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予防保全について知っておくべきこと(事後保全や予知保全との違い)
2022年12月12日
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予防保全とは
予防保全とは、将来の予期しない障害を防ぐために定期的に行う保全作業のことであり、簡単に言うと「壊れる前に修理する」ということです。
予防保全の種類
予防保全には大きく4つの種類があります。いずれも計画保全の考え方を基本としていますが、事業運営上の目的に合わせて構成や実施方法が異なります。
1. カレンダー/時間に基づく予防保全
カレンダー/時間ベースの予防保全は、決められた間隔に基づいて計画されたタイミングで行われます。保守作業は、期日が近づいて必要な作業指示が作成されると開始します。
2. 使用状況に基づく予防保全
使用状況に基づく予防保全は、資産の実際の使用状況に基づいて行われます。資産の平均的な日々の使用状況や環境から受ける影響を考慮し、これに基づいて将来の検査やメンテナンス作業の期日を予測します。
3. 予知保全
予知保全は、障害が発生する前に修理メンテナンス活動を計画するためのものです。チームはまず、保守を実施すべき時期を推測するために、機器の状態を判断する必要があります。その後、予期しない機器の障害を防ぐために、メンテナンス作業を計画します。
4. 処方的保全
処方的保全は、障害の発生時期を予測するだけでなく、障害が発生する理由も示します。運用上のあらゆるリスクを軽減するために、さまざまなオプションや潜在的な結果を分析して判断します。
予防保全のメリット
予防保全戦略の実践により資産を最大限に有効活用することができます。コスト削減を実現し、労働力の有効活用による組織力の強化にもつながります。以下が代表的なものです。
・ 資産寿命の延長
保全と検査を計画的にスケジュールすることで、資産のライフサイクルをまっとうし、常に健全な状態に保つことができます。
・ 保全の削減
計画保全と計画外保全、在庫と予備部品のコストを管理します。 オペレーションと資産に関するより適切な洞察を得ることで、保全コストを大幅に削減できます。
・ 生産性の向上
労働力を適切に配置すると、生産性が向上します。 IBM Maximoは、スケジュール、ベンダー管理、ワークフローと財務報告のすべてをペーパーレスで改善します。
・ 計画外のダウンタイムの削減
必要とされる修理を早期に特定することで常時稼働運用を実現し、ダウンタイムを削減します。
予防保全と事後保全の違い
予防保全と事後保全の主要な違いは、保守作業実施のタイミングです。
事後保全は、機器が実際に動作しなくなった際にメンテナンスを実施する「RTF(run-to-fail)」ポリシーを採用します。事後保全において重要なのは、動作しなくなった機器をできるだけ早く修理することです。一方、予防保全は、機械が故障する前に障害を予測して予防措置を試みます。
どちらを選択すべきかは「事後保全は予防保全よりもはるかにコストが高くなりやすい」という事実から考えるべきでしょう。自動車のメンテナンスをイメージしてください。
定期的な車検(義務づけられている整備)を受けていない自動車は、突然、大規模で高額な修理が必要となる故障に見舞われる可能性が高いのです。
予防保全を取り入れるには、定期的なサービスのための予算計上が必要であり、CMMS導入も必要なケースが多いでしょう。しかし、生産工程の予定外の停止がもたらす生産停止や操業停止、ひいては収益低下という大きな影響を考えれば、それだけの価値があると言えるでしょう。
予防保全と予知保全の違い
予防保全と予知保全は、どちらのタイプも機械的な障害を事前に予測して防止しようとする試みです。しかし、予知保全は予防保全の概念を発展させ、さらに進化させたものです。
1台の産業機器を例に考えてみましょう。予防保全に必要な情報がその機器のメーカーやモデルに関する一般的な情報だけなのに対し、予知保全には「予防保全に必要な情報」に加え、機器モデルの「予想ライフサイクルに関する情報」と「パフォーマンスに関する履歴データ」が必要となります。
予知保全は、これら全てを組み合わせることで高精度の予知保全モデルを生みだします。そして障害がいつ発生するかを把握し先回りすることで、不要な定期保全や修理を無くし、メンテナンス予算を削減することができます。
機器パフォーマンスの現況を確実に取得するために用いられることが多いのがIoTであり、過去の「パフォーマンス履歴データ」をしっかり把握・記録するのがCMMS(コンピューター化された保守管理システム)です。
予知保全は多くの場合、これらIoTとCMMSによる大量データから高精度の予測を引き出します。
参考: 予知保全ソリューション: IBM Maximo Application Suite: 予知保全
AIとIoTによる予防保全の未来
AIやIoTのテクノロジーのメンテナンス・運用への導入例が増加しています。
今後の予防保全を検討・評価する上で、リモート監視と分析モデリングの活用が進むことは明らかです。人手による予防保全作業の実施量はすでに減少し始めています。より広範なデータ収集と分析が可能になったことで、企業はオペレーションと製品の信頼性を向上させることができるようになりました。
そして保全運用管理者は、資産の状態をより詳細に把握でき、より良い資産のライフサイクル戦略を推進することでダウンタイムとコストを削減することができるようになるのです。
関連ソリューション
資産保守 | IBM Maximo Application Suiteは、資産作業管理基盤をベースにAIやIoTデータを活用して、パフォーマンスの最適化、資産のライフサイクルの延長、運用のダウンタイムとコストの削減をハイレベルで実現する市場をリードする統合プラットフォームです。
https://www.ibm.com/jp-ja/products/maximo
資産パフォーマンス管理(APM) | リモート監視、資産の正常性、予知保全に不可欠な洞察を提供し、業務の停止を防ぎます。
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モバイル | Maximo Mobileにより、時間や場所を問わず、あらゆる資産を管理できるようになります。また、技術者にステップバイステップのガイダンスを提供します。
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予知保全 | IBM Maximo Predictは、機械学習とデータ分析を活用して、資産データや使用状況のパターンを探索し資産の信頼性を高めます。
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当記事は『What is preventive maintenance?』の一部を抜粋し再編集したものです。
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