IBM Sustainability Software
普通に考えたら面倒くさいですよね。でも、それがいいんです | 高田 颯 Cognitive Applications ソリューションエンジニア
2021年03月19日
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チームメンバー・インタビュー #36
高田 颯 Cognitive Applications ソリューションエンジニア
Cognitive Applicationsチームのメンバーが、自分自身とテクノロジーとIBMについて、そして過去と現在と未来について自由に語るインタビューシリーズ、36人目はウェザーチームをリードする高田 颯(はやて)さんにお話を伺いました。
(インタビュアー 八木橋パチ)
— 後ろに飾ってあるのは…
これですか? レコードジャケットですね。
ダフト・パンクとケミカル・ブラザース、それからニーナ・クラヴィッツです。
— やっぱりLPなんですね。えーっと、高田さんはレコードが身近だったって世代ではないですよね。
そうですね。レコードは映画などでは目にしていましたが、実際に触ったのは大人になってからです。
数年前に初めてレコードの音を聞いてその音の素晴らしさにすごく感動して、涙出そうになったんです。それで、レコードプレーヤーとアンプとスピーカーを買いました。
— そうなんですね。じゃあもっぱら音楽聞くときはレコード?
いえ。普段はストリーミングで聞いちゃいますね。音の良さで言えばデジタル圧縮されていないレコードの方が圧倒的にいいですけど、スポティファイとかの方が圧倒的に楽じゃないですか。
ただ、あまりにも便利過ぎて「音楽ってそういうものだっけ?」とも思うんです。「音楽って、こんなふうに消費していいものだろうか?」って。
— いきなりレコードと音楽の話から始めちゃいましたが、IBMでの仕事の話も聞かせてください。高田さんは新卒でIBMに入社されたんですよね? 何年ですか?
そうです、学部卒で。えーっと、2016年に技術職として入社しました。
最初はIBM i2という犯罪調査や国家安全保障とかに用いられるソフトウェアのテックセールスでした。ただ、当時日本ではあまりニーズがなくて途中から別の製品に、そして翌年には営業職に回されちゃって…。
— 「回されちゃって」と言うことは本意ではなかったんですね?
はい。営業職には向いていないと自分のことを思っていますし、正直おもしろくなかったです。すごく嫌でした。
それでそのまま半年以上が過ぎて、そろそろこれは転職だなと考えていたときに、突然加藤さんから電話があったんです。
— 加藤さんって、ウェザービジネスの加藤 陽一さんですよね?
そうです。その加藤さんが「ウェザービジネスのチームでテックセールス募集してるから、高田さんやらない?」って。突然言っていただいて。
参考: お客様と社会の「いざ」を気象データで支えるために(ウェザービジネス 加藤 陽一)
— 突然だったんですね。それまで加藤さんとはつながりがあったんですか?
はい。新卒1年目のときの上司の上司、いわゆるセカンドラインマネージャーでした。でも僕は入社1年目だったので、仕事では直接関わることはほとんどありませんでした。
ただオフィスのフロアが同じだったので、ときどきすれ違い様に雑談したりはしていました。
— どうして声をかけてくれたんでしょうか? 理由はお聞きになられました?
いや…なんだったんですかね。僕に、何かを見出してくれたのかな…。
でも加藤さんが「一緒にやろう」って声をかけてくれたおかげでIBMを辞めずに済んだし、楽しく仕事ができるようになりました。
— ウェザーでの仕事は最初から楽しかったんですか?
はい、すごく。最初は「天候データをテクノロジーや情報技術と掛け合わせていく」っていうのが、具体的にどんなことなのかあまり見当が付かなくて。
でもだからこそ「何それおもしろそう!」って思いました。
— そうだったんですね。それでは今はどうですか? 今も楽しくできていますか?
すごくおもしろいし、やりがいを感じています。僕は技術の仕事がしたかったし、ウェザーはまだまだ新しいビジネス領域で、そこには多くの人が思いもよらない可能性がたくさんあると思います。
うまく使いこなせば、ビジネスに相当大きなインパクトを与えるものになると思うんですよね。
— どんな分野に可能性を感じますか? 「特にこの業界」とかありますか?
うーん、そうですね…。パッと思いつくのは例えば小売、それから観光・レジャー施設とかでしょうか。コンビニや大手流通を除くと、天候による需要予測を上手に活かせているところは相当少なさそうです。現在はかなり多くの機会ロスが発生しているんじゃないでしょうか。
— 何がネックになっていると思いますか? 価格設定でしょうか?
そうですね、正直ウェザー・ソリューションは、すごく安いものではありません。
なので電力などのエネルギーや航空業会など、「誰が考えても大きなメリットをもたらすだろう」というのが明らかな業界以外には、まだあまり広がっていないのが実情です。
とは言え、ここ数年で変わってきているのも感じますが。
参考:
(東京海上日動火災保険株式会社)「天候データを活用した風災被害AI予測モデルの共同開発」レポート
気象データ活用ビジネス最前線<第一回 | オートバックスセブン様> セミナーレポート
気象データ活用ビジネス最前線<第二回 | 三井化学様> セミナーレポート
— 価格面でのブレークスルーはなかなか難しそうでしょうか…
そうですね。本当は農家や小規模事業をされている方たちにも、もっと使って欲しいんですけどね。
そういう点では、東京電機大学さんとの取り組みでスタートしたDVP(Digital Village Platform – デジタル・ヴィレッジ・プラットフォーム。地域特性に合わせた課題解決ソリューションの開発・販売プラットフォーム)のように、市区町村などの地域行政が窓口となり、小口にして地域の農家さんに提供するコンソーシアムのような形態がもっと拡がらないだろうかとは思っています。
— 本当ですね。関係者全員がハッピーとなる形ですもんね。
— 先日ある人から「あいつはかなりのクルマ好きだよー」って話を聞きました。そうなんですか?
はい、相当好きです。とは言え、好きになってからまだ2年くらいで。
元々キャンプとか釣りとか、アウトドアが好きでレンタカーでよく行ってたんです。でも「借りて返す」のが段々面倒になってきて、「コスト面では割に合わないけど、所有してみるのもいいかな」って思って。
中古の安いアルファロメオを買いました。
— え! 4WDとかオフロードじゃなくてアルファロメオ? まったくキャンプ感のないオシャレっぽい車ですよね?
たしかにキャンプ感はほぼゼロですけど、でも、昔からアルファロメオに憧れがあったんです。だから「車を買うならアルファロメオ」って決めていて。…あ。でも荷物もたくさん入れられるハッチバックを買いました。
それで頻繁に運転をするようになったら、すっかり楽しくなっちゃって。ハンドルを握りアクセルを踏み、自分で車を制御して走らせるのって、やっぱり他に替えがたい体験価値だなって感じて。
それで昨年、マニュアル車のクーペに買い換えました。
— どうしてクーペ! ツードアで荷物もほとんど積めないし、ますますキャンプ感ゼロ!!
でも、これでキャンプに行ってますよ。たしかに若干の「場違い」って視線は感じますが(笑)。
クーペを選んだのは、やっぱりこの形が一番走ることを追求した、最も美しい形として完成しているからです。
— 美しさ…高田さんは、質的な美だったり体験価値であったり、そのあたりへのこだわりが相当強いんですね。先ほどのレコードしかり。
そうか…。これまで自分では考えたことがなかったですけど、言われてみればそうですね。
レコードを取り出してプレーヤーに置き針を落とすとか、車もマニュアル車でギア操作してとか、普通に考えたら面倒くさいですよね。でも、それがいいんです。
— キャンプもそういうものかもしれないですね。わざわざテントを張って火を起こして…。キャンプグッズにもこだわっているんじゃないですか?
キャンプ好きな人にもいろんなタイプがいると思うんですが、僕の場合、キャンプグッズは「コンパクトさ」がテーマですね。少ない道具で身軽にいれること、手早く設営・撤収できて、車に積み込みやすいってことを重要視しています。
一通り揃えていく中で、自分にとって何が重要なのかが分かっていったという感じがあります。
— 最近は行かれましたか? それとも、暖かくなってきてからという感じでしょうか?
もっぱらキャンプは冬派ですね。寒いけど、それさえ克服できればやっぱり冬のキャンプが最高ですから。人が少なくて、静かで、虫も少ない。それになんと言っても景色がきれい。
でも、実はここのところ行けていなくって…。来週から3週連続で週末はキャンプです。
— 今、「何を選んでも良い」と言われたら、どんな仕事をしますか?
ゲーム開発ですね。IBM以外の仕事になっちゃいますが。
これまでWatson、ブロックチェーン、ウェザーと、どれも新しい分野で技術の仕事をさせてもらって、やっぱりこういう「未開のエリア」がたくさん残っている分野が好きなんだなと感じています。
まあそれしかやったことがないから、知らないからという可能性もありますが。
— 学校卒業後はゲーム業界へ…というのは考えなかったんですか?
ゲーム開発者も考えなかったわけではないですけど、給与があまり…。志望者も多いですしね。
ちなみに、ゲームはもっぱらFPS(ファーストパーソン・シューティング)をやってます。
— それでは、就職先にIBMを選んだのはなぜ?
大学院では機械工学科にいたのですが、ときどき、学部で工場見学に行くことがあったんです。発電所だとか自動車工場だとか。でも工場って、たいていはどこもすごい田舎にあるんですよね…。
自分がそうした会社に就職したら、開発職として配属されるのはそういう工場でしょうから、「ここで生活することになったら、給料もらっても使い道ないじゃん…」って。当時はそんなふうに思ったんですよね。それで、IT系ならきっと東京勤務だろうって思って。
…今考えると、そんなのどうでもいいし、「何その動機?」って自分でも思いますね(笑)。
— 高田さんが気になっている社会課題とか問題ってありますか?
うーん…正直、自分が使命感を感じるような「何かやらなくては!」ってものは僕にはないですね。それよりも「まずは自分」とどうしても思ってしまいます。
人種多様性やLGBTなどの取り組みは気になっていますが、それもゲームやエンターテイメント業界への影響などの観点からという側面が強いですね。
— なるほど、それでは最後の質問です。ちょっと先になりますが、約30年後の2050年には、どんな景色が見たいですか?
そうですね、2050年も、自分が好きなものが存在する社会であって欲しいです。車、釣り、キャンプ、ゲーム…そう言った、自分の好きなものに情熱が注げる社会であって欲しいですね。…あ、でもこれって「見たい景色」という質問への答えにはなっていないかな?
— いや、大丈夫ですよ。ただ聞きたいのは、「情熱が注げる対象がある社会」と「注ぐだけの情熱を持ち続けている自分」のどちらが無くなって欲しくないってことでしょう?
両方ですね。自分が情熱の対象を持てなくなってしまう人間になってしまうことも怖いですし、情熱の対象がなくなってしまう社会も怖いです。
そういう意味では、さっきの気になる社会課題は「海洋汚染」ですね。このまま海の汚染が続いてしまえば、釣りもできなくなってしまうと思うので。
— 2050年には、海中のプラスチックごみの重量が、魚の重量を超えると予測されていますしね。
たしかに海釣りに行くと、ゴミの量がすごく多くなってきています。本当にこのままだと、2050年どころか、2030年くらいでもう釣りはできなくなってしまうのかも…。
そうなって欲しくないです。
インタビュアーから一言
「アクセルを踏み込んでいってエンジン音が変化していくのとか結構好きで、YouTubeでただひたすらエンジン音を聞いて過ごすこともありますね」と高田さん。「そんな動画があるのか!」と衝撃を受け、「エンジン音」で動画検索をしてみたら、物凄い数!! いやぁ、知らない世界があるもんだな〜。
(取材日 2021年2月25日)
問い合わせ情報
お問い合わせやご相談は、Cognitive Applications事業 cajp@jp.ibm.com にご連絡ください。
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