IBM Sustainability Software
拡張インテリジェント・ワークフローの魔法 | from IBVレポート
2022年08月17日
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当記事は、IBM Institute for Business Value(IBV)のレポート『バーチャル・エンタープライズ 拡張インテリジェント・ワークフローの魔法』を一部抜粋し再編集したものです。
全編は下記よりダウンロードしてご覧いただけます。
https://ibm.biz/VirtualEntIWFJ
IBMが推進する「インテリジェント・ワークフロー」は、AIやIoTなどの先端テクノロジーを駆使し、社内外に眠るデータを活用した意思決定を支援することで、人間的な判断を自動化する業務自動化の未来形です。
ワークフローの範囲が広がれば、高度な自動化、AI、IoTなどの応用技術の効果は何倍にも高まり、効率化や差別化が進みます。また、バーチャル化によって、ネットワークや接続性、スキル・エンゲージメントなどの可能性はさらに広がり、ワークフローも活性化し、アジリティーが高まります。
主なポイント#1 新しい働き方が組織を変革する
バーチャル・エンタープライズでは、拡張インテリジェント・ワークフローを通じて、ハイパー・インターコネクティビティー(超相互接続性)を実現させる。新しい働き方が機会を広げ、組織を変革する。
デジタル・ツールと人間の創意工夫とを精緻に組み合わせることで、業務パフォーマンスを新たなレベルへと引き上げることができる。IBVの最近の調査によると、インテリジェント・ワークフローの導入は、年平均8%の収益増加をもたらすと推定されている。*1
AIを搭載し自動化された拡張ワークフローは、人と機械の共働という、新たな働き方を生み出し、仕事の進め方を変える。これは自動化された意思決定にも影響を与え、職務の枠を超えたものとなる。
高度なアルゴリズムによって、デバイスは自己学習や自己修正、および自律管理が可能となり、接続されたデバイスやIT資産は、自らの状態を把握し、学習したことをベースにレスポンスを返す。
このようにインテリジェント・ワークフローは、人にしかできない本質的な付加価値を補完し、より精度を上げ、スピードアップする役割を果たす。
実際、最近のIBV調査では、調査対象となった経営層の半数以上が、「インテリジェント・ワークフローは、組織のサイロ化を解消し、生産性の最適化をはじめとする多くの業務上のメリットをもたらす」と報告している。*1
データと情報(データは事実のみからなり、情報は事実に評価や分析が加わったものである)は、この新たなインテリジェント・ワークフローにとって、原材料のようなものだ。
データに基づいたインテリジェント・ワークフローは、新たなデータ間の関係性や組み合わせを発見し、データの標準化とオープン・プロトコルの活用は、パートナーとの共同実験や共同イノベーションを可能にした。
こうした一連の動きが、オープン・ハイブリッドクラウド・アーキテクチャーの構築を推し進める要因の1つとなっており、データ・アクセスの高速化は、新たなリアルタイム・プロセスにとって、非常に重要なミッションとなっている。
マシン・センサーやIoT技術から得られるデータは、ワークフローの自動化をさらに促進し、リアルタイムでの洞察や予測を可能にする。今回のパンデミックでは世界のサプライチェーンの価値が大きく見直された。
そこでは、柔軟性と適応性がレジリエンスやリスク管理と拮抗し、需要と供給におけるリアルタイム・シグナルの重要性が高まっている。
[事例] Pandora社 インテリジェント・ワークフローによる顧客体験の革新
ジュエリーのデザイン、製造を行っているPandora社は、高品質な素材と手仕上げにこだわった製品をリーズナブルな価格で提供し、世界的な成功を収めている。同社の商品は、世界100カ国以上、6,700以上の売り場(約2,700のコンセプト・ストアを含む)で販売されている。パンデミックに…
主なポイント #2 エコシステム思考が価値創造を増幅させる
バーチャル・エンタープライズは、高度なエンド・ツー・エンドの接続性を重視することを通じて、エコシステム全体にわたってさまざまな関係を深化させる。エコシステム思考はインテリジェント・ワークフローを促進し、価値を一層拡大する。
拡張インテリジェント・ワークフローは、テクノロジーを大規模に採用することで組織のさまざまな領域をつなぎ合わせ、顧客との関係をより緊密で一貫したものに変革し、収益性を飛躍的に向上させる。
こうした、あたかもサイロの壁を越えていくような「エコシステム思考」は、予想以上の成果を上げている。
例えば、自動化・ブロックチェーン・AI・5G・クラウド・エッジコンピューティングといった組み込み型テクノロジーを含む「組織内部のインテリジェント・ワークフロー」がそれに当たる。(実際、IBV の調査によると、ワークフローにこれらのテクノロジーを実装することで、メリットを3倍にできることが分かっている。)*2
しかし、最大の成果はさらに広い範囲においてもたらされる。エコシステムや「エコシステム内のエコシステム」に深く浸透したワークフローは、参加者間のイノベーションとコラボレーションを加速することで、その影響を飛躍的に向上させる潜在力を持っている。
エコシステム全体における、顧客・サプライヤー・パートナーの三者をつなぐデジタル化が大幅に促進されることによって、リインベンション(ゼロベースで価値を構想して捉えなおすこと)が、より広範囲で可能になる。
最近のIBV調査で、「企業間の競争においてより優位な地位を確保するため、今後3年間で最も重要な領域は何か」を経営層に尋ねたところ、回答の多くはインテリジェント・ワークフローに含まれるものであり、インテリジェント・ワークフローによって、その効果をさらに高めることができるものであった。
新たなアジャイル・オペレーティング・モデルの登場と拡大によって、企業におけるアカウンタビリティー重視の文化、戦略目標との整合性の担保、そして絶えず進化する専門知識を通じた、チームのネットワーク強化が期待されている。
こうしたモデルは、透明性と可視性をもたらすことで、チームの継続的なコラボレーションと自己修正を促進し、組織が目指す目標に確証を与える洞察を、ほぼリアルタイムで提供する。
エコシステム思考の目的は、一貫した体験をもたらし、安全なデータ交換のオープン性によって、価値創造を加速させることにある。
データソースの爆発的な増加と、高レベルのデジタル化によって生まれたマイクロインサイトは、複雑な問題を分解して解決策を見いだす機会を促進する。
コンピューティング自体が、多種多様な機種が高度につながり合う「ヘテロジニアス(さまざまな機種等が混在している状態)な環境」へと移行するための技術革新が現実化するにつれて、量子コンピューティングを含むエクスポネンシャル・テクノロジーは、ハイブリッドクラウド上で管理されるインテリジェント・ワークフローに統合されていくことになる。
[事例] we.trade社 インテリジェントなワークフローで、貿易業務を簡素化
we.trade 社は、ヨーロッパの主要銀行の共同出資により設立され、世界初のデジタル金融貿易プラットフォームを提供している。ブロックチェーン・テクノロジーを用いて、買い手、売り手、銀行、保険会社、物流機関を、より高いデータ・インテリジェンスとトレーサビリティーに結び付け…
主なポイント#3 バーチャル化がエクスポネンシャル・テクノロジーになる
バーチャル化は、インテリジェント・ワークフローやそれを活用するプラットフォームの、効率や効果を高める機会を創出する。
バーチャル化は、従業員の業務、顧客エンゲージメント、物理的な資産などに適用される。
IBVの最近の調査によれば、バーチャル化によって組織のコストはすでに平均7%削減されており、今後3年間でさらに9%削減されると予想されている。*2
バーチャル化は、テレワーク・モデルとハイブリッド・ワークモデルとを結び付け、場所という制約を超えて、生産性を向上させる。場所の制約がなくなるにつれて、スキルや能力、必要な機能などに所選ばずアクセスできるようになる。パートナー企業を含むエコシステム内の人々へのアクセスが広がることで、可能性も大きく広がる。
また、バーチャル化は、コンピューター・シミュレーションやデジタルツイン、および拡張現実(AR)と仮想現実(VR)を用いた高度なモデリングによって、物理的な資産をデジタル化する。
こうした進歩によって、新たな洞察をリアルタイムで獲得したり、さまざまなリスクを低減したりすることができる。さらに、バーチャル化によって、不動産や営業資産、重機資産などへの設備投資についても、旧来のセオリーを新たなものへと変更できる。
例えば、アウトソーシングや新たなアセット・シェアリング・モデルへと、設備投資をシフトすることで、インテリジェント・ワークフローを備えたエコシステム・プラットフォームならではのアドバイスや接続、提供を行えるようになる。
つまり、バーチャル化によって、従来型の継続的なメンテナンスや設備投資による Capex(投資コスト)型のアプローチではなく、事業の運営状況に応じて物理的資産の管理を行う Opex(運用コスト) 型のアプローチが可能となるのだ。
[事例] ASTRI インテリジェント・ワークフローがもたらすスマート・マニュファクチャリングの進化
Hong Kong Applied Science and Technology Research Institute Company Limited (ASTRI) は、テクノロジー産業における香港の競争力を、応用研究を通じて高めることを目的に設立され、メーカーに対し、製品の開発から市場投入までにかかる時間の短縮、開発コストの削減…
*1 2021 年 IBM Institute for Business Value Virtual Enterprise Survey の未発表データ
*2 Foster, Mark. “Building the Cognitive Enterprise: Nine Action Areas—Core Concepts.” IBM Institute for Business Value. May 2020. ibm.co/buildcognitive-enterprisehttps://www.ibm.com/downloads/cas/JKJA41PW
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