IBM Sustainability Software
5G+エッジで強くなる製造現場 (セミナー・レポート)
2020年08月04日
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人間と社会の在り方にさまざまな変化を突きつけている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。あらゆる業界のあらゆるビジネスが、これまでとは異なる新常態(ニューノーマル)への対応を迫られている。
一方で、今般のコロナ禍を、時計の針を一気に進め、自社や自部門のビジネス変革の背中を押すものとして捉えようとする動きもある。製造業においても、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」や「Society 5.0」を「掛け声」に終わらせず、データを活かした付加価値創出や社会課題解決に取り組もうという動きが増えてきているようだ。
今回は、そんな中で開催されたIBMのオンラインセミナー『Smart Manufacturing Forum 2020』から、杉浦 由紀によるセッション「5G+エッジで強くなる製造現場 〜 危機耐性力の強化」の一部を紹介する。
また、セミナー後半で紹介されているWorker Insightsについては、THINK Businessに掲載されている『ワーカー・セーフティー—従業員の安全と健康を守る“新しい職場”のあり方—』にてより詳しく語っているので、そちらも併せての一読をお勧めしたい。
■エッジコンピューティングと5G
これまでも日本の製造業は「人手不足や匠の退職による技術継承の問題」に対して取り組んできたが、残念ながら十分な答えと結果を出せないままだったことは認めざるを得ないだろう。だが、ここ数年のIoTやAIといったテクノロジーの急速な進化は、それらの問題に対するしっかりとした回答を与えてくれるようになった。いわば経営における必要性に対して、テクノロジーの可能性がそれに追いついたと言える。
そしてここからは、5Gやエッジコンピューティングという最新鋭の技術が、企業の問題やニーズに先回りし、持続的な成長を果たすためのエンジンとなると杉浦は話す。そして、中でもとりわけ大きな役割を担うのが、エッジコンピューティングだと言う。
エッジコンピューティングとは、アプリケーションを「データが作られる場所」かつ 「アクションを取る場所」 の近くに配置し、その場でコンピューター処理を行うことだ。つまり、実際の行動とそれに対する分析と判断、そしてそれに対する次の行動を瞬時にその場で実行することを意味する。
これを従来の製造現場に置き換えれば、作業員による作業とその成果物に対する検査員の検品、そして必要に応じ、不良品の排出を即座にコンピューター処理により行うということである。
もう一つの最新鋭技術である5Gについても見てみよう。
「多数同時接続100万台/km2」「超高速・大容量転送20Gbp」「高信頼・低遅延通信1ミリ秒」と、従来では考えられない超高速・超低遅延・多数同時接続を実現し、リッチなコミュニケーションを当たり前の世界にするのが5Gだ。
だがそれでも、製造現場におけるIoTデバイスの増加スピードや、よりシビアなリアルタイム性が求められる環境においては、5Gですらタイムラグやセキュリティーの問題が発生するであろうと推測されているという。
つまり、5Gというクラウドやデータセンターとの通信を限りなく超高速化する技術と、エッジコンピューティングという現場での分析・判断・リアクションを超高速化する技術は、どちらか一方で完結するものではなく、それが組み合わされることにより最大限にその力を発揮するということになる。
その関係性を端的に表しているのが、セミナー内で杉浦が紹介している以下の図であり、製造プロセスにおいて実行されるタスクを紹介する「製造現場におけるエッジ+5G」だ。
■エッジコンピューティング活用事例
セミナーでは、さらに製造現場での具体的なエッジ・コンピューティングの活用例として「画像解析による品質診断システム」の取り組み事例動画や、安川電機とIBMによる「音響解析による品質診断システム」が紹介された。
また、「自動化・省人化、AI技術検証」を成功に導く、設計〜生産計画〜製造〜品質管理〜実績分析の各局面における役割や、生産管理部門と工場管理者、現場作業員をつなぐ遠隔ダッシュボード、技能スペシャリストと現場作業員をつなぐ遠隔現場支援など、製造現場のバリューチェーンとオペレーションの強化方法も紹介された。
問い合わせ情報
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TEXT: 八木橋パチ
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