IBM Sustainability Software
IoT Exchange 2019フィードバックセミナーレポート
2019年06月12日
カテゴリー IBM Sustainability Software | イベントレポート
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2019年4月にアメリカ・オーランドで3日間にわたり開催された「IoT Exchange 2019」。
先日、日本から参加したIBM社員やビジネスパートナーが、現地での様子を報告するフィードバックセミナーが箱崎事業所で開催されました。
今回は、報告セッションの中からいくつかの話題をピックアップしてお届けします。
■ IoT Exchange 2019とは
「そもそもIoT Exchange 2019とはなんなのか?」の説明からセミナーはスタートしました。
IoT Exchange 2019とは、Watson IoT部門が主催する世界規模のサーキット・ツアーで、今回が初開催でした。
「Maximo」「Engineering」「IoT Platform」「TRIRIGA」の4つのテクノロジー / ソリューション分野に関する最新の動向をシェアする場が「アカデミー」と呼ばれ、それぞれのテーマで10〜60程度のセッションが行われました。
アカデミーの中心となるのは世界の最新事例紹介とデモで、それはイベント全体のキーノートセッションも同様でした。
最新のIoT実践事例として、空港施設のアセット管理や作業指示管理の仕組みを統合管理システムと連携させ、設備のヘルススコアを算出し予期しない故障などに早期対応できる空港管理ソリューションを実装したカナダ トロントのピアソン国際空港におけるARROW社事例と、デンマーク SundBaelt社との公共インフラ支援共同開発が紹介されました。
■ Maximoアカデミー 60セッション / 14ラボから
Maximoはここ数年でラインナップの拡充が急速に進んでおり、以前の「狭義の資産管理ソリューション」というイメージからはかなり進化していることが改めて感じられるものだったそうで、AIとIoTが資産 / 保全管理に大きな進化を与えていることに驚くお客さまも多かったそうです。
なお、今後下記に注力して投資し、製品を強化していくというメッセージも発信されたそうです(あくまでも発表時点における判断であり、将来的な動向を約束するものではありませんのでご注意ください)。
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先進テクノロジー領域
- AR(Augmented Reality)を活用した遠隔診断ガイダンス
- AI(Artificial Intelligence)を活用した問題診断アシスタント
- 契約およびサプライチェーンでのブロックチェーンによる透明性の実現(Maximo Blockchain Network)
- IoTデータを活用した性能基準保全 (Asset Performance Management (APM))
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製品コア領域
- IBM Maximo – ロールベースの新しい UI/UX
- Maximo Anywhere – モバイルの推進
- Cognos Analytics – BI分析機能の強化
- Industry Solutions And Add-ons – 業界特化ソリューションの強化
なお、ARやAIを活用した遠隔サポートはさまざまな形での実践が進んでおり、フィードバックセッションでは日本での取り組みとして「AIによる車両故障診断サポート」が紹介されました。
下記の動画では、先日開催された「オートサービスショー 2019」での、ローンチオートマーケティング社との共同プロジェクトの様子をご覧いただけます(2分5秒過ぎから)。
■ Engineeringアカデミー 50セッション / 11ラボから
IBM Engineeringでは、Rational製品群の最新動向の紹介に加え、アカデミー内で開催された特別セッション「Automotive DAY」に参加した2名がその様子を伝えてくれました。
Automotive DAYとは、世界中の自動車業界のOEM、サプライヤーとIBMのEngineeringメンバーが一同に会する場で、以下のテーマに対するアプローチや考え方についての議論が進められたそうです。
- Engineering Value Chain – 環境の統合と連携の組み合わせ
- Compliance with ASPICE and ISO-26262 – 自動車関連のソフトウェアや電気/電子の安全に関する業界コンプライアンスの加速
- The role of MBSE for Automotive in regulated environments – 規制環境下における自動車業界でのモデルベース・システムズエンジニアリングの役割
「エンジニアリング・バリューチェーン」の分科会では、データ交換に関する課題の優先順位づけや、短期・長期目線の課題と解決策について、かなり突っ込んだ会話が行われたそうです。
また、「業界コンプライアンス」に関する分科会では、実際のアセス担当者からのアドバイスを受けるなど、実践的な取り組みが特徴的だったとのことでした。
■ IoT Platformアカデミー 16セッション / 1ラボから
IoT Platformアカデミーも事例紹介のセッションが多く、より多くの企業や組織がIoT Platformを使ってビジネスの変革を進めていることを感じさせるものだったそうです。
また、紹介された事例は、IoT基盤にWatson IoTソリューション群やアドオンサービスとしてAIを活用しているものが多く、IBMのIoT基盤ならではのものが多かったそうです。
その中から2つの最新事例を紹介します。
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Sugar Creek Brewing Companyのスマートビール事例
2014年創業のクラフトビールを製造している企業で、圧力と温度の不均衡からくる問題により、月に約3万ドルの損失を計上していました。
この問題に対して、充填時間、温度、pH(水素イオン指数)、重力、圧力、炭酸レベルなどのビール製造における重要なパラメーターを収集し、Watson IoT Platformに集約しました。
収集したデータを可視化・分析することで、ボトル内で過度の発泡が生じる問題の原因を特定し、それに対応することができるようになりました。
さらに、製造プロセスの画像診断を活用し、不適切なボトルが出荷されないような仕組みも整えたことで、最終製品出荷量を増やしコスト削減と売り上げ増も実現しています。
さらに詳細なストーリーは、こちらでお読みいただくことができます:
クラフトビールがIoTとAIに出会ったら(シュガークリークブリューイング事例)
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アイダホ国立研究所(INL: Idaho National Laboratory)のバスルート予測事例
アメリカ国内でも有数の原子力研究所であるINLでは、毎日約2,000人の方がバス通勤しており、そのバスルートは広範囲に渡っているそうです。
ただ、アイダホの冬は相当に厳しく、冬場のバスルートの決定は除雪機からの情報、天気予報、ドライバーさんの経験などを総動員してもかなり難しく、メンテナンスコストの削減と安全の確保が課題となっていました。
こうした問題に対し、INLは、これまでに蓄積してきたバスとそのルートに関する知見データ、車両からのテレマティクスデータ、業務用計測器や監視カメラの映像を含む道路データなど、複数のデータをWatson IoT Platformに集約して可視化・分析を行い、IBMのチームが独自に開発した機械学習を使ったアルゴリズムで最適なバスルートを予測するシステムを作り上げたそうです。
IoT Exchange 2019での最新情報は、今後も継続的にお伝えさせていただく予定です。
問い合わせ情報
お問い合わせやご相談は、Congitive Applications事業 cajp@jp.ibm.com にご連絡ください。
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