SPSS Modeler ヒモトク
データ分析者達の教訓 #20- 分析プロジェクトはスピードが命。鉄もデータも熱いうちに打て
2024年08月19日
カテゴリー Data Science and AI | SPSS Modeler ヒモトク | アナリティクス | データサイエンス
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皆さんこんにちは。山下研一です。IBM Data&AIでデータサイエンスTech Salesをしています。
このリレー連載ブログはSPSS Modelerの実際のユーザーで第一線で活躍するデータ分析者に、データ活用を進める上で忘れられない教訓をインタビュー形式で伺い、これからデータ分析に取り組む皆様に参考にしていただくことを目的にしています。
今回インタビューをお願いしたデータ分析者は
本年6月にSPSS春のオンラインユーザーイベントに登壇いただいた日本生命の佐藤様です。日本生命様には長年SPSS Modelerをご活用いただき、私たち自身も大注目していたイベントの講演内容の評判がすこぶる良かったため、あらためてこちらのインタビューをお願いさせていただきました。
春のイベントの様子はこちらから。
佐藤 慶 様
日本生命保険相互会社
デジタル推進室
専門課長
-日頃のデータ活用業務について教えてください
私の所属するデジタル推進室では、既存業務の変革や新規事業の創出を加速させることを目的に、各事業部門と協力し、データ利活用のプロジェクトを企画・推進しています。
事業部門とのコミュニケーションを通じて、
- ビジネス課題の詳細把握
- プロジェクト目的の精緻化
- プロジェクト計画
- データ整形・加工
- データ集計・可視化
- ダッシュボード作成・モデル構築
- 分析結果のビジネス活用支援
と、データ活用業務の最上流~最下流まで携わっています。
直近は、お客様との接点・コミュニケーションのうち、デジタルデータ化される情報が日々増加していく中、新たなデジタルデータを活用し、従来行っていたマーケティングやチャネル接点可視化等のプロジェクトを再実施するといった事も行っています。
-データ活用業務で味わった苦い経験を教えてください
プロジェクトは、ビジネス課題の把握や目的の摺合せから進める為、案件の開始時期によっては事業年度を跨り、事業部門の担当者が変わる、また担当者の上司が変わる、あるいは部門の執行方針が変わるといった事も少なくありません。
私たちはデータ利活用の価値は、ビジネス意思決定への寄与度・意思決定の重要度によって測られるとしています。そのような理由から自ずと、ビジネス課題把握や分析目的摺合せを入念に実施するのですが、入念な下準備が仇となり、プロジェクトをスピーディーに動かせず、結果が使われなくなってしまうという事を何度も経験しています。
-その苦い経験から得られた教訓はなんでしょうか
鉄もデータも熱いうちに打て!ということです。案件によっては目的摺合せに掛けるタイムリミット・期限を定めて、過ぎた場合には、体制が変わってから改めて目的摺合せをするといった事もオプションとして用意し、取り組んでいます。
分析結果を活用するのは人です。ビジネスアクションを起こす人が納得しない中で、分析だけを進めても良い事は何もなく、自身の徒労感を高めるだけです。決して分析目的の摺合せを蔑ろにするわけではないのですが、とにかく目的を決めたら早く動く。決まらなければ機会を伺う。ビジネスに寄り添い、チャンスでタイムリーに動けるように心がけています。
-これからのデータ活用領域でのチャレンジについて教えてください
当社だけでなく、金融、生命保険業界は、データ利活用を進めることで、更なるお客様サービスの向上や業務効率化を図ることが可能な業界だと思います。ただデータ利活用は世の中の流れで自然と進んでいくわけではなく、どう利活用していくか考える人の思いがあって、初めて進んでいくものと考えます。
金融、生命保険に携わる方がワクワクしながら、データ利活用を考えていく風土をつくることが、私のこれからのチャレンジです。
インタビューのお礼と感想
佐藤様、お話をいただきありがとうございます。
さて皆様、いかがでしたか?
鉄は熱いうちに打てという教訓はごもっともだと思います。始まる前から、「もっと対象データ期間を延ばすべきだ」や「もっと広範囲に影響しないと意味がない」といった議論に熱中しすぎて実際には当初から必要のないデータ集めに奔走したり、自分であげたビジネス効果のハードルの高さを越えられないケースは悲しいことに多く存在します。
データ分析者達の教訓#02でも「スモールスタート」を取り上げましたが、データの利活用にとって、小さく初めて短期間に成果を示すことが、データ利活用の成功の条件なのだと改めて理解しました。
さて次回はJR東日本の堀様に「異常検知には異常を識別するデータと対象への理解が必要」を伺います。お楽しみに。
→これまでのSPSS Modelerブログ連載のバックナンバーはこちらから
→SPSS Modelerノードリファレンス(機能解説)はこちらから
→ SPSS Modeler 逆引きストリーム集(データ加工)
山下 研一
日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジー事業本部 watsonx事業部
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