IBM Sustainability Software
つながった車の、さらにその先へ | コンテキストデータが移動体ビジネスを変える
2020年10月30日
記事をシェアする:
■ コネクテッドカーは、まだ十分にデータを活かせていない
ネットワーク化された車「コネクテッドカー」は、新しい概念ではありません。ゼネラルモーターズは1996年、最初の組み込みテレマティクスおよび事故通報システムである「Onstar」をデビューさせています。
それからおよそ四半世紀、現在は車両本体だけではなくさまざまなものが接続され、先進運転支援システム(ADAS)は、運転体験をより安全で楽しいものへと進化させています。
ADASは、センサーと分析を用いることにより、車両周辺の環境を理解しています。アダプティブクルーズコントロール(自動追従)や衝突回避、レーンアシスト(ハンドル操作サポート)などの機能は、すべてこのセンサーと分析により司られています。
しかし分析の基となる車両から収集されるデータは、かなり限られているのが実情です。ほとんどの自動車メーカーは、車両が直接的に取得できるデータ以外のものは収集しようとしておらず、そのデータが取得される際の環境や状況(「雪の中での運転」などのコンテクスト)という「文脈データ」も使用していません。
現状では、周辺状況などの文脈データが有効に活用されているのは、運転中ではなく車両開発やテストの期間だけです。
寒冷地でのみ発生するトラブルの発見などには役立っていますが、運転中のより安全で快適な体験には用いられていないのが実情と言えるでしょう。
■ ADAS + 交通量 + 天気 = より安全なドライビング体験
それでは、運転に関わる環境や状況といった文脈データが活用されることで、どのような変化が起きるのでしょうか。
GPSで車両位置が分かっており、目的地が分かっているのであれば、その場所までの天候、交通状況、道路状況という文脈データを用いない手はありません。GPSデータにそれらのコンテキストを追加することで、車両システムを大幅に強化することができます。
一つの例として、車両が前を走行する車を自動的に追い越す、高度なアダプティブクルーズコントロールについて考えてみます。このとき、ADASは当然自車と追い越しをかける車両だけではなく、周囲の車や交通状況についても認知する必要があります。さらに前方や周辺の路面状況や天候情報まで認知した上で判断を行えば、追い越しはより一層安全性を増します。
次世代の車両システムの登場が待ち望まれている今、車両センサーが取得するものだけではなく、周辺状況や環境などの文脈データ活用の重要性が高まっています。
データを集めるだけではなく、コンテクストに応じた行動と判断に活かすこと。それも、リアルタイムに — それがADASと自動車業界を進化させることであり、車と人の安全性を高めることなのです。
それこそが、より良いドライビングエクスペリエンスを生み出すことに他なりません。
■ 自動車業界を支援するIoT Connected Vehicle Insights(CVI)
車両とあらゆるものを通信技術でつなぐ「セルラーV2X(C-V2X)」、5G、エッジコンピューティングなど、今後3〜5年でこれらの先端技術が自動車業界に大変革をもたらすだろうと言われています。
IBMは、自動車メーカーがその荒波を乗り越えるためのSaaSソリューション「IoT Connected Vehicle Insights(CVI)」を提供し、文脈データの車両システムへの取り込みとテクノロジーの活用を支援しています。
CVIは、単なる「車のためのIoTプラットフォーム」ではありません。
取得された車両情報と文脈データをリアルタイムで統合・分析し、車両システムが最適な行動指示を与えられるようにする「移動体データ活用ビジネス実現ソリューション」なのです。
■ より優れた運転体験の実現を、自動車メーカーと共に
CVIは、車両システムの次世代への進化を、クラウドプラットフォームと統合力で力強く支援します。
現在CVIは、車両データ、運転手の生体データや運転傾向データ、気象状況と予測、環境データや予定イベントなどをメモリ内で管理し、高速に応答することでネットワーク遅延を減らしています。
そして将来的には、5GとIBMのエッジコンピューティング・テクノロジーによりネットワーク遅延をさらに減らし、自動車メーカーと共により優れた運転体験を実現します。
問い合わせ情報
お問い合わせやご相談は、Cognitive Applications事業 cajp@jp.ibm.com にご連絡ください。
IBM IoT Connected Vehicle Insights
当記事は『The Road Ahead | How data in context extends the range of connected vehicle sensors』を抄訳したものです。
関連記事
日本Maximoユーザー会2024@天城ホームステッド 開催レポート
IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software
2024年10月15〜16日の2日間に渡り、IBM天城ホームステッドにて1年半ぶりの「日本Maximoユーザー会」が開催されました。 石油・化学企業、産業機械製造企業、エネルギー企業、エンターテインメント企 ...続きを読む
トヨタ紡織「 A-SPICE レベル3」取得活動事例 | シートシステム/車室空間開発の未来に向けて
IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software
「Automotive SPICE(A-SPICE)の取得を意識し、実際に検討を本格化したのは2021年です。そして昨年2023年3月にレベル2を取得し、そこから約1年半で今回のA-SPICE レベル3の取得となりました ...続きを読む
「何度でもやり直せる社会に」あいふろいでグループ代表 吉谷 愛 | PwDA+クロス9
IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software
「日本は一度ドロップアウトした人にとても厳しく、いわば『敗者復活』の機会が残念ながらとても限られています。ただそんな中で、半年程度の準備期間で再チャレンジの機会を手に入れられるのが『IT』です。 私自身、ITに救われた身 ...続きを読む