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炭素排出量管理でESG投資時代の「企業価値」をつくる | ハフポスト日本版&IBM共同セミナー・レポート

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サステナビリティ推進部門や担当者にとって現在最も重要な仕事は、サステナビリティ成果を企業価値向上へとつなげていく「サステナビリティ経営の確立」に向け、経営陣のブレーンとしての役割をしっかりと果たすことです。

しかし残念ながら現状は、提出期限に急かされながらデータをかき集め、期日間際に何日間もエクセルと格闘する「作業」に終わってしまっている。そんな話をよく耳にします。

 

IBMは先日、上場会社のコーポレートガバナンスや株主総会対応を専門とされる弁護士の塚本英巨さんと、日本のESG投資の第一人者である夫馬賢治さんにご登壇いただき、企業のサステナビリティ対応に焦点を当てたオンラインセミナーをハフポスト日本版と共同で開催しました。

当記事では、セミナー後半のIBMのサステナビリティ・ソリューションの紹介セッションから、企業のサステナビリティに関する現状を可視化し、適切な情報開示を支援するソリューション「Envizi」の紹介パートをピックアップしてお伝えします。

登壇者は、サステナビリティ・ソフトウェア事業部のソリューション・リード 磯部博史です。後半は、従前より「コストをかけて利益を圧迫しながら社会貢献するのではなく、社会に貢献しながら成長する『トレードオン』を目指すこと」と語る、ファシリテーターの大塚泰子と共にお届けいたします。

 

サステナビリティに対する具体的な行動が「炭素排出量目標設定」で止まってしまっている組織や、自社が生み出すサステナブルインパクトの基準確立やレポーティング止まりで、運用化に踏み出せていないお客様にぜひご覧いただきたい内容となっています。

ぜひ、当記事並びに下記よりセミナー全般のレポート記事および動画をご覧ください。

 

左: 磯部博史(日本アイ・ビー・エム テクノロジー事業本部 サステナビリティ・ソフトウェア事業部 Solution Lead) | 右: 大塚泰子(IBM Corporation IBMコンサルティング 戦略チーム パートナー)

 

Enviziの概要および4つの特徴

Enviziは、炭素排出量の管理で組織をサポートするというビジョンを持ち、2004年にオーストラリアで設立され、それ以来20年近く運用ノウハウのベストプラクティストをSaaSで提供している企業です (2022年、IBMにより買収)。

IBMも含め140カ国150社で利用されており、複数の国や地域にまたがって事業を展開しているような会社様で利用されているという状況です。

 

その特徴は「サステナビリティー・ジャーニー」の実現で、ESGに関するさまざまな情報を収集するデータ基盤の構築 〜 そのデータを活用するためのレポーティング 〜 社内外のさまざまなチームやステイクホルダーと共に対策を実施という、一連の流れを実行できます。

そのように脱炭素を具体的に加速していくために、15のモジュールをSaaS上で選択して利用していただくソリューションとなっています。

 

データ収集・連携基盤

具体的な特徴をご紹介します。

まず1つ目の特徴がデータの収集・連携基盤です。ESGに関してはさまざまな情報源を社内や社外のシステムから、場合によっては取引先から、手動でデータを取り集めているご担当の方も多いことでしょう。

こういったさまざまな粒度の定性・定量データを、しっかりと自動的に取り込むデータ管理基盤をEnviziで実現することができます。

これまでの多くのお客様の実績でも、およそ90パーセント程度の量のデータが自動的にEnviziに取り込まれ、毎月しっかりとした分析が実現できています。

 

排出量係数の管理および自動選択

2つ目の特徴は、排出量係数に関するものです。

スコープ2やスコープ3といった温室効果ガス排出量係数は、いろんな国や地域、カテゴリごとにどんどん更新されていく状況で、ユーザー自らがそれを手動で管理することが非常に難しくなっています。

Enviziは4万以上の排出量係数を内蔵しており、SaaSとして更新に対応しています。ですから、ユーザーは活動量に関するデータを入力するだけでよく、Enviziが自動的にその発生源の国や地域、期間やデータ種別に応じて、排出量係数を選定して算出するようになっています。

 

豊富な分析テンプレート

3つ目は、ESGデータをさまざまな角度から分析する分析テンプレートを内蔵していることです。

代表的なものは6つで、「排出量の比較分析」「情報を深掘りするドリルダウン分析」「スコープ3に特化した分析」「不動産ポートフォリオなどの特定領域に特化した分析」「エグゼクティブ向けなど利用ユーザー特化型の分析」「データそのものの精度や品質の分析」となります。

ユーザーは、これらの分析テンプレートを使い、社内外のステークホルダーと共に具体的な排出量削減プログラムの検討や実行を行うことができます。

 

ESG情報開示レポーティング

最後の4つ目の特徴はESG情報開示レポーティングに関するものです。

毎年のように変わっていくESG情報開示フレームワークも、Enviziを使うことにより複数の開示フレームワークに対応できます。

そしてレポーティング作業をプロジェクトのように管理することができます。誰がどの項目に何をいつまでに入力すべきなのか、そうした進捗を、ワークフローを使って管理できます。また、Enviziの持つノウハウを、ガイダンスという形で提示をすることも特徴的です。

 

手動手探りのESGから脱却し、その先の「打ち手」に注力するために

 

大塚: Enviziは、今本当に求められているソリューションだと思うのですが、私の認識では開示の基準やレギュレーションが多数ある中、それぞれに応じたデータ分析を行いアウトプットができるという点がまず1つ目の特長。そしてAPIを使うことでさまざまなデータと簡単に連携できるという点が2つ目の特長です。

 

磯部: その通りです。ESGの開示フレームワークがどんどん更新され係数も変わっていく中で、SaaSで提供されているのでシステムが自動的に変化対応を担保してくれるのがEnviziの大きな特長です。

システムがそうした部分を支えてくれるので、担当者は本来の仕事に注力できる。そういった環境を実現できるのではないかと考えています。

 

大塚: 多くの方が今1番困られているのが情報開示のレポーティング対応だと思うので、Enviziを使うことでそれがすごく楽になる、とても有効なソリューションですね。

磯部さんは普段たくさんのお客様にEnviziを紹介されていらっしゃると思いますが、「ここが重要だ」とか「これに困っている」といった話を多くのお客様からお聞きになるのではないですか?最後にそれをご紹介いただけますか。

 

磯部: 多くのお客様を訪問して感じるのは、まだまだ手作業でやられているということです。多くの企業がさまざまな業務にシステムを使っていますが、ESGに関してはまだ手動で手探りで行われています。

これをシステム化するとどうなるか。それをご紹介すると「こんなに楽になるのか」「作業がこれほど効率よくできるのか」という反応を頂くことが多いですね。

 

大塚: そうですよね。まずは可視化をし、企業の皆さんにはその先の「どういう打ち手があるのか」に注力していただきたいですよね。Enviziをうまく使っていただければと思います。

今日はありがとうございました。

 


下記セッションを含むセミナー「ESG投資時代の『企業価値』をつくるには?」全般のレポートおよび動画は以下リンク先にてご覧いただけます。

・ セッション1: 2022年の株主総会の振り返りと日本企業への示唆 | 塚本英巨さん(アンダーソン・毛利・友常法律事務所 外国法共同事業 パートナー弁護士)

・ セッション2: ファイナンス視点から考える、今後求められるアクション | 夫馬賢治さん(戦略コンサルタント/ニューラル CEO/信州大学特任教授)

・ セッション3:テクノロジーで実現するサステナブルな未来

 

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