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スマート保全DXウェビナー ~いまからできる『状態基準保全のススメ』~ | セミナーレポート
2022年12月15日
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「『状態基準保全…今さら?』という方もいらっしゃるかもしれませんが、現実に目指すべきところである『予防保全の実現』に着実にステップを進められている方はどれくらいいらっしゃるでしょうか?」
—— 日本アイ・ビー・エム サステナビリティー・ソフトウェア(サステナソフト)事業部の太田六馬(おおたかずま)のそんな問いかけからスタートしたセミナー『スマート保全DXウェビナー ~いまからできる「状態基準保全のススメ」~』。
株式会社ネットワールドが主催した(株式会社イクシス協賛)こちらのセミナーから、当日メッセージされたポイントをいくつかご紹介します。
第一章 その1 | いますぐはじめる状態基準保全のススメ
「最初にお断りしておくべきは、このセミナーが、設備数が多く広大なエリアをカバーする電気、ガス、水道、電鉄、建設構造物などの『社会インフラ』や、石油、鉄鋼、化学などの『産業インフラ』を保有・運用する企業や、そのメンテナンスを担う企業を対象としたものだということです。
こうしたインフラの運用管理をする企業や担当者にとって、最も恐ろしい出来事は突発事象発生とその対応ではないでしょうか。」
最初のセッションの登壇者であるサステナソフト太田はそう話すと、続いて現状について以下のように説明しました。
「労働人口および熟練スキルの減少・喪失が進む日本においては、施設やインフラの老朽化とその対策が社会問題化しています。つまり、『ヒト・モノ・カネの制約』が厳しくなり続けている中で、複数観点から『省人化』『省力化』を進めていくことが不可欠な状況となっていると言えるでしょう。
これを一言で説明すれば『保全の高度化(保全DX)は待ったなしの状況である』ということです。」
「上の図は、故障を事前に予測し、『ちょうどいい』レベルでの先回り対応を実現する、『目指すべき予防保全』の実現を形作る将来像です。では、それをどのように実現していけばいいのか。
具体的には、データを基にした設備や機材の信頼性を中心に据えて保全計画・作業を進めていく『信頼性中心保全(RCM | Reliability Centered Maintenance)』および『予兆分析(予防保全)』の実施であり、その基盤となるのが高精度な『メンテナンスの優先順位付け』です。」
太田はそう話すと、以下を伝えて自身のパートを終えました。
「IBMの考える「設備保全DXの目指したい将来像」には、AIとIoTデータの活用が必要不可欠です。ただもちろん、高度なAIやIoTの活用だけがDXの答えではないですし、それがすべてでもありません。
短期的な予測・予知保全にはデータと高度な解析が欠かせませんが、中期〜長期の場合は必ずしもそうではなく、高度で複雑なデータを揃えるところからスタートしなければならないわけではありません。
『今あるデータ』をもとに以下を実施していく。そして必要なものを徐々に揃えながらメンテナンス精度を高めていく。そうした考えが重要です。」
- 機器構成から障害の影響を判別(RbM | Risk-based Maintenance): 故障リスク評価に基づきメンテナンスの必要性を判断する手法
- 故障履歴から加速的に進行する劣化や不具合を判別(CbM | Condition-based Maintenance): 定期状態検査の結果に応じて部品交換や修理を行う手法
- 設備のライフサイクルから有効年齢モデルに基づき余寿命を計算(TbM | Time-based Maintenance): 時間を基準に定期メンテナンスを行う手法
第一章 その2 | メンテナンスの優先順位付けうまくいってますか?
「それではここからは、メンテナンス精度を高め、保全計画を最適化していくためのAPM(Asset Performance Management)の深掘りと、画面を用いたデモをご紹介します。」
次に登壇したサステナソフト所属のテクニカル・エンジニア、髙田颯(たかだはやて)はそう話すと、まず、突発故障と過剰保全に悩んでいた、TbMを前提とした保全を行なっていたとある海外電力会社の実例を紹介しました。
それまで限定的なデータと属人性の高い判断により部品交換時期を見極めていたその会社は、APM導入の結果、「故障インシデントの20%抑制」そして「年間1.5億円のコスト削減」を実現しました。
その鍵となったのが、「信頼性評価技術の標準化」→「実稼働データによる信頼性評価」→「信頼性評価結果に基づく将来の信頼性劣化の予測」という、データ分析に基づいた適切な交換タイミングの算出・提案だったとのことです。
「この分析に用いられているのは、『IBM Maximo Health』、そして『Maximo Health & Predict Utilities(HPU)』です。
Maximo Healthは、Maximoのラインアップの中でも中〜長期の保全周期に合わせて検知評価していくもので、主にリスクスコアリングによるCbMを行います。
そしてHPUは、リスクマトリクスによるRbMを得意とする業界特化型のオプションとなります。設備に関するさまざまな条件や運用データを利用して定量的なリスク評価を実施し、信頼性の低い設備を特定することで保全計画を見直し、事業の継続性と安全性を確保します。」
高田はそう話すと下図を用いてリスクマトリクスを紹介し、その後、実際の製品画面を用いたデモンストレーションを行ないました。
第一章の最後に、高田はサステナソフトが提供している「保全計画高度化ワークショップ」を紹介しました。以下のプロセスを基本に、お客様の状況や希望に合わせて手順をアレンジして実施するとのことでした。
- 重要設備の選定
- 指標の定義とデータ収集
- リスクマトリクス計算
- リスク別更新シミュレーション
- 許容リスク vs コスト評価
- 保全コスト平準化
- 実装対象の決定
このワークショップの一部は無償提供されており、約2週間という短期間で大きな流れが掴めるものになっているとのことです。ご興味をお持ちのお客様は、こちらのリンクより詳細についてお問合せください。
第二章 その1 | イクシス社の提供するロボットソリューションのご紹介
第二章は、日本IBM クライアント・エンジニアリング事業本部所属の下平旬範(しもだいらときのり)の進行で、登壇者たちによる「現在、企業が抱えているロボット導入の課題と背景」の確認からスタートしました。
ここで話の中心となったのが、「多くの現場で、ロボット導入がPoC(Proof of Concept: 概念実証)だけで終わってしまうのはなぜか?」という問いでした。
ここからは、上記問いかけに対し、多数の現場での経験をベースに「ロボット導入に適した環境で行われるPoCと、実際の現場は異なります。また、あらゆる状況に対して全面的なロボット導入を『答え』と捉え過ぎなのではないでしょうか」と話していた、株式会社イクシスの市橋徹(いちはしとおる)氏のプレゼンテーションから、いくつかのポイントをご紹介します。
市橋氏は最初に、「ロボットからは少し離れる部分もありますが」と前置きした上で、建設会社やンタル会社、道路管理会社や製造業などの多くの現場で導入が進んでいるという遠隔操作や遠隔監視サービスを紹介しました。
そして「先ほども触れましたが『ロボットを動かすこと』は目的ではありません。現場の課題を解決するために実務に使うという視点が最も重要なのです。それを忘れないようにしましょう」と話すと、現在、多くの現場で導入が進んでいる、大活躍中の2つのロボットを紹介しました。
・ 床面ひび割れ検査ロボット Floor Doctor
コンクリート床面の完成検査・損傷検査に使用される画像撮影&ひび割れAI解析ロボット。
手押し車型で「これがロボット?」と言われることもあるが、作業者とロボットが協調してさまざまな現場の複雑な状況に対応するには、むしろその方が使い勝手がよい。検査の抜け漏れを発生させないための位置情報支援機能なども持っている。
なお、床面ひび割れ検査技術を応用し、ドラレコデータを活用した道路舗装面のひび割れ検出サービスも提供している。
・ 橋梁などのひび割れ検査 Rope Stroller
架設された2本のワイヤの間を動いて撮影・AI解析するロボット。従来、橋梁の維持管理に欠かせない橋の床版のひび割れ検査は、足場設置などの手間や気象条件に左右されるなどの問題点を抱えていたが、Rope Strollerにより専門オペレーター不要で簡単に正確データを元にした検査を行うことができるようになった。
第二章 その2 | ロボットと人の共創による新しい保全スタイル
続いて登壇したサステナソフト所属の田中保夫(たなかやすお)は、今も多くの人の記憶に残る2012年12月の大惨事「中央自動車道笹子トンネル天井板崩落事故」の話から講演をスタートしました。
「この痛ましい事故の主原因は検査不足であり、加えて補修履歴などのデータ保存体制が不十分だったという問題点も指摘されています。
この事故を受け、国内の老朽インフラの点検の仕組みが整備され、現在では橋やトンネルといった道路構造物に対し、少なくとも5年に1度の点検が義務付けられています。」
そしてインフラ点検が抱える問題点をいくつか指摘した後、それに対する回答としてIBM Maximo for Civil Infrastructureを紹介しました。
「これらのトンネルや橋梁、鉄道などをはじめとした大型設備の点検・管理は、当然のことながら莫大なコストがかかります。そこで、いかに人手を減らしつつも安全確実に行っていくかを各社検討しています。そこからロボットやドローン、そしてIoTデータやデジタルツインの活用などに一層の注目が集まっているのです。
こうした状況への1つの答えが、建設構造物の維持管理の運用コスト削減をしながら可用性向上を実現していくためのソフトウェア、Maximo for Civil Infrastructureなのです。」
その後、田中はアメリカのオクラホマ州に実在する橋梁の特定コンクリート柱部分の維持管理について、Maximo for Civil Infrastructureの製品画面を用いて以下デモンストレーションを行い自身のパートを終えました。
- 資産台帳と照らし合わせながら過去のひび割れ検査などの履歴や結果を確認
- 前日の強風が与えた影響をデータ確認すると共に、新たな検査作業の結果を記録
- 今後の保全効率を高めていくための分析の実行
便利&お得な2つのサービス・プログラム
セミナーの最後には、2つのサービス・プログラムが紹介されました。
まず、第二章をリードした下平より、IBM Maximoを用いてMVP(Minimum Viable Product: 実用最小限の製品)を3カ月程度で作成した事例と、スピーディーに実証を行いたいというお客様向けの、クライアント・エンジニアリングが提供する共創プログラムが紹介されました。
このプログラムにご興味をお持ちのお客様は、こちらのリンクよりお問合せください。
続いて、当セミナー主催であり、広く世界中から優良ITソリューションをディストリビュータとして提供している株式会社ネットワールドより、SWライセンス、サーバインフラとその運用サービスがセットとなり、すぐにPoCをスタートすることができるトータルサービスソリューション「スマート保全PoCサービス」が紹介されました。
低価格・短期導入・運用負担軽減が特長のこちらのサービスについては、下記よりご確認いただけます。
ネットワールドオリジナルパッケージ | 「スマート保全PoCサービス」 Powered by IBM Maximo
いかがでしたでしょうか。セミナーで紹介された製品やソリューション、プログラムにご興味をお持ちのお客様は、どうぞお気軽に下記「お問い合わせ」よりご連絡ください。
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