IBM Sustainability Software
パートナーinterview | 中島 栄一 (株式会社エクサ 執行役員 Smart営業本部長)
2021年03月22日
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IBM Cognitive Applicationsチームと共に活動していただいているビジネス・パートナーの皆さんにお話を伺うパートナーinterviewシリーズ。
第一回は(株)エクサの 中島 栄一さんにお話を伺いました。
(インタビュアー 八木橋パチ)
■ エクサとIBMの違いを一番感じる部分
— それではまず、簡単にこれまでの経歴を伺えますか?
はい、よろしくお願いします。2018年にエクサに加わりまして、「エンタープライズビジネスユニット」という、金融と保険を除く全業界に向けた営業活動を統括しています。
エクサに加わるまでは、日本IBMに33年間いました。所属事業部などは変わりながらも、基本的には営業畑でずっと過ごしてきました。
— IBMに長くいらしたんですね。エクサとIBMの違いを一番感じるのはどんなところでしょうか?
一番ということで端的に言えば、「エクサはソリューション」「IBMはテクノロジー」の会社というところですね。
自分が在籍していた時代のIBMとは今は多少違ってきているかもしれませんが。
— もう少し解説してもらえますか?
IBMはテクノロジーが最大の強みで、技術を土台としてそこにいろいろなものを積み上げていく会社だと思うんです。
一方でエクサは、システムインテグレーションやソリューションと言われる部分に強みがあって、それはつまり、開発やデリバリーという「人」が価値を届ける部分に最大の強みがあるということです。
■ エクサには何度でも挑戦できる文化と環境がある
— エクサ入社後に「思っていたのとイメージ違ったな」という部分はありますか?
うーん…思いつかないですね。ほぼ想像通りでしたね。
強いて言えば、入社前は「いくらかは派閥的なものがエクサ社内にもあるのかな?」とも思っていたんですが、それがまったくなかったところでしょうか。
エクサはIBMのように頻繁にM&Aをする会社ではないですが、その母体はJFEスチールと日本IBMが合体して生まれた会社です。なので多少はそういうところもありそうなものですが、本当にまったくありません。
— そうなんですね。
私もこれまで営業という仕事を通じて多くのお客様の合併や、合併後の会社の在り方を目にしてきましたが、これほどフランクでフラットな会社というのは珍しいんじゃないでしょうか。
組織を形容するのに「温かみ」という言葉がピッタリくる会社だと思いますよ。
— その「温かみ」はどこから生まれているんでしょうか?
そうですね…営業とデリバリーが常に一緒に、同じ向きを見ているからじゃないですかね。
再びIBMとの比較になってしまいますが、お客様にどうやって自分たちに期待していただくか、つまり何をどのようにご提供させていただくかという「お客様へのシナリオ作り」を行うのは、IBMでは営業ですよね。その後も、営業が中心となって、その期待にどう応えていくかを考えていくのがIBM流。
— ふむふむ。それではエクサは?
エクサでは、チームみんなでシナリオ作りをして、チームみんなでソリューション開発をします。
トラブルや新たな問題が発生すれば、それにもチームみんなで取り組みます。最初から最後までチームで対応しますね。
— 何がそうした違いにつながっていると思われますか?
制度の違い、文化の違い、いろいろあるでしょうね。
制度で言えば、営業職などへのインセンティブ設計が違うというような、生々しい話もそこには当然あります。でもそれ以上に大きいのは文化の違いじゃないですかね。
これはそれが良い悪いという話ではなく。
— 何か、それを感じさせられたエピソードのようなものはありますか?
エピソードとは違いますが、IBMの場合、何か新しいマーケティング手法にトライする際には、1度目で結果が出なければ、何が良くなかったのかを分析して変更し、2度目の挑戦をしますよね。そして同じように3度目の挑戦…となります。でも、ここで結果が出なければ、「違う手法を考えるべし」とスパッと終わらせられてしまう。
エクサの場合は、結果が出るまで同じ手法でトライし続けさせてもらえるという環境がありますね。
もちろん、何でもというわけには行きませんが、熱意を持ち変更点を考え続けながら挑戦しようという人には、それを認めて背中を押すという文化があります。
■ 渋沢栄一、カーネギー、稲盛和夫
— 今日はご自宅からオンライン・インタビューにご参加いただいていますが、お住まいはどちらですか?
自宅は横浜で、エクサの本社オフィス(みなとみらい)にも近くて便利ですね。とは言え、今は出社するのは多くても週1回程度ですが。
ちょうど昨日出社したんですが、横浜みなとみらいにも少しずつ人出が増えてきているのを感じましたね。やっぱり昨年の、最初の緊急事態宣言の頃とはまったく様子が違いますね。
— そうですか。中島さんの生活においては、COVID-19の影響が一番大きく現れているのはどんな部分でしょうか?
幸い、直接的な被害は私の周りでは発生していません。
日常的なところでは、やはり時間の使い方が大きく変わりましたね。移動時間がなくなって、仕事関連を含めた外食もなくなりました。これでずいぶんと自分の時間が取れるようになりました。
— では、その分の時間を何に費やしていますか?
奥さんの役割だった朝晩の犬の散歩を引き取りました。けっこういい運動になりますよ(笑)。
他には…そうだなあ。映画と読書ですね。たっぷり溜まっていた「積ん読リスト」がかなり減りました。6-70冊は減ったんじゃないかな。
— 映画はどんなタイプのものを?
そうですね、英語の勉強を兼ねて洋画を見ています。
でも私が好きなのは派手なアクション映画なんで、セリフが少なめであまり勉強にならないんですけどね(笑)。
— 本はどうですか? おすすめの一冊を教えてください。
最近読んだ中では、NHK大河ドラマの主人公ということで話題になっている『渋沢栄一男の選択』というのがおもしろかったですね。本自体は古いもので、ずいぶんと昔に出版されたものですが。
それ以外では、自分が何度も読み返しているのはD・カーネギーの『人を動かす』だとか、稲盛和夫さんの本とかですね。そのときそのとき、読むたびに教わるものがあるなと感じます。
■ 世の中はサプライチェーン。きちんとつなげておかないと
— COVID-19に社会が席巻されてからそろそろ1年となります。今年になって、何か変化を感じられていますか?
世の中が少し動き始めていることを感じています。
もちろんまだまだ新型コロナウイルス前のような状況からは程遠いですが、「今のうちにやれることはやっておこう」という意思のもとに、準備を進められているお客様が増えているのを感じます。とりわけ、製薬であるとか装置産業であるとか、グローバルを主戦場とされているお客様に顕著ですね。
— そうしたお客様にとって、「準備」とは具体的に何を示すのでしょうか?
エクサが得意とするIBM Maximoの宣伝のように聞こえてしまうかもしれませんが、最近の言葉で言えば「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」ですね。
これまで人間が頭の中に置いていたデータや人力でつないでいたシステムを、きちんとデジタル化して整備を整えておこうということです。特にIBM Maximoに携わっているチームは、JFEグループで培った現場力とIBMのグローバル先進技術を融合させた、独自の現場DXを推進しています。エクサのWebでもご紹介していますので是非ご覧ください。
— すべてがデジタルにつながっていなくては、 DXは入り口から先に進めませんもんね。
私は昔から「世の中はサプライチェーンだ」とずって思ってきたし、周囲にもそう言い続けてきたんです。
社会や経済は、人とモノが動くことで成立しています。製造業で言えば、原材料や部品の調達から、製造〜配送〜販売ときちんと流れていくことが重要です。今はコロナで人の動きは停滞していますが、必ずまたこれが動き出します。そのときに置いてきぼりにされたくなければ…
— 今、きちんとつなげておかないと。ですね。
そうです。
私はつなげることが好きで、「モノ」もそうですが、本当は「人」ももっとつなげていきたいんです。最近は後継者不足で廃業となってしまう中小企業が増えているというニュースに胸を痛めています。
■ 「こいつは分かっている」と思ってもらえるまでは、話もしてもらえなかった
— 普段、エクサ社員にはどんなメッセージを伝えていらっしゃるんですか?
そうですね。よく口にするのは「俯瞰してお客様を見て、アプローチしよう」ということです。
俯瞰することができれば、お客様とも深いレベルで会話ができるようになります。
— たしかにそうですね。お客様自身は「その最中」にいるわけで、どうしても俯瞰するのは難しいですから。
そういうことです。私たちがお客様と同じかそれ以上に、お客様の業界を広く見られるようになっていなければなりません。
ですから「学び」も変わっていきます。以前はITという軸で製品知識を深めることが中心でしたが、これからは「それによって業務がどう変わっていくのか」を自分の頭で考え掴み取る力が必要です。
ソリューションが提供するものにより業務がどう変わるのか。その業務の変化をより良いものにするにはどうすれば良いのか。 — こうした学びは、簡単なようで簡単ではありません。
— より本質を掴む力が必要ですね。どうすればその力を付けていけるでしょう?
従来の「本を読む」「それを伝える」という勉強の仕方だけではなく、自分自身が実務を通じて経験を積んでいくことが大事ではないですかね。
営業というのはそうやって力をつけ、強くなっていくものじゃないでしょうか。
— 30年以上の経験を元に言われると、重みを感じます。
でも実際、私自身がそうだったんです。IBMの最初の数年は、お客様ときちんと会話できるように、自分自身がCADを使いこなせるようになろうと必死に勉強しました。そして実際にそうした経験を通じて、お客様の業務が深く理解できるようになったんです。
「こいつは業務を分かっている」と思ってもらえるまでは、お客様もろくに話もしてくれませんでしたからね(笑)。
— とは言え、時間も労力もかかる大変なことですよね。
その通りです。長い道のりで、数字として表れるまでには時間もかかるかもしれません。それでも、ちゃんとやり続ければ着実に結果に反映されてくるものです。
先ほどの話ではありませんが、エクサにはやり続けられる環境と文化があります。そしてそれは、「人」こそが一番の財産だとエクサが考えているからこそのものです。
— 人を大切にするという姿勢は、離職率や退職後の復職などに表れやすいと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか?
エクサはIT業界の中ではかなり離職率が低い会社です。たしか数年前にも、何かの雑誌で「3年後定着率が高い会社」として紹介されたことがあったと記憶しています。
最近は以前転職した社員が戻ってきて再入社、いわゆる「出戻り社員」になっているケースもありますよ。
— 「出戻り社員がいる会社はいい会社」が私の持論なんです!
お客様と市場の間を埋めるのが「エクサ」であり、つなげるのが「人」であることがよく分かりました。今日はありがとうございました。
エクサご意見番 渡辺の「ひとこと言わせて!」
中島は、IBM歴33年の純粋培養なのにどこかちょっとIBMっぽくない「激レアさん」です。本インタビュー中でエクサを「珍しいくらいフランクでフラットな会社」と述べていますが、それは中島自身のスタンスでもあるように感じます。エクサでは創立以来ずっと社内呼称に役職名を使わないのですが、中島はそんな暗黙のルールが無くともまさに「中島さん」なのです。一方で勿論、執行役員 営業本部長としてのIBM流の鋭く厳しい数字管理があり、写真のようなにこやかな顔で厳しい目標を話されると重み倍増です。
(取材日 2021年2月17日)
問い合わせ情報
お問い合わせやご相談は、Cognitive Applications事業 cajp@jp.ibm.com にご連絡ください。
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