IBM Partner Ecosystem
風は西から——地域から日本を元気に。(「ビジア小倉」グランドオープン・レポート)
2025年01月08日
カテゴリー IBM Consulting | IBM Partner Ecosystem
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福岡県北九州市のJR小倉駅から徒歩7分、100年の歴史を刻む日本でも有数の人気商店街「旦過市場」からもすぐという好立地にグランドオープンしたBIZIA KOKURA(ビジア小倉)。
そのグランドオープン式典が2024年12月13日(金)に行われました。
13階建てのビジア小倉は、北九州市の再開発促進事業「コクラ・クロサキ リビテーション(リビルド(建替え)+インビテーション(引き込む)の造語)」の第1号適用物件として建設されたオフィスビルで、11階から上の3フロアには、IBM 九州DXセンターが入居しています。
オープン式典に併せて開催されたIBM九州DXセンター新オフィス内覧イベントには、多数の来賓の方がたに加え、テレビ・新聞を中心とした多くの報道関係者の皆さまにご参加いただき、多くのご質問やご感想をお聞かせいただきました。
当記事では、当日の様子と、テレビ局のインタビューを受けた2人のIBM九州DXセンター所属社員の「本音トーク」をお届けします。
ビル入り口脇の開放的な公開空地で行われたグランドオープン式典は、小倉祇園太鼓鳥四(鳥町四丁目)チームによる迫力ある小倉祇園太鼓の演奏でスタートし、フィナーレのテープカットは小倉織テープ(当記事冒頭写真参照)が使用されました。
IBM九州DXセンター新オフィス内覧と式典後には、入居テナント専用コミュニケーション・スペース「BIZ-LAB」で、北九州市武内市長と株式会社ワールドホールディングス代表取締役会長兼社長の伊井田氏、日本IBM 加藤副社長の3名による記者会見が行われました。
以下は、式典での挨拶と上記記者会見の中で、筆者が個人的に興味深いと思った3者の言葉です。
◆北九州市 武内和久 市長
- 新しいチャレンジを求めて集う若者を支え、他世代が混じりあう新しい北九州市へ。新たな歴史を刻む今日がその1日です。
- 本当にIT企業やデジタル人材が集積できる街なのか。理解して納得していただいて集っていただきたい。まずは見て知って試してほしいと思っています。
- ものづくり企業のDX化を後押しし、ワクワク感とチャンスの溢れる「稼げる街」北九州へと、ビジア小倉とともに大きく一歩踏み出しました。
◆株式会社ワールドホールディングス 伊井田栄吉 会長
- BIZIA(ビジア)は、ビジネスと「集まる場所」を意味するラテン語を重ねた名前です。
- 北九州市初となる「CASBEE-スマートウェルネスオフィス認証」(働く人の健康配慮や省エネ環境、安心と安全に関する性能などの多角評価・認証制度)を来年春に取得予定です。
- 先日、インフルエンザ接種に行った病院の待ち合いで、近くのご老人に「伊井田さん、明るい街に(なるように頑張ってくれて)ありがとう」と言われ、感無量になりました。
◆日本IBM 加藤洋 副社長
- 「我われは地域の皆さんに受け入れていただけるのだろうか?」——不安な日々を過ごしていたのが嘘のように、地域行政・企業・住民の方たちの温かい歓迎に喜びを感じています。
- 北九州はたくさんの大学があり優秀な学生の多い街。市長が掲げている「稼げる街」づくりを、多くの若者や地域企業のみなさんと一緒に進められるのが非常に楽しみです。
- 本日(2024年12月13日)提供開始を発表した、「IBM地域デジタル変革パートナーシップ包括サービス」の実施第一弾となるのがIBM 九州DXセンターです。エンジニア志望や理系の学生が多い北九州市で、IT人材不足という社会課題の解決に一緒に取り組みましょう。
上記で加藤が話している「IBM地域デジタル変革パートナーシップ包括サービス」とはどのようなもので、それが「IT人材不足」という課題解決にどうつながるのでしょうか。
そのサービス内容を簡単に確認してみましょう。
・ サービス概要(趣旨)
各地の産業集積の特性を踏まえた、地域企業の「デジタル人材育成」と「先端技術を活用した企業のデジタル変革」を両輪で進め、全国8カ所の「IBM地域DXセンター」を軸に、地域共創を進めながら包括的な支援を提供。
・ サービス開始の背景
デジタル人材は東京圏に集中し、全国的に不足状況。地域ではデジタル変革を推進する人材の確保・育成が難しく、デジタル変革の阻害要因となっている。
・ サービスが企業と地域にもたらすもの(解決する課題)
AIや先端テクノロジーを活用しながら、業界知識をもとに地域企業のデジタル変革を推進するデジタル人材。そしてデジタル人材が、企業の枠を超えて各地域の共創やイノベーションの中核を担うエコシステムの構築。
・ 5つの重点強化領域
- デジタル変革戦略の推進 | 新しいデジタル・ビジネスモデル創出支援や変革推進部門の立ち上げ、ほか
- 産官学連携による多様なデジタル人材育成 | 産官学で企業・地域のイノベーションをリードするデジタル推進人材の育成・支援
- 先端技術を活用した業務改革 | 「デジタル変革のためのAIソリューション」ほかを活用した、業務効率化や市場競争力向上支援
- 開発・保守運用とビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)の高度化 | 開発・保守運用の効率化や、AIを前提としたBPO業務の高度化による企業競争力強化
- 新しいワークスタイルの確立 | リモートワーク導入支援やAI活用プラットフォームによるプロジェクトの生産性・効率性向上
ここまで、12月13日に行われたビジア小倉のグランド・オープニングと、同日発表された「IBM地域デジタル変革パートナーシップ包括サービス」、そしてそれらへの期待について、公式発表を中心にご紹介しました。
最後に、2人のIBM九州DXセンター所属社員が感じている「今、北九州で働くリアル」についての本音トークをお届けします。
山下 舞(やました まい)| アプリケーション開発者
2024年2月に東京から「Uターン」にて北九州へ。IBM 九州DXセンター所属。
●
——Uターン、並びにIBM 九州DXセンターへの転職理由が「おもしろそうだし、チャンスかなと思った」とお答えになられていました。
山下:私にとっては慣れ親しんだ学生時代の友人がいて、勝手知ったる北九州」で働けることと、地元の企業や学校とのつながりを感じられる仕事ができることは、とてもおもしろいことだし嬉しいことです。
北九州市にIBMが来ていなかったらおそらく私がやりたいと思う仕事はここにはなかったと思います。そして私はきっと戻ってきていなかったなあと思います。
——友人や仕事内容の他にも、北九州に戻られた理由はありますか?
山下: 北九州市が積極的に誘致施策を展開していたことも大きかったです。一定の条件を満たせば、単身世帯でも60万円の支援金が頂けるという市の支援事業があり、それが理由で北九州に決めました。それまでは福岡市を候補に考えていましたが、IBMの求人があって、誘致支援金があって、私と同じように東京から北九州に戻った友人たちが少なくともすでに10人は街にいて。
「これって北九州に戻らない理由なくない?」と。
——もともとの地元ということで、移住の心配はなかった?
山下: 「地元」というのはもちろん大きな理由ではありますけど、でも、私はUターン・Iターンや移住が、重たく捉えられ過ぎている気がします。
私の場合は勝手知ったる土地ではありましたが、そうじゃない場合でも、必要以上に、あまり重たく考え過ぎなくても良いのでは、というのが個人的な意見です。もちろん、「人によるだろうな」とは思いますが。
——たしかに、国をまたぐわけでもなく、「ちょっと距離のある引越し」に過ぎないとも言えます。
山下: そうです。移住先での生活や仕事がもし合わなかったり、違和感が強かったりしたら、また別のところに移ればいいだけのこととも言えます。
私は東京が嫌で帰ってきたわけではないので、またいつか「やっぱり東京の方がいいかな」と思うことがあるかもしれません。
そのときはまたそのときに考えればよいと思います。
川上 聡一 (かわかみ そういち)| プロジェクト・マネージャー
2024年8月に中国・大連から「Iターン」。出身地は北海道で、これまでに東京・大阪などでも勤務経験あり。IBM 九州DXセンター所属。
●
——テレビ局のインタビュー取材、なんだかすごく慣れている感じがしました。
川上: そうでしたか? 取材の経験はほとんどないのですが、普段考えていることをお話しさせていただく機会は結構あり、いただいた質問が日常的に考えていることや感じていることだったので、分かりやすくお伝えすることができたのかと思います。
よい機会をいただきました。
——生活環境の良さを大プッシュしていましたね。「北九州の生活に一切不満はないです」とも。…本当に?
川上: ……。……。……改めてじっくりと「不満」を探してみましたが、やっぱり見つかりません。ないです。街中にも公園が多いし、ちょっと車を走らせれば若松のきれいな海岸があって、温泉もあれば美味しい食べ物もたくさん。そして家賃はもちろん全体的に物価が低いので生活費が安い。
ここでずっと暮らしたいって思っています。
——ここ数年は中国・大連で暮らしていて、その前は大阪さらに前は東京と、いろんな街で暮らしてきた川上さんには、刺激や学びの機会が少なくはありませんか?
川上: 数年前だったら状況は違ったかもしれませんが、今はセミナーもオンライン配信が多く、技術者として最新テクノロジーを追いたいという気持ちや知識欲の部分は十分満たされています。これはコロナ禍がもたらした社会変革のおかげと言ってもいいかもしれません。
——なるほど。本当に満足し切っているんですね。
川上: ただ、これは私がITエンジニアのバックグラウンドを持っているからかもしれません。ITの仕事は環境の制約が少ないのが一つの特色ですから。
その点から考えると、今後も必然的に北九州にテクノロジー人材は集まるでしょうし、そうすると街も発展を続けるのではないかと思います。
——それでは、北九州への移住をどなたにもお勧めしますか?
川上: 基本的にはそうですが、「移住と転職」をセットで考えるとなると、少し話は変わってくるのかもしれません。
たとえば転職先がミスマッチだったとき、札幌や福岡のようにIT産業が発達している都市とは違いがあり、今はまだIT企業がたくさんあるという状況ではありません。そうすると「再転職」しづらい可能性があります。その視点から考えると、特に家族がいる方などは、それなりに慎重にならざるを得ないかと思います。
「今後、北九州がIT都市として発展していき、土壌が整うことは重要だと思います。これからそうなっていくのは間違いないと思いますが、今はまだ『これから』というところもあるので」と先日のテレビ局の取材でも、そんな話をさせていただきました。
——なるほど。半年前まで暮らされていた大連と比べて、真っ先に頭に浮かぶ違いはなんですか?
川上: 仕事面での話になりますが、人材確保の難しさです。ただ、これは北九州に限らず日本全土に共通の問題です。
そしてもう一つの違いは、教育環境だと思います。北九州に大学は数多くありますが、それよりも手前の小中高です。
今、有名な海外の一貫教育校の誘致などの話も進んでいるという話も耳にしているのですが、それが実現したら一気にアジアの裕福層の移住が進み、大連をはじめとした中国や東アジア・東南アジアからの優秀な人材の流入にも弾みがつくのではと考えています。
——それでは最後の質問です。「北九州は優しくて温かい人が多い」とお話しされる人が多いのですが、川上さんもそう思いますか。
川上: たしかにそうなんじゃないでしょうか。
僕は札幌の出身なのですが、「江戸時代末期以降に発達した街」という共通点のせいか、ちょっと似たところがあると感じています。
外から入ってくる方たちを積極的に受け入れて、共創を進めていったという街の成り立ちや文化・歴史が、どこか似ている風土を作っているのかもしれないです。
風は西から——ビジア小倉から、IBM 九州DXセンターから。
クリエイティブ人材と先進テクノロジーで、新しい化学反応を起こし、新たな地域共創と新しいビジネスモデルを。地域から日本を元気にしていきましょう。
TEXT 八木橋パチ
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