Client Engineering

共創文化に染め上げるために | クライアント・エンジニアリングチーム戦略討議レポート

記事をシェアする:

 

IBMには「クライアント・エンジニアリング(以下「CE」)」という総勢110名からなる組織があります。そのまま日本語にすると「顧客」と「工学」という、少々不思議な組み合わせになる「クライアント・エンジニアリング」という組織名ですが、そこには「お客様と共に付加価値を創りだしていくという決意が込められている」とリーダーの村澤は言います。

3月25〜26日、日本IBMにおいて最も多様な人材の集うCEチームを中心とした戦略討議が、関東某所にて行われました(新型コロナウイルスに関する感染症の拡大防止策や会社のガイドラインに基づき、会場の収容キャパシティに対し、十分な余裕をもって実施しました)。今回はその模様をお届けします。

1日目、到着早々に撮影した記念写真 (後列左から)岡田拓也、小寺邦明、山本敦之、渡部吉昭、村澤賢一、平山毅、坂本佳史、八木橋パチ、佐藤大輔 (前列左から)野中秀明、小園井康志、都竹高広、西角恵輔、江夏恵理子、守友彩子、Mindy Fang(方雪敏)、山口武彦、後藤悠一

 

CEチームの最大の特長は、ビジネス・トランスフォーメーション・コンサルタント、データ・サイエンティスト、デザイナー、クラウド・エンジニア、ソリューション・アーキテクトなど、さまざまな業界から集結した多彩なバックグラウンドと専門知を持つ人材が、それぞれの技能や知識を縦横無尽に組み合わされて発揮していくことにあります。

またそのメリットを最大限に活かし、かつよりスムーズに実践していくために、お客様・業界向け専任チームが行動を共にしている点にもあります。

しかし、エキスパートの実践知をさらに強固なものとして社会に適応させていくには、各専任チームが手にした学びや技術をすばやく的確に共有していくことが必要です。

 

今回の戦略討議は、総勢110名からなる各専任チームからの選出メンバーが集い、お互いのバックグラウンドや思考特性までをも含めて個々人の相互理解を深めることが目的の1つでした。それが「組織として描き創り出していきたい、未来の社会像の解像度を上げること」に必要だからです。

そしてその先には、「お客様の変革やイノベーションのスタートダッシュを、クロスインダストリー思考で支援する」という、IBMのパーパスに基づいた「より良い未来社会を実現する(Let’s Create)」という大きな目標があります。

それではここから、2日にわたり行われた、より良い未来社会の実現手法「バックキャスト(未来のあるべき姿を起点として逆算する思考方法)アプローチ」の取り組みの一部をご紹介します。

 

発想の柔らかさと行動の軽やかさ、そして「思考の粘り強さ」

 

「柔らかさ軽やかさ粘り強さを」と訴える、クライアントエンジニアリンング事業本部 執行役員 村澤 賢一

 

「考えてみていただきたいんです。皆さん、ITは本当に社会を支えているのでしょうか?

私たちIT業界は、衣食住に代表される人間の営みを支える農業や建設業のように、人びとの暮らしを芯から支え、圧倒的な利便性を提供できているでしょうか? これからの成熟社会においては、ITはより深いところで社会とのエンゲージメントをもっと強めていかなくてはならないと私は思っています。

そのために必要なのは、これから50年100年と長きにわたって社会に価値を提供し続ける取り組みであり、それは一企業や一業界に収まるものではないでしょう。

そうした大きな取り組みには100年スパンでのバックキャストが必要です。そしてそれを現実のものとするのに必要なのは、発想の柔らかさと行動の軽やかさ、そして何度となく向き合わざるを得ないであろう困難に負けない『思考の粘り強さ』です。

2日間、目一杯頑張って、そして楽しんでいきましょう!」

村澤によるオープニングトークの後は、ここ最近のいくつかの取り組み発表が各担当者より行われました。

 

クロスインダストリーとカタリスト、そしてUnlock(アンロック)

ここからは戦略ワークショップの時間となり、参加者は金融、製造、流通のインダストリーごとの3チームに分かれ、「クロスインダストリー(異業種連携)でのビジネス創出」に取り組みました。

 

戦略ワークショップ中のチーム3(流通)の様子

 

ただ、「インダストリーごとのチームでクロスインダストリーの施策を考える」 のでは、良くある普通の戦略ワークショップと変わりません。

実際には、インダストリーごとに分かれた各チームがそれぞれ「異業種連携」を考えるのと同時に、ときおり別のチームから訪れてくる専門知識を持った「カタリスト」(化学反応を促す触媒のこと。翻って新しい視点や知識で取り組みに強度や確度をもたらす役割)の言葉を受け、より価値の高い共創施策を考え生み出すという仕掛けが組み込まれた戦略ワークショップとなっていました。

 

戦略ワークショップ中のチーム2(製造)の様子

 

「クロスインダストリーが謳われて久しいですが、なかなか骨太なものが社会に出てこないのはなぜかと改めて考えてみました。

そこには、自身や自組織、自社の在り方やルールに対する「こうでなければいけない」という思い込みがある気がします。でも、もっと自分を解き放っていいんです。いや、解き放たなければ100年続く価値を生み出すことなんてできないんじゃないでしょうか。

自分たちをUnlock(アンロック)して、もっとチャレンジしていましょう。それでは今日はお疲れさまでした。皆さん、また明日もがんばりましょう!」

村澤のこの言葉をもって、1日目の戦略ワークショップは終了となりました。

 

戦略ワークショップ中のチーム1(金融)の様子

笑顔と内発的動機、そして「共創の文化」

合宿2日目は、よりビジネスの根幹近くへと踏み込んだものとなりましたが、ここではその内容については非公開とさせていただきます。ぜひ、クライアント・エンジニアリングチームのメンバーに直接お尋ねください。

当レポートの最後に、村澤が合宿の最後にまとめとして話したことを一部紹介します。

 

「『組織の壁』という言葉がありますが、私は一度もそれを実際に目にしたことはありません。皆さんも同じですよね? だって、組織の壁もサイロも、その正体は精神的なブロックでしかないのですから。

でも、これから一人ひとりがみんなアンロックされていけば、自分の中から大きなやりたいことがきっと浮かんでくるのではないでしょうか。この2日間で、その尻尾を捕らえた、あるいは、元々持っていたビジョンの解像度が上がったという人もきっといらっしゃることでしょう。そしてそうやって出てくるものこそ、内発的動機に基づいたものでしょう。

私は、究極的には笑顔が人間の最大の原動力になるものだと思っています。自らが楽しんで笑顔で取り組める仕事や、周囲を笑顔にすることを想像しながらできる仕事。そういう仕事にはアイデアもやる気も湧き上がるし、それはきっと何らか人間の大義に貢献するものなのではないでしょうか。

この合宿に参加できたのはチーム110人のうちの20人弱に過ぎません。ここにいる皆さんは、他のメンバーの背中を押してあげてください。そしてカタリストとなり共創の文化でIBMを染め上げ、社会にもそれを伝播させていく役割を持っているんだとぜひ思ってください。No Challenge, No LIFE!!

 

今後、皆様が私たちクライアント・エンジニアリングチームに対して「チャレンジが足りない」と感じることがあった際には、ぜひ「No Challenge, No LIFEじゃなかったの?」と背中を叩いていただきますようお願いします。

 

IBM クライアント・エンジニアリングチームでは、社会的価値の共創やクロスインダストリー企画のご相談を積極的に承っています。ぜひ下記よりお気軽にご相談ください。

問い合わせ情報

 

関連記事

Yara International ASA | 食糧問題の解決を目指して

塚脇和生: シニアリーダーこそ率先して価値観を変えていくべき(前編) | #1 Unlock

世の中を疑ってかかることにすごく興味があるんです(Watson IoT 村澤 賢一)

TEXT 八木橋パチ

 

More Client Engineering stories

企業の垣根を越えて:生成AI活用アイデアソンをトヨタファイナンス様とIBMが共同開催

Client Engineering

  トヨタファイナンス株式会社IT本部イノベーション開発部部長の松原様の呼びかけにより4社のITベンダーが参加した生成AIアイデアソンが10月7日に開催し、成功裏に幕を閉じました。   ~トヨタファイ ...続きを読む


「第2回ベジロジサミット」レポート後編 | ベジロジシステム討論会

IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software

ベジロジ倉庫とベジロジトラック、そしてキャベツ食べ比べを中心にご紹介した「第2回ベジロジサミット」レポート前編に続き、ここからは第二部、場所を屋内に移して開催されたベジロジシステム討論会の様子をご紹介します。 目次 前編 ...続きを読む


「第2回ベジロジサミット」レポート前編 | レタスの食べ比べとベジロジ倉庫・トラック

IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software

「佐久地域は葉洋菜類の一大産地であり、産地の生産を守ることは日本の食を守ることです。主体的に取り組んでいきます。ただ、青果物の取り組みは特に困難な要素が多く、物流業界でも取り組みが進んでいない分野です。そんな中で、持ち前 ...続きを読む