SPSS Modeler ヒモトク
データ分析者達の教訓 #01- 悩んだらビジネスの課題意識と目的に立ち返る
2023年01月16日
カテゴリー Data Science and AI | SPSS Modeler ヒモトク | アナリティクス | データサイエンス
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皆さんこんにちは。IBM Data&AIでデータサイエンスTech Salesをしている斉藤明日香です。
このリレー連載ブログはSPSS Modelerの実際のユーザーで第一線で活躍するデータ分析者に、データ活用を進める上で忘れられない教訓をインタビュー形式で伺い、これからデータ分析に取り組む皆様に参考にしていただくことを目的にしています。
今回インタビューをお願いしたデータ分析者は
記念すべきインタビュー#01は昨年秋のSPSSオンラインユーザーイベントでも登壇いただき大反響をいただいた日本航空の小西様です!
小西様の講演「ド文系が取り組むWebログ集計とSPSS社内普及活動」を含むイベントレポートはこちら。
小西 孝典 様
日本航空株式会社
旅客営業本部 Web販売部
1to1マーケティンググループ
-日頃のデータ活用業務について教えてください
航空券やマイレージ特典等のプロモーションに活用する社内デジタルマーケティング基盤の管理運営やJAL Webサイトのリニューアルを担当しています。
仕事柄、Webサイトに訪問頂いたお客さまのアクセスログを集計する機会が多いです。
Webサイトでの空席照会履歴を活用してプロモーションのターゲットグループを作成したり、Webサイトのクリック状況からより多くのお客さまに興味関心を持っていただけるコンテンツを考察したり、サイト回遊状況から迷いを生じさせているようなボタン・コンテンツのレイアウトを特定し、修正プランを考案したりしています。
Webサイトアクセスログは慣れるまでクセのあるデータと感じていましたが、建前やその場の感情といった要素が複雑に入り込むアンケートと異なり、お客さまの行動がそのまま表れた集合体であるため、良くも悪くも正直でシビアな反応を垣間見ることができると感じています。
-データ活用業務で味わった苦い経験を教えてください
過去の実績を元によかれと思って実施したページ改修がお客さまから全く支持されない結果を生んでしまったことです。
アクセスログからは、サイト内のプロモーションエリアのクリック率や特定の機能の活用状況、ページの訴求力を高めサイト回遊率を向上させるための各種計測指標等、仮説検証やページ改修をする上でバロメータとなる様々なデータを導出できます。
そのデータを活用して狙い通りの効果が得られたか検証するのですが、先の回答のようにサイト上の行動はシビアですのでせっかく行った改修の狙いが外れて余計なプロモーションエリアの展開でその他のエリアからもたらされる収入を減らしてしまったり、あるコンテンツへの遷移動線をかえって分かりにくくして混乱を招いてしまったり、よかれと思って設置した新エリアがまるでクリックされない結果になっていたりしたことがあります。
とりわけコロナの影響を受け、1か月前の集計実績が翌月には通用しなくなっているケースもあります。UI(ユーザーインターフェース)が変わるわけですのでお客さまにご迷惑をおかけしてしまうことはもちろん、ページを改修してくれた会社の仲間の苦労も無駄にしてしまう気がして、時には過去のデータをそのまま適用させると見誤ることもあると痛感しています。
-その苦い経験から得られた教訓はなんでしょうか
時に過去のデータをそのまま適用させて状況を見誤ってしまうことがあるとお伝えしましたが、個人的にはそのような状況に陥った際は“データにはデータを”という気持ちから一度離れて、そもそもの課題認識や目的、そのページを企画運営する担当者の思いといったビジネス観点の定性的な概念に立ち返るようにしています。
データだけを見て判断した、お客さまも仲間も望まない押し付けの改修はただ混乱を招いているだけですので、ビジネス面での考え方や背景を改めて考えてみることで別のアプローチを検討したり、時に改修を辞めるという決断があってもよいと思っています。
現在JALグループは航空領域に留まらず、新たな事業へ翼を広げつつあります。従来の航空ビジネスの考えでは通用しないこともあり、データ分析の背景に潜む自分の経験や知識に過度に固執しないよう、社内の仲間と改めて議論し、これまでの通例を疑う発想を持つことも重要と思っています。
-これからのデータ活用領域でのチャレンジについて教えてください
現実に即した施策効果の検証をすることです。
とても基本的なことに聞こえるかもしれませんが、コロナでマクロのサイト内回遊行動が変わっただけでなく、会員・ゲストのお客さまのサイト来訪比率や利用デバイス、曜日特性、航空券購入のタイミング等、ここ3年間で従来の常識を改めて見つめ直す機会が増えています。
新たな環境に対応するプロモーション施策も増加しており、もちろん必要なアクションではあるのですがその分モデル構築時の学習データも無菌室状態からかけ離れていきます。月並みな表現にはなりますが、環境・行動変化に応じた効果算定方式の見直し、係数のチューニング等、効果測定の最適解を探り、変化を厭わず新たな手法を試していき続けていきたいと考えています。
インタビューのお礼と感想
小西様、非常に興味深いお話をいただきありがとうございます。ぜひこれからもSPSSユーザーコミュニティにお力をお貸しくださいませ。
さて皆様、いかがでしたでしょうか?
奇しくも秋の講演で小西さんのひとつ前の講演のテーマであったCRISP-DM(*リンクを準備)でもビジネスの理解が出発点で全てのフェーズから立ち返るように指南していますが、小西様はそれを経験的に会得され教訓とされているのだと理解いたしました。皆様もデータ活用で立ち止まり、悩む時にはぜひこのインタビュー記事を思い起こしていただけると幸いです。
次回は千葉銀行の星野様にスモールスタートの意義についてお話を伺います。
→これまでのSPSS Modelerブログ連載のバックナンバーはこちらから
→SPSS Modelerノードリファレンス(機能解説)はこちらから
→ SPSS Modeler 逆引きストリーム集(データ加工)
斉藤 明日香
日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジー事業本部 データ・AI・オートメーション事業部
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