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より持続可能な運営を実現するための6つのアプローチ方法

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01 持続可能なオペレーションは資産管理から

建物やエネルギー・グリッド、車両や産業機器など、さまざまなビジネスにおける事業資産がサステナビリティーにおける社会課題の主原因となっています。しかし裏を返せば、優れた資産管理を実践できれば、今日の課題が解決策へと転換できることを意味しています。

「より良い行いを通じてより良いビジネス結果を得る」——以前は「単なるきれいごと」と捉えられていた、地球と共生できる環境に配慮した組織でありたいという願いは、すでに実現可能なだけではなく、もはやビジネスに必要不可欠です。

多くの市民がすでにその事実に気づき、企業評価にその観点を持ち込んでいます。だからこそ、あらゆる組織は、事業運営をよりサステナブルなものとしながら、組織により多くの価値を提供するアプローチにより積極的に取り組むべきなのです。

業務に必要な資産は大量にあり、それぞれが有限のライフサイクルを持っています。不適切なメンテナンス、改修、交換は環境負荷を大きくします。最も良いアプローチは、資産それぞれの寿命を延ばすことです。

適切な企業資産管理を採用することで、より持続可能な事業運営を実現できます。無駄を省き、業務の効率化を図れるのです。2つの例をご紹介します:

  1. 企業レベルでメンテナンス要求を管理し、最適で効率的なプロセスとルートを作成し、技術者が要する燃料の量と時間を削減する。
  2. メンテナンスチームに、過去のメンテナンス履歴をはじめとした詳細な資産情報と重要な知識へのすばやいアクセスを提供するモバイルツールを提供し、初回修理率を高め、再訪問を減らす。

 

具体的な事例としてSund & Baelt社の取り組みをご紹介します。

Sund & Baelt社は、AIとIoTを活用して世界最大級のインフラを保全・保護しており、グレートベルト橋の予想寿命を100年延長し、75万トンのCO2排出を回避できると予測しています。

参考 | [事例] Sund&Bælt Holding社 | より良い洞察への架け橋を築く

 

02 資産パフォーマンス向上

IoTデータ、アナリティクス、AIで持続可能なオペレーションを次のレベルへ

持続可能なオペレーション管理には、製品やサービスの品質向上に伴う本来は不要な労働の削減が不可欠です。機器の故障や不具合の根本的な原因を把握し、資産の稼働時間を向上させることは、産業や分野を問わずプロセス最適化の鍵を握っています。

しかしオペレーション改善においては、「ほぼすべての取り得る施策を実装してきた」という組織も少なくないことでしょう。だからこそ、より効率的で持続可能なモデルへの転換において同業他社に大きな差をつけるのが、AIを活用した資産パフォーマンス管理(APM: Asset Performance Management)機能なのです。

 

まず、重要な資産を遠隔監視し、全社的にパフォーマンスを可視化します。次に、そこで得たデータを使用して、リスクと重要性に基づく戦略的で持続可能な資産戦略を立案します。

戦略に基づいた予知保全計画を策定すれば、資産の稼働率は20%程度向上し、機器の寿命も数年は延び、CO2排出量も削減できるでしょう。

AIを活用すれば、視覚・聴覚的検査の効率と精度が格段に上がり、大規模な問題に発展する前に小さな欠陥が発見でき、無駄と手戻りを削減できるのです。

 

03 グリーンビルディング

建物の環境性能を可能な限り高める

環境に責任を持ち、資源効率に優れた施設を作ることは、建物レベルにおける資産管理の最重要事項です。そして建物もあらゆる資産と同様に有限のライフサイクルを持っており、立地から設計、建設、運営(設備管理、メンテナンス、改修を含む)、解体まで、あらゆる段階においてより持続可能とすることが可能です。

必要なのは、これまで挙げてきたのと同様の、高度な資産管理技術やプロセスの適用です。例をご紹介します:

  •  オフィス空間がどのように使用されているかをモニタリングし、使用状況を把握・分析して、適切なサイズと割り当てを設定します。
  •  工場施設などと同様に、HVAC空調システム、エレベーター、非常口標識などの各建物内の資産を管理・監視し、AIによる分析と洞察をもとに予知保全を行います。使用エネルギーと二酸化炭素排出量の両面で、事後保全よりも大きな効果を発揮できます。
  •  建物のデジタル・ツインを作成し、ビル・システムをミラーリングしてシミュレーションを行います。従来の不適切なメンテナンスや不正確な修理によるリソースの浪費を無くすのと同時に、実際の問題が発生する前にトラブルシューティングを行えます。

参考 | 持続可能な施設管理を実現するテクノロジー | IBM不動産部門(GRE)事例

 

04 気象を味方に

天候を心配するだけでなく、計画し、対応する

原材料の調達から最終消費者へのラストワンマイルの配送に至るまで、天候はビジネスのあらゆる側面に日々影響を与え続けています。

2020年には、米国内だけで22件の10億ドル規模の気象・気候災害が発生していることと合わせて考えれば、小規模なものから大規模なものまで、気象リスクをモデル化することがビジネスにとってどれだけ重要かをご理解いただけるでしょう。

IoTデータとAIの組み合わせがビジネス資産の保護に大いに役立つように、企業が持つ独自の地理空間情報データとサードパーティの地理空間情報データを組み合わせれば、ビジネスを予期せぬ事態かに備え、守ることに大いに役立ちます。例を2つご紹介します:

  1. 正確な気象データにより、エネルギー需要をより正確に予測し、必要以上の電力を購入せず無駄を省くことができます。
  2. 気象情報を用いて事故や渋滞、障害を予測して回避し、最も効率的なルートを計画することで、配達や移動から発生するCO2排出量を削減できます。

 

05 テクノロジーをビジネスと地球環境に役立てる

企業には、地球と環境資源をよりよく管理することが、新たな課題として突きつけられています。

社会的存在意義に重きを消費者は増え続けており、彼らは環境問題に取り組む企業を支持します。さらに従業員——とりわけミレニアル世代——は、企業の社会責任への取り組みを軸に、自らの所属先や雇用主を決める割合が上昇し続けています。

そして株主もまた、企業のポートフォリオが環境や社会に与える影響から、投資先を決定するようになりつつあり、この傾向は今後一層強くなり続けていくでしょう。

「競争力を高めるためには持続可能性戦略が不可欠」と考える経営幹部が62%に昇ることは、まったく不思議ではありません。

参考 | Why all businesses should embrace sustainability (IMD Business School – 国際経営開発研究所)

 

06 持続可能な未来のための持続可能なソリューション

サステナブルな事業運営の実践を求めているのであれば、IBMは最適なパートナー候補でしょう。

AIを活用したオープンなソリューションとプラットフォーム、そして業界に関する深い専門知識により、より持続可能なオペレーションとインフラストラクチャーを実現するためのパートナーとして、あらゆる面からのサポートが可能です。

 

ソフトウェアを中心とした支援であれば、以下が代表的なものとなります。

  • IBM Maximo Applications Suite – EAM市場をリードするインテリジェントな資産管理、モニタリング、予知保全、画像認識、安全性と信頼性、これらすべてを単一プラットフォーム上で提供しています。組み合わせや成長スピードに合わせた展開の仕方は、採用企業に大きな優位性を与えます。
  • IBM TRIRIGA – 持続可能で安全かつ柔軟な職場のあらゆるフェーズにおけるデザインや、施設や建物の運用効率を高めることにより、環境負荷を大きく削減できます。
  • IBM Environmental Intelligence Suite – 高度なアナリティクスとインテリジェントなワークフローにより、天候起因のビジネスへの影響や混乱を大きく軽減ができます。天候が資産、従業員、顧客にどのような影響を与えるかをより的確に予測し、的確なプロセスを再構築することが可能です。
  • IBM Envizi ESG Suite – ESGデータの取得と管理を容易にし、サステナビリティー・レポートの作成に関連する業務を大幅に削減します。また、非財務情報報告書のデータ確証性と開示内容の正確性を大幅に向上し、市場における優位性の構築・確保を揺るぎないものとします。

 


当記事は『How to create more sustainable operations – one asset at a time』を日本の読者向けに編集したものです。

 

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