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混沌を受け入れ、チャンスに変える | from IBVレポート「2023年 5つのトレンド」

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2023年もスタートして3カ月を過ぎようとしています。気が付けば年の初めに見つめ直した足元や、捉え直した方向性も、忙しさの中でまた忘れ去られそうになってはいないでしょうか。

以下の記事は、昨年末に発表されたIBVレポート『2023年 5つのトレンド ——混沌を受け入れ、チャンスに変える』の全体感と、その中の「トレンド 4: 大きな影響力と高い実現性を備えたサステナビリティー戦略が必要になる」を抜粋したものです。

このタイミングで、改めて道の先に光をあててみましょう。

なお全編は下記よりダウンロードいただけます。

https://www.ibm.com/thought-leadership/institute-business-value/jp-ja/report/business-trends-2023


 

「迅速な対処」が 2023 年の鍵となる。継続する不確実性、増大する複雑性、また多層的な脅威の発生に対し、企業は洞察を得てから行動を起こすまでの時間を短縮する必要がある。今後、さまざまな障壁が生じる中で、ビジネス・リーダーはその都度、対応のための正確なインテリジェンスを必要としている。

 

今、経営者は未来に備え、予測することが求められている。世界的な不況が間近に迫っているのだろうか?パンデミック規制の緩和はハイブリッドな働き方に影響を与えるのだろうか?今後も異常気象による大惨事が世界各地で起こるのだろうか?地政学的な対立は鎮静化するのか、それとも全く新たな次元に移行するのか?脅威がどこでどのように発生し、どこで重なり合うのか、それはグローバル・ビジネスに大きな影響を与えるだろう。

 

2023年のビジネス環境に影響をもたらすであろう5つの主要なトレンド

トレンド 1: 人財・スキルの不足、および賃上げ圧力が成長を妨げる

35% | 少なくともパートタイムでのリモートワークが可能でない仕事には応募しないと答えた従業員の割合

トレンド 2: プライバシーとパーソナライゼーションが顧客とのリレーションを複雑化させる

Z世代 37%、ミレニアル世代 38% | ハイブリッド・ショッピングが主要な購買形態である

トレンド 3: サプライチェーンの脅威が多層化し、継続的なレジリエンスの必要性が高まる

50%近いCSCOが、サステナビリティーの取り組みによって、今後2~3年の間にサプライチェーン・モデルが大きく変わると予測している。C-Suite全体では、38%の経営幹部がサステナビリティー・プロファイルに基づいてサプライヤーやベンダーを変更すると考えており、32%が今後3年間に低排出、低汚染、低廃棄に向けた調達手法の転換を計画している

トレンド 4: 大きな影響力と高い実現性を備えたサステナビリティー戦略が必要になる

86%の経営層が自社がサステナビリティー戦略を導入していると回答した。しかし、その戦略を実践したのはわずか35%

トレンド 5: サイバー攻撃の対象となる領域が指数関数的に拡大していく

3人に2人の経営層がサイバーセキュリティーをコストセンターではなく、主に収益の柱と見なしている

 

トレンド 4: 大きな影響力と高い実現性を備えたサステナビリティー戦略が必要になる

EUの新しい企業サステナビリティー報告指令(CSRD)では、5万社が環境フットプリントに関するより詳細な情報を開示することが求められ、その規則は2024年から2028年の間に発効される予定である。*1

英国の気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TFCD)と米国の米国証券取引委員会(SEC)の報告義務化は、コンプライアンスの複雑さに拍車をかけることになる。

また、利害関係者はリーダーたちに、最低限の要求事項を超えた目標を設定するよう求め続けるだろう。企業がネット・ゼロ・エミッションやその他の野心的な目標を達成するために広範な計画を立てる中、約半数のCEOが、エコシステムのパートナー、役員、投資家からサステナビリティーの成果を改善するよう直接的な圧力を感じていると回答している。*2

しかし、多くの企業の環境に対する善意は、まだ実現されていないのが現状だ。製造業を対象とした IBV の最近の調査では、86% の経営層が自社にサステナビリティー戦略があると答えたが、その戦略に基づいて行動したのはわずか 35% であった(図 4 参照)。また、サステナビリティーの目標や指標をビジネス・プロセスに組み込んでいるのは、3 人に 1 人しかいなかった。*3

 

 

価値ある影響を生み出すための3つの方法

温暖化は進み、プラスチックは増殖し、生物の絶滅は年々増加している。リーダーは、排出量の削減にとどまらず、組織が環境に与える全体的な影響についても、より総合的に考える必要がある。ここでは、2023年に地球を保護し、収益を向上させるための戦略を策定するための3つの方法を紹介する。

 

1. サステナビリティーを戦略の中心に据える

利害関係者は言葉だけでなく、行動を求めている。報酬体系、企業のチェンジ・マネージメント・プログラム、従業員の積極的な参加など、業務上の仕組みを利用して変革を促したり、エコシステム・パートナーやサプライヤーと協力し、サステナブルな慣行を導入したりする。

2. サステナビリティー目標を明確に伝える

詳細な優先順位を伴った実行可能なメッセージを定義し、その中でサステナビリティーがもたらす全社的な変革の可能性を示す。リーダーシップ、利害関係者、パートナー、そして消費者に向けて、一貫してそのメッセージを発信し続ける。エコシステム・パートナーと目標を一致させる機会を特定し、より効果的に問題を解決するために、エコシステム・パートナーやサイロの枠を越えて、目標を調整する。

3. サステナビリティーを通じて収益性を高める方法を見いだす

デジタル・トランスフォーメーション(DX)とサステナビリティー・トランスフォーメーションは、互いに補完し合う必要がある。サステナビリティーの指標を定義し、データ、テクノロジー、標準化された指標を活用し、日常業務を通じてサステナビリティー目標を推進する。

コストと環境への影響を連動して管理するために、可視性を高める。

 

不可欠なことから手を付ける

まずは、ビジネス戦略に最も適合し、測定可能な結果をもたらす仕事を優先させることである。そして主要な目標を達成するために必要なスキルや能力に投資し、主要な分野で支援を提供できるパートナーと協力することも重要だろう。

また、変化し続ける組織のミッションに対する共通感覚を再評価し、何が最も重要であるかについて全員の合意を再確認するのにも良い時であろう。その結果、コントロールできることに集中し、自信と目的意識を持って前進できるようになることが重要である。

不確実な環境において、成功はコラボレーション、イノベーション、そして適応性などのダイナミックな要因に基づくものだ。そのためには、洞察力を成果に、信念を能力に、そして混沌を制御可能なチャンスへと転換していくことが必要である。

 


*1 “Sustainable economy: Parliament adopts new reporting rules for multinationals.” European Parliament. October 11, 2022.
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20221107IPR49611/sustainable-economy-parliament-adopts-new-reportingrules-for-multinationals

*2 “The CEO Study. Own your impact: Pathways to transformational sustainability.” IBM Institute for Business Value. May 2022. 邦訳「グローバル経営層スタディ第 25 版 – CEO スタディ – 変革を起こす覚悟 – トップ主導の SX が企業価値を向上させる -」
https://www.ibm.com/downloads/cas/9AMBLLKA

*3 Balta, Wayne, Manish Chawla, Jacob Dencik, and Spencer Lin. “Sustainability as a transformation catalyst: Trailblazers turn aspiration into action.” IBM Institute for Business Value. January 2022. 邦訳「サステナビリティーは変革を引き起こす『カタリスト』である – 先駆者は志を行動に変える -」
https://www.ibm.com/downloads/cas/9EPM6VQK

 

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