IBM Sustainability Software
公共インフラ補修・修繕に新時代の到来を
2020年12月03日
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IBMはこれまで、世界が直面するさまざまな課題に取り組んできました。それらを克服するための調査と、ソリューション開発を行ってきました。
そして今、私たちが取り組んでいる課題の一つが、劣化し危険性を増し続けている公共インフラです。私たちの元には、世界中から「惨事が起きてしまう前に、まだ間に合ううちに早くインフラの補修・修繕に取り組むべきだ」という土木技師たちの警告の声が届いています。
■ インフラ劣化や未整備がもたらしている結果
行政は過去数十年にわたり、国土をつなぐ高速道路や壮大な橋、最近では通行データを収集するスマート歩道など、公共インフラ構築に多額の資金を費やしてきました。しかし公共インフラの構築に費やした金額に見合う額が、維持に対しては振り分けられていないのが実情ではないでしょうか。
カナダ・トロントでは、ガーディナー高速道路が不安定になり崩壊してしまいました。イタリア・ジェノヴァでは、モランディ橋が崩落してしまいました。米国・アトランタでは、州間高速道路I-85号線の一部が火災により瓦礫となってしまいました…。
米国土木学会によれば、今後10年間で米国だけでも2兆米ドルの補修・修繕のための資金が不足しています。このままでは公共インフラの劣化が続くことは避けられず、問題を十分すぎるほどに認識している土木技師たちは、問題解決のための資金を求めて声を挙げています。
現在、インフラ劣化や未整備について、以下の数値が計測されています。
・ 構造的欠陥を抱えている橋は全体の9.1%に上る
・ 整備不十分な道路により、69億時間が交通遅延で失われている
・ 毎日60億ガロンの水が失われている
■ 必要とされる資産管理・調査への新しいアプローチ
巨大な橋をはじめ、公共インフラの老朽化が進んでいるのは明らかです。このような事態に陥ってしまったのにはいくつかの原因が混在していますが、そのうちの1つが鉄筋コンクリートにあるのは明らかです。
鉄筋コンクリートがお目見えした当初、技術者たちはこれを一千年の長きにわたり使用できるものと考えていました。しかし実際には、十年かそこらで劣化の兆候を示し始めることが後に判明しました。
現在は多くの民間インフラ組織が登山家などの特別な技能を持つ専門家に頼り、時間のかかる手動検査・手動プロセスで劣化実態調査を行なっている状態です。
こうした検査は有効ではあるものの、完了までに非常に長い時間を必要とします。また危険度はかなり高く、莫大な費用がかかります。
こうした現状を省みれば、予防的で、対策を必要とする箇所を的確に見つけ出す公共インフラ検査・管理プロセスが必要なことは明らかでしょう。重要なインフラを包括的に守り保護するためには、新しいテクノロジーを活用したソリューションで、以下を実現する必要があります。
・ 現在の公共インフラ管理方法の改善
・ 継続的な資産分析による、優先順位付け方法の改善
・ 補修や修繕、交換を必要とする場所のより効果的な特定
・ 技術者が効果的かつ安全に対応していることを確認する方法
■ 公共インフラ状態管理に特化した「IBM Maximo for Civil Infrastructure」
デンマークの主要公共インフラ企業であるSund&Bælt社や、イタリアの高速道路運営管理するアウトストラーデ・イタリア社は、インフラのリスク特定や検査手法をスピードアップする戦略的新技術の実装を進めています。
天候、設計、建築年数や使用頻度などの複数要因に基づいたこの手法は、修繕や交換作業の安全性や正確性を高めるのと同時に、適切なメンテナンス計画策定も支援しています。
そして先日より、この革新的な技術を、広くさまざまな土木工学組織でもご利用いただけるようになりました。
IBM Maximo Asset Management for Civil Infrastructureは、インフラストラクチャ評価会社であるSacertis社や、独自のデジタル変革を遂げているSund&Bælt社と共同開発されました。
IoTテクノロジーとAIで公共インフラを管理する土木工学組織が持つ技術とノウハウを大幅強化する、公共インフラに特化した次世代資産管理ソリューションであり、橋、トンネル、高速道路、ダム、送電網、配管網、鉄道などの健全性をより効果的に監視し、メンテナンスを最適化します。
IBM Maximo Asset Management for Civil Infrastructureは、センサー、ウェアラブル、カメラ、ドローン、さらには超詳細な気象情報をも含む多様なデータを統合し、インフラ資産をモデル化、マッピング、監視します。
そして刻々と集まるデータを分析して亀裂や錆、腐食や振動、その他の負荷を特定して測定し、潜在的リスクを早期発見して警告サインを提供します。
■ IBM Maximo Asset Management for Civil Infrastructureが可能とすること
IBM Maximo Asset Management for Civil Infrastructureを導入した組織は、機敏な検査を通じて以下を入手することができます。
・ コンプライアンスおよび規制義務の履行
・ メンテナンス最適化および劣化や損傷への早期警告
・ 迅速で予防的な対応
・ 市民へのより一層の安全提供
・ 高額な点検・修理費の削減
・ インフラ資産の寿命延長
エネルギー、公益事業、運輸、および公共インフラ分野の運用・管理の専門家の方がたを支援するために。そして私たち全員のより良い未来を築くために。
IBMは、パートナー組織や専門家との共創を一層深め、エコシステムを繁栄させ、今後も世界中の運用リーダーに選ばれ続ける資産管理ソリューションとしてIBM Maximの開発を続けます。そしてIBM Maximo for Civil Infrastructureを通じて、公共インフラ資産管理という課題に取り組み支援を続けます。
私たちが直面する困難が何であれ、IBMはこれからも世界中のリーダーたちと手を取り合い解決に向かいます。
問い合わせ情報
お問い合わせやご相談は、Cognitive Applications事業 cajp@jp.ibm.com にご連絡ください。
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当記事は、米国時間2020年7月に掲載された記事「Let’s build a new era of restoration」を抄訳したものです。
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