IBM Sustainability Software
サステナブルな未来への地図とルート | EsriとIBMのパートナーシップ
2023年04月26日
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私たちは毎年、大気中に500億トン以上の二酸化炭素を排出しており、これは1990年比で40%増加しています。そしてこのうちの約80%が、不動産、工業、運輸という産業分野からの排出です。持続可能な開発の成功に、事業経営者を巻き込んだ行動が不可欠なことは明らかです。
次世代に「安心して暮らすことができる地球」を引き継ぐこと。これは21世紀の企業に課された、利益を上げることと同様あるいはそれ以上に重要な使命であり責任です。
こうした危機的な状況に対して、多くの企業が行動を起こしています。
世界のCEO3,000人を対象に実施した2022年の調査では、回答者の約半数(48%)がサステナビリティを組織の最優先事項としており、前年の37%から増加しています。
一方で、これらの組織の多くが、データを基にサステナビリティ目標の実現へと導く方法と手段を持っていません。こうした状況に、IBMとEsriはパートナーシップを高めることで変化を起こそうとしています。
EsriとIBMのパートナーシップ
IBMは50年以上にわたって環境保護に取り組んでおり、サステナビリティはIBMの代名詞ともいえるものです。
IBMは、価値あるインサイトを獲得しデータ主導の意思決定を企業に定着させ、持続可能な事業運営を推進するための、サステナビリティ・ソリューションのポートフォリオを企業に提供しています。また同時に、それらのソリューションを自社でも活用しています。
参考 | 持続可能な施設管理を実現するテクノロジー | IBM不動産部門(GRE)事例
そしてIBMと同様に、持続可能な世界の構築を長年にわたって支援しているのが、地理情報システム(GIS)技術のグローバルリーダーであるEsriです。
1969年の創業以来、Esriは科学に深く根ざしたEsriのマッピングおよび分析プラットフォーム提供を通じて、世界中の何十万もの組織やコミュニティが、人間の活動と自然界のバランスを取る方法を見つけ出すことを支援してきました。
社会に大きな影響を与え、本当の変化を生み出そうとするのであれば、コラボレーションは欠かせません。
IBMとEsriは、パートナーシップを拡大し、さらに踏み込んだ取り組みをスタートしています。Esriの地理空間技術をIBMのサステナビリティ・ソリューションに組み込むことで、サステナビリティ目標達成への道程をかつてない明確さで組織に提供しています。
地理空間データが各業界に与えるインパクト
サステナビリティに大きな変化をもたらす鍵となるのが地理空間データの活用です。EsriのGIS機能をIBMのサステナビリティ・ソリューションのポートフォリオと組み合わせることで、企業は自社の資産や業務の持つ空間的状況を、より明確に理解できるようになります。
その効果は、資産の寿命延長や効率の大幅向上へとつながり、温室効果ガス排出による環境への影響とリスクの低減にも大いに寄与するものです。
IBM Maximo Application SuiteとIBM Environmental Intelligence SuiteにEsriの地理空間分析および可視化ツールを加えることで、具体的にどのような効果を得ることができるのかを、業界ごとにいくつか挙げてみます。
- 資産集約型産業 | 産業・工業用地管理の最適化を進めることができます。具体的には、不要な廃棄物や排出物を発生させる設備をよりすばやく的確に特定することで、状況改善スピードを向上できます。
- 再生可能エネルギー事業者 | 膨大な量の気象データをマッピングしてモデリングすることで、精度の高い電力需要を事前に予測することができます。
- 運輸業界 | 気象がもたらす被害を事前に察知することで、より迅速な計画を通じて遅延や混乱を軽減することができます。
- インフラ企業 | 事業中断のリスクを最小化し、業務効率を高め、資産のライフサイクルを延長することで、回復力の強化と持続可能性の向上を実現できます。
サプライチェーン・リスクと植生管理
また現在、気候変動の影響や地政学的な不安定性から、サプライチェーン・リスクが世界中の企業にとって重要な問題となっています。
IBM Supply Chain Intelligence SuiteとEsriのArcGISソフトウェアを使用することで、企業は製品原料の原産地やその輸送経路を追跡し、地図上にマッピングしてリスク評価を行うことができるようなります。こうした情報の分析と可視化は、輸送ルートの効率化をもたらすだけではなく、二酸化炭素排出量削減にも大いに役立ちます。
電力会社にとっても、ルートの効率化は大きな効果をもたらします。それが特に発揮されるのは、植生管理業務です。
電線近くに生い茂った樹木は、火災や停電の危険性を高めます。電力会社は、衛星データと航空機LiDARデータを活用するGIS技術を搭載したIBM Vegetation Management(植生管理)ソリューションを使用して樹木と電線の位置を正確に判別することができ、その後、AIツールにより植生伐採作業員のルート最適化をすることができます。
屋内マップと施設運用データ
Covid-19により職場やワークロケーションの在り方が従来では考えられないほど多様になり、多くの組織が、オフィスビルやフロアの割り当てに苦心しています。
そこで活躍するのがEsriとIBM TRIRIGA Application Suite および IBM Maximo Application Suiteの組み合わせです。
地理空間分析および可視化ツールがもたらすメリットは、屋外だけではなく施設内にも及ぶのです。建物の平面図を屋内マップに変換するEsri ArcGIS Indoorsと、TRIRIGAおよびMaximoが管理する施設運用データを組み合わせることで、組織は従業員の稼働パターンを空間的に把握することができます。
そして分析データを基に、照明、暖房、冷房などのサービスを適切に提供することはもちろん、部門の要求にタイムリーに応えるフロア計画を策定することができます。
さらに、従業員やメンテナンス作業員には、ArcGIS IPSの提供する屋内測位とトラッキングシステム、およびナビゲーションシステムにより、施設内の最適な動線を提供します。また、会議室やワークスペースの予約やメンテナンスのリクエストも、自然言語と直感的なインターフェースでご利用いただけます。
持続可能性への道程を明るく照らしナビゲート
EsriとIBMのパートナーシップはすでに30年に及ぶ強固なものですが、今後はさらにさらにコラボレーションを高め、より強力なソリューションを共に生み出していきます。
IBMのAIテクノロジーと研究開発部門がEsriの地理空間技術とより深く融合すれば、お客様がデータから得られる洞察はより深くなり、未来への足取りはより力強いものとなるでしょう。
持続可能な開発の目標達成には、私たちが現在行っているさまざまな実践を改善していく必要があります。そしてデータ分析から導かれる意思決定と行動決定を続けていくには、サステナビリティ・ソリューションのポートフォリオも改善され続けなければなりません。
EsriとIBMのパートナーシップは、持続可能性への道程をより明るく照らしだします。業務効率の向上とサステナビリティ計画の策定、そして目標達成ルートの最適化を力強くご支援いたします。
当記事は『How IBM and Esri are working together to map a more sustainable future』を日本の読者向けに再構成したものです。
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