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保全のインテリジェント化を化学、石油、重工、産業機械、住宅、建設業界に(セミナーレポート)

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10月20日、「サステナブルな社会・企業活動を製造業から実践していくためのインサイト」と題されたオンライン・セミナーが開催されました。

この記事では、セミナー最終セッション「インテリジェントな企業活動に向けた変革 – AIと自動化が変えるビジネス変革」と、その中でご覧いただいた2つのデモ動画をご紹介します。


 

IBMが提唱するIntelligent Workflow(インテリジェント・ワークフロー) 

RPAやAI、機械学習などさまざまな技術を駆使し、従来の枠を超えた高度な業務自動化を実現する「ハイパーオートメーション」が、DX施策における重要な取り組みの一つとして注目されています。

その背景には、パンデミックにより「人手を介さずとも止まることのないビジネス構築」の重要さを切実に感じたという、経験からの学びがあることは間違いないでしょう。

加えてここ数年の先進テクノロジーの進化が、以前とは異なるレベルでの自動化すなわち「担当や部署を跨ぐデータやシステムの分断を繋ぎ、業務間の隙間を埋め、進化したAIが専門家と同等の判断をくだす」という、業務工程を横断する「インテリジェント・ワークフロー」の実現を後押ししています。

IBMコンサルティング事業本部 グローバル・コンピテンシー・センター 永田 悟

 

保全業務におけるインテリジェント・ワークフローとは

化学、石油、重工、産業機械、住宅、建設業界は、インテリジェント・ワークフローの恩恵を顕著に受ける業界と言えるでしょう。なぜなら、これらの業界に共通する企業の設備資産を支える「保全業務」は、人の力、人の技術に頼る部分の多い労働集約型業務だからです。

労働人口の減少が続く日本社会の情勢においては、人手に頼らない保全業務のインテリジェントワークフロー、すなわち下記フロー例のような「スマートメンテナンス」の実現が一刻も早く望まれています。

 

1. 自動データ収集/故障時期を予知(予知保全による自動診断)

→ 2. 保全指示の自動発行、および最適な保全計画を自動生成(保全スケジュール自動最適化)

→ 3. 保全員は事前にデジタルで状況を把握、 AI/遠隔支援を受け安全・確実な作業・報告を実施(保全作業員AIアシスタント)

→ 4. 在庫量・コスト最適解を自動解析/保全部品在庫の自動補充(保全在庫自動最適化)

ビジネス・トランスフォーメーション・サービス 栗原 隆雄

 

なお、以下はセッションでも紹介された日本精工様の講演レポートです。

 

保全のIntelligent化を支える Maximoファミリー

上記の予知保全から在庫自動最適化までのスマートメンテナンスのフローをすべてカバーし、人手に頼らない保全業務を実現してその効果・効率を最大化するのがIBM Maximoファミリーです。

ここでは、「水処理場で稼働するポンプの診断デモ」と、「モバイルを活用した遠心ポンプに関する障害対応作業デモ」の2つのデモを動画でご覧いただきます。

 

デモ1: 水処理場で稼働するポンプの診断デモ

・ 構成可能なモニタリング画面

・ データ連携および設備のヘルススコアリング(CBM)

・ 複数のAIモデルを利用した性能予知

・ 保全カレンダーベースでの対応策の決定

上記画像をクリックすると、別画面でデモ動画をご覧いただけます

 

デモ2: モバイルを活用した遠心ポンプに関する障害対応作業デモ

・ 作業内容の確認および記録

・ IoTデータ参照

・ ARを活用した遠隔支援

・ AIを活用したナレッジ検索

上記画像をクリックすると、別画面でデモ動画をご覧いただけます

 

なお、以下は上記2動画のスクリプトとなります。必要に応じて画面や作業内容の確認にご活用ください。

 

デモ1: 水処理場で稼働するポンプの診断デモ

こちらは水処理場で稼働するポンプの診断デモで、まずはモニタリングダッシュボードを見ていきましょう。

    • 左上のマップには、水処理場におけるポンプの位置がアイコンで表示され、問題が発生していることが分かります
    • また右上のマップでは、ポンプのどの位置で問題が発生しているのかも確認することができます。
    • Asset Informationには設備管理システムのデータが表示されており、時系列でアラート・データも確認することができます。
    • 流水量に関するIoTセンサーとアラート情報を時系列で重ね合わせたグラフも表示されております。
    • 以上の情報から、アラートに対するサービス要求をこの画面上から起票することもできます。

続いて設備のヘルススコアリングおよび故障予測分析について進めていきたいと思います。

    • Work Queuesには分析対象の設備を絞り込むための検索条件を設定しておくことができ、今回は次回の予防保全日よりも前に故障が発生する可能性がある設備について選択します。
    • 3件の設備がヒットしました。この内の1つの設備について深堀りしていきます
    • この設備のヘルススコアリング値は現在58%であることが分かります。
    • また設置日とメーカーの推奨耐用年数から、残りの耐用年数が3%ととても低いことが分かります。
    • また次回の予防保全日が31日後、故障予測日が16日後であることも分かります。
    • この設備のヘルススコアリング値は残りの耐用年数、未完了の作業指示数、IoTデータの加重平均で算出しています。
    • 複数のAI予測モデルの診断結果もみていきましょう
    • 故障予測日を算出するAIモデルで16日+-2日後に故障すると予測されています。
    • またFailure Probability Trendでは時間経過による故障発生確率を確認することができます。
    • さらには決定木分析のAIモデルを利用して最も障害に影響を与えた要因についても確認することができます。
    • 最後は保全カレンダーベースでの分析です。
    • グラフ上段から、故障予測日と次回の予防保全日が、さらには過去履歴データとして、故障発生日、保全作業日、点検日が表示されています。

以上の情報から実行するアクションが決定した場合、サービス要求や作業指示書を起票することができます。

 

デモ2: モバイルを活用した遠心ポンプに関する障害対応作業デモ

それではデモを開始します。ここではモバイルを活用したデモとして、遠心ポンプに関する障害対応作業についてみていきましょう

    • 作業を開始します。
    • まずは点検結果を入力します。
    • 続いて対象設備に関連するIoT計測データのトレンド・グラフを確認します。
    • 対応作業として定義されている7つのタスクを進めていきます。
    • 3番目のタスクである電源の切断について手順がわからないため、AIを活用して過去作業やマニュアル等の文書検索を実行することにしました。
    • 検索結果から、過去の類似作業時のARを活用した遠隔支援の作業ログを見ることにしました。
    • Maximoでは、音声の他にチャットや画像/映像データをリモートの作業員と共有することができます。さらには共有している画像にリアルタイムでARでマーキングすることもできます。
    • 以上の情報からすべてのタスクを実行することができました。
    • 作業の完了報告を行い、終了します。

 

いかがでしたか。

インテリジェント・ワークフローとスマートメンテナンスの実現にご興味をお持ちのかた、あるいはご質問をお持ちの方は、下記よりお問い合わせください。

 

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TEXT 八木橋パチ

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