りの輪に積極的に加わっていきたいのでよろしくお願いします。それでは最後に、IBMをはじめとするテクノロジー企業に対する期待や叱咤激励をお願いします。
宮木さん: AIを用いた廃棄物の分別、機器の機能を効率化させ、長寿命化させるIoT技術、ブロックチェーンによるバリューチェーンのトレーサビリティなど、サステナビリティー推進においてテクノロジーが期待されている分野は枚挙に暇がありません。
気候危機や生物多様性の喪失、格差、ウェルビーイングの危機など、あらゆる問題に対し、テクノロジーはそれらを生み出す原因にもなりますし、逆に解決する手段にもなりえます。せっかくであれば、世の中をよりよい方向に変えていくためにテクノロジーを活用していけるとよいなと思います。
実際に、BDLでもお客様のサーキュラーエコノミーやサステナビリティー推進のフェーズが「学習」から「実践」へと移っているなかで、具体的なアクションに必要となるITソリューションに対するニーズが増えていることも感じています。ぜひ、私たちと一緒に将来の世代に歓迎される未来を創っていければ嬉しいです。
「すべての人にサステナビリティーは関わってくる」という宮木さんの言葉に、「それは人間だけではなく法人も同じ。むしろ法人こそその関わりは大きいのではないか」ということが頭をよぎりました。
IBM社内でも「サステナビリティーをしっかりと推進し、加速させること。そのために必要なテクノロジーとは何か? そしてそのテクノロジーは、社会全体でのウェルビーイングの量的あるいは質的な向上に寄与するものだろうか?」を日々話しあっています。
IDEAS FOR GOOD Business Design Labとの今後のコラボレーションにもどうぞご期待ください。
なお、以下はIBMが最近ご支援させていただいたサステナビリティー推進事例や、ソリューション紹介記事となります。併せてご覧ください。
問い合わせ情報
TEXT 八木橋パチ
日本Maximoユーザー会2024@天城ホームステッド 開催レポート
IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software
2024年10月15〜16日の2日間に渡り、IBM天城ホームステッドにて1年半ぶりの「日本Maximoユーザー会」が開催されました。 石油・化学企業、産業機械製造企業、エネルギー企業、エンターテインメント企 ...続きを読む
トヨタ紡織「 A-SPICE レベル3」取得活動事例 | シートシステム/車室空間開発の未来に向けて
IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software
「Automotive SPICE(A-SPICE)の取得を意識し、実際に検討を本格化したのは2021年です。そして昨年2023年3月にレベル2を取得し、そこから約1年半で今回のA-SPICE レベル3の取得となりました ...続きを読む
「何度でもやり直せる社会に」あいふろいでグループ代表 吉谷 愛 | PwDA+クロス9
IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software
「日本は一度ドロップアウトした人にとても厳しく、いわば『敗者復活』の機会が残念ながらとても限られています。ただそんな中で、半年程度の準備期間で再チャレンジの機会を手に入れられるのが『IT』です。 私自身、ITに救われた身 ...続きを読む