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笑わば笑え。僕たちの本気 | IBM Future Design Lab. 天城未来デザイン会議「暮らし方」分科会から

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「これからの価値観・これからのしあわせ」をテーマに、2日間の合宿形式で開催された「IBM Future Design Lab. 天城未来デザイン会議」に参加してきました。

一参加者としてどのような会話を行い、自分の気持ちや感情がどんなふうに揺れ動いたのか、そしてどんな思考が浮かび上がってきたのかを書いてみたいと思います。

(なお、天城未来デザイン会議の詳細レポートは、後日別フォーマットにて提供させていただく予定です。ご期待ください。)

筆者: 八木橋 パチ(最後列中央)。日本アイ・ビー・エム株式会社 コラボレーション・エナジャイザー。趣味は雑談と民主主義とデンマーク。最近気になっているは「共有資源(コモンズ)」と「分配(再分配)システム」と「公正性(Equity)」。

 

上の集合写真に写っている約半分は、「オニワラ」のレギュラー陣と過去にご登壇いただいた方たち。そして残りの半分のほとんどが、「鬼を笑わせるのが大好き」とでもいうような、未来を考えるのがすっかり癖になってしまっているIBM社員たちです。

きっと「オニワラとは?」と思われている方がたくさんいらっしゃいますよね。

オニワラは、「来年の事を言えば鬼が笑う」ということわざをモチーフに、「それならオニが笑うほど未来の社会を語ろうじゃないか」という趣旨のもと、IBM Future Design LabがシリーズとしてYouTubeライブ配信をしているプログラムです。

参考 | オニが笑うほどの未来の社会を語る「オニワラ」

オニが笑うほどの未来の社会を語る「オニワラ」

 

そして今回、「どうせなら鬼が大爆笑し過ぎてお腹痛くなっちゃうくらい、徹底的に未来について語り合って好ましい未来をデザインしようじゃないか」という意図で集まったのが、天城未来デザイン会議です。

それにしても、よくもまあこれだけ未来を語り合うことが好きな人間ばかりが一堂に介したものです。鬼も今ごろお腹を押さえているはず!?


 

まず、インプット・セッション「幸せってなんだっけ 2035 」が、続いて、主体的な未来創造への姿勢・覚悟(アティチュード)である「参加者相互の探究と開示による共鳴」の確認が全員で行なわれた後、参加者はテーマごとに3つの分科会に分かれ対話をスタートしました。

私が参加したのは「未来の新たな暮らし方と幸福」。

ファシリテーターを含め以下8名の参加者が、それぞれ「未来の暮らし」を考える上で鍵となりそうなキーワードやフレーズをポストイットに書き出し、それを共有していくところから共鳴活動を始めました。

左上から時計回りに西村 真里子さん(株式会社HEART CATCH(ファシリテーター))、 大村 寛子さん(ヤマハ株式会社)、瀧本 陽一さん(浜松市)、土屋 敏男さん(日本テレビ放送網株式会社)、岸本 拓磨(日本IBM(ファシリテーター))、古長 由里子(日本IBM)、金子 達哉(日本IBM)、八木橋 パチ(日本IBM)

 

みんなの頭や口から出てきた断片的な思いやストーリーが、つながったりぶつかったり分裂したりしながら、広いミーティングルームのあちらこちらへと伸びていくような感覚でした。

でも、そんな中、私の頭の中では「少なくとも今以上には幸せが偏らない社会に」という言葉がずっと鳴っていました。

今、幸福(ウェル・ビーイング)を考えるとき、私たちの頭には金融、健康、能力、社会関係などの「個々人が持つ資産」をベースにして捉え過ぎてはいないでしょうか?

つまり、幸福があまりにも「個人のウェル・ビーイング」に寄りすぎてはいないでしょうか。

 

社会的不利益が集まりやすいシングルマザーや移民家族。

自己責任という言葉に覆い潰されてしまいそうな生活困窮者。

必要不可欠なのに大事にされていないエッセンシャルワーカー。

戦後の負の遺産が集中し過ぎている沖縄。

激甚化する異常気象に「手遅れかもしれない」と不安を募らす環境活動家。

出口の見えない戦争と資源の奪い合いに翻弄される人々。

 

決して悲観主義者になりたいわけではないけれど、これらの厳しい現実の最前線にいる人たちが視界に入っていないかのような、「お気楽なテクノロジー信奉者の描く未来図」作りの片棒は絶対に担ぎたくない。

分科会での対話に集中しながらも、頭の奥の方ではそうした考えが根を伸ばしていくのを感じていました。

 

そして夜になり、参加者全員で一緒に美味しい夕食を取り、それから少しリラックスした状態でたくさんの小グループに分かれたりシャッフルしたりしながら、ひたすら対話を続けました。

 


写真はCode for Japanの関さんが早朝ランで撮ったもの。鹿に出くわしたそうです。

 

翌朝、起床してカーテンを開けると、数メートル先を見通すのも難しいほどの激しい霧。

私が参加していた分科会では、朝食を早めに済ませて、開始予定時刻よりも先に未来の幸福な暮らし方に関する対話を再スタートしようということになりました。

 

少し急いで向かったのですが、分科会部屋に着いたときには、すでに私以外の全メンバーは集中して対話を行なっていました。

模造紙にはみっちりと、昨日、チームの誰かが発し、受け止められた言葉や対話がまとめられていて、皆がそれらに新たな息吹を吹き込んでいました。

その姿と言葉にじっと心を寄せていたら、なんだか急に、昨日、自分の頭の奥に向かい伸びていた根から、むくむくと幹や枝が上の方へと伸びていき、緑の葉をたたえだすのを感じたのです。

本当に突然だったのですが、今この部屋にいるみんなは誰も厳しい現実から目を逸らしているのではなく、それを踏まえた上で意思を示し、「今の現実」に違う角度から光を当てて「よい未来」に反射させようとしているのだということが、急に理解できたのです。

それはきっと、初日の未来会議スタート時に語られた「参加者相互の探究と開示による共鳴」が、ようやく頑固者の私の深いところにまで染み渡った瞬間だったのだろうと思います。

そして「現実がどんなに厳しくても諦めず腐らず、ほんの少しでも今よりも明るい方へと向かう」というアティテュードを持つ人たちに囲まれて過ごしているという事実に、大きな喜びを感じた瞬間でした。

 

自分の頭に、違うスイッチが入りました。

気がつけば、外はすっかり霧が晴れ、緑と青と白がきれいに広がっていました。

写真はFuture Design Labファウンダーの藤森 慶太(自称「ケイティ」)撮影。

 

倫理の組み込まれた「エシカル・テクノロジー」を基盤とした利他的自己中心トークンを社会に循環させていくことで、メタバースとDAOの「ロマンチシズム」を成熟させ、ゼロサムベースの「所有権争奪戦」からすばやく手放す「預かり合い」へと価値観をアップデートできるのではないか?

いや、できるかどうかではなく、一緒にそこに進んでいこうじゃないか!

 

こんなメッセージが、スッと自分の、いや自分たちのものとなったのを感じました。

オニワラが誇るグラフィッカー 山田 龍平による「新たな暮らし方を考える」。

 

上の文章も画像も、きっともっとずっと丁寧にきちんと説明しなければ伝わらないものだと思います。そしてこれからじっくり磨き上げていく時間も必要でしょう。

でも、まずは「今ここにある自分たちの本気」として提示してみます。「おもしろそう!」とか「もっと聞いてみたい」と思った方はご連絡ください。

 

最後に、第一回天城未来デザイン会議の散会前に、自分が読んだポエムを。

本気になる。

多分、みんな、本気になるのって苦手だと思うんです。だって「本気になるぞ!」って言って本気になれるものでもないじゃないですか。

じゃあどうやって、どんなときに本気になるのかな? そうやって考えると、多くの場合、周りで誰かが本気になっているのを見たり、耳にしたり、そんな誰かに声をかけられたり…そんなときじゃありませんか?

だから、「あ、いま、自分は本気になっている!」って気がついたときは、周囲にどんどんそれを伝えたり、「ねえ見て見て!」って声をかけたりしたらイイんじゃないかな? クール気取ったりサーカスティックになったりするんじゃなくって、「頑張っています本気なんです」って伝えて、せっかくなら「一緒にやらないかい?」って訊いてみたらどうかな?

 

平和と幸福の最強コンビに勝るものなどありません。

誰かを、そして自分も、犠牲にしない。「戦争と貧困をなくすテクノロジー」を次世代に。

 

問い合わせ情報

 

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