IBM Sustainability Software
[事例] フォレット社 | 柔軟性とビジネスチャンスを手にした北米最大手の教育サービス
2023年01月30日
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スケーラブルなアーキテクチャにより、私たちは店舗ネットワークをより有効に活用できるようになり、直送販売や配送センターを通じて無限とも呼べる在庫を手にしました。
実店舗、カタログセンター、配送センター、直送ベンダー。私たちには今すべてが揃いました。
フォレット社 eコマース部門担当ディレクター アル・シェーラー
導入の背景 | 多大な販売機会損失
高等教育分野における北米最大手企業のフォレット社は、米国とカナダで学内店舗とオンライン店舗を運営しています。
しかし以前まで、同社の1,200のオンラインストアはほぼすべてバラバラに運営されており、ユーザーは自分がアクセスしたECストアの在庫しか見ることができず、他店舗在庫の確認・購入ができませんでした。その理由は、eコマースサイトが在庫供給をそれぞれ1つの実店舗に依存していたからです。
フォレット社のeコマース部門担当ディレクターであるアル・シェーラー氏は、次のように述べています。
「1,200のECストアにくる注文は、それぞれに対応する実店舗の在庫でしか処理されていなかったのです。そのせいで、特定の本や大学の帽子、Tシャツなどがアクセスした店舗のeコマースサイトでたまたま在庫切れになっていると、「オンラインストアでは品切れ」と表示されてしまっていました。
その本やTシャツがすぐ近くの別の大学の店舗で販売されているにもかかわらず、「どこか他所に行って購入してください」とわざわざお客様に言っているようなものです。」
このような販売機会損失をなくすために、1,200のeコマースサイトを統一されたオンラインストアとして運営する必要があること、そしてそれを実現するために、フォレット社が注文管理システムを必要としていることは明らかでした。
導入の決め手となった多数の機能
1,200の協力店舗による、在庫、カタログ、注文処理を共有するeコマースシステムを完成させるために、フォレット社はIBM Sterling Order ManagementとIBM Sterling B2B Integrator、およびIBM MQソフトウェアの導入を決定しました。
新注文管理システム導入時、フォレット社には無数の既存システムが存在しており、協力店舗との受注データのやり取りには、データを必要な形式に変換してインテグレーションするIBM Sterling B2B Integratorの機能が欠かせませんでした。
そしてMQソフトウェアはアプリケーション間での情報移動に使用されており、これらのMQデータ交換のほとんどは非同期で処理されています。「このアーキテクチャに関する決定は意図的なものです。この方法により、パートナーは自分たちの都合上で可能な限り早くアプリケーション拡張を行うことができます。同時に、アプリケーション拡張の実施の最も遅いパートナーにより、システム全体が遅くなるということもありませんから。」シェーラー氏はそう説明します。
IBM Sterlingソフトウェアには、カスタマイズされたプロセスフローやカタログ管理、グローバルカタログなど、数多くの機能がもともとパッケージされています。
また、季節在庫管理機能も備えていることに対して、フォレット社のITマネージャー、ピート・ブカンティス氏は次のように述べています。「年に1度大きな繁忙期がある通常の小売業者とは異なり、春と秋の2度の繁忙期がある当社には有益なものなのです。」
IBM Sterling Order Managementソリューションの特長であるビジネスロジックやルールの作成機能に対し、シェーラー氏はこう述べています。
「お客様がノートパソコンを購入されるのであれば、私たちは国中のどこにでも発送します。ただ、ペンや鉛筆などの低価格商品の場合は、送料を考えるとそうはいきません。こうした問題に対し、私たちはマージンなどの異なるアイテム別にそれぞれのビジネス・ルールを設定して受注処理を行ための「アイテム・タイプ」という概念を導入しました。また、常時販売可能と表示させるべきアイテムに対しては「無限在庫」という定義付けを行いました。」
「そして、在庫リスクを増やすことなく、実店舗で扱える範囲を超えた品揃えを可能にできる直送ベンダー・プログラムを導入できたのも素晴らしいです。」
シェーラー氏を喜ばせた「直送ベンダー」とはフォレット社が最近採用したビジネス・モデルであり、ビジネス・パートナーがフォレット社のオンラインストア上で商品を販売することができるようにするものです。商品への注文があった場合、ビジネス・パートナーはフォレット社を介さず、注文主に直接出荷するか注文主の最寄りの店舗に出荷することができます。
収益増加 |「私たちには今すべてが揃いました」
注文管理システムがもたらす最大のメリットの1つが、収益増加です。シェーラー氏は言います。
「もはや、1200のオンラインストアに1200の各々の実店舗が対応する時代ではありません。スケーラブルなアーキテクチャにより、私たちは店舗ネットワークをより有効に活用できるようになり、直送販売や配送センターを通じて無限とも呼べる在庫を手にしました。つまり、オンラインで販売できる商品を大幅に増やすことができたのです。」
先日、フォレット社はこれまでの高等教育部門から、400以上の店舗を含む幼稚園から高校までの部門にまで、注文管理システム機能を拡張しました。
また、注文管理システム導入時に、フォレット社が作成したのが、円滑なシステム運営のための自動サポートプロセスとトラブルシューティング・ガイドです。
「当社が作成したトラブルシューティング・ガイドは、ユーザーが上から順に「はい」か「いいえ」で回答していくだけで必要な解答に辿り着けます。このやり方でほとんどのトラブルが解決するのです。」ブカンティス氏はそう説明します。
今回の導入により、フォレット社は堅牢な履歴と監査データも手にしました。特に細かな設定などは不要で、監査データをシステムサポート、トラブルシューティング、および管理者や役員向けの週次レポートに使用することができるのです。
シェーラー氏は言います。「実店舗、カタログセンター、配送センター、直送ベンダー。私たちには今すべてが揃いました。その上、これまでオンライン上では目に付くことがなかったような当社の小規模顧客にも、機会を与えるものとなっているのです。」
IBM のソリューションにより、フォレット社は柔軟性とビジネスチャンスを手に入れたのです。
フォレット社について
米国イリノイ州に本社を構えるフォレット社は、デジタル教科書などを含む教育テクノロジー、サービスの北米最大手企業です。
1873年に小さな書店として事業を開始し、現在では8万校の学校と提携。1,250以上の大学キャンパスにおける店舗と1,600以上のバーチャルストアを運営している非上場企業です。
当記事は『From independence to cooperation』を日本の読者向けに再構成したものです。
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