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DXラーニングを実現する3つの柱 「経営に資する人材育成」

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DXラーニングの実現方法

ラーニング・システムを導入したけれど、使われない?
「Cornerstone」「Workday」「SuccessFactors」ラーニングを専業とする企業のソリューションや、タレント・マネジメントから派生したソリューションなど、数多くのラーニング・システムが出てきています。これらのSaaS系のアプリケーションの登場により、従業員がネット上で学びを得ることは非常に簡単になり、また昨今のDX(デジタル・トランスフォーメーション)の流れから、ラーニング・システムを導入しようという企業は増加しています。引き合いをいただく件数で言えば、ここ5年間ほどで少なくとも3倍は増加している肌感覚です。ラーニングは従業員の体験に直結しているため、従業員からの期待値も高い領域になります。

では、ラーニング・システムをいち早く導入した企業は、その後どのように活用しているのでしょうか?

ラーニング・システムを導入した企業

いくつかの企業では「システムを導入したが使われていない」という状況が生じており、従業員の期待値が高かった分、落胆する声も聞かれます。その一方、従業員の利用が100%に届くほど「使い倒している」企業もあります。成功の秘訣は何でしょうか?

DXラーニングを実現する3つの柱

DXラーニングを実現する3つの柱

1:ソフト
ラーニングは「研修を提供する・受講するものだ」という姿勢ではなく、「経営の体現のために必要なものだ」という姿勢にシフトすることが重要です。その視点で考えると「経営・事業戦略を担う人材はどのようなスキルが必要か」を定義することが必要になります。ここを押さえずにシステムだけを入れてしまうと、「何のためのラーニングか?システムか?」という疑問に誰も答えることが出来ず、「なんとなくe-Learningが受けられる環境を作った」形になってしまいます。
まずはどのような人材・スキルが必要になるかを言語化し、その能力を身につけるためにどのような方法・コンテンツが必要かを具体化します。そして、そのコンテンツの提供・受講ツールとしてシステムを導入することがポイントになります(もちろんシステムはツールのため、人材育成のために他に優先する施策があれば、そちらを優先することが必要になります)。これが1つ目の柱「ソフト」から考える、です。

2:ハード
次に2つ目の柱は「ハード」つまりラーニング・システム(Learning Management System、LMS)を、コンテンツ提供のツールとして捉えることです。この際のポイントは、「あれもこれも最初からやろうとせず、小さく始めて、小さな失敗・成功を得る」ことです。特にCornerstoneやSuccessFactorsに代表されるようなSaaS系アプリケーションは多くの企業で使われており、そのノウハウが凝縮しています。「現状の業務ではあれができる、これができる」といった足し算の視点ではなく、「最低限のことがまずできればOK」と許容してSaaS系アプリケーションを標準設定で使い始めてみることが得策です。ラーニング・システムを導入することは「100点をとらないと評価されない」給与支払いや労務管理といった人事業務を担ってきた人事部にとっては、「アジャイルな働き方」を身につける最良の機会でもあります。

3:組織
3つ目の柱は「組織」を設けることです。ラーニングを含めた育成は、複数年での実行が必要になります。みなさまがご存知の通り、一度スキルを作ったから、一度システムを入れたから、といって完成するものではありません。1つ目の柱、2つ目の柱がうまく機能しているかどうかの確認や、経営の変化に合わせてのアップデートが必要になり、またそのアップデートこそが成功の秘訣となります。この地道さが、結局のところ「システムを入れたけれども使われていない」状況と、「自律的に学ぶ」状況を根付かせるかの差になります。この育成組織は従来の「研修提供をする人材開発部」ではなく、「事業の要員計画をスキル面で定義し、適切な成長機会を定義・調達し、学びの風土を作っていく」新しい人事の機能です。

DXラーニングを実現し、経営に資する人材を育成していくためには、3つの柱、つまり「経営から人材を定義し、ツールを設け、運用でアップデートしていく」ことが要となります。

補足:とはいえリソースは有限。どこから手をいれるべき?

ベストはもちろん3つの柱を設けて運用することです。しかしリソースは有限です。優先順位はどうつけたら良いのでしょうか。
このような場合には、次の3つのような工夫をしながら育成に取り組むことが大事です。

  1. 特に経営の注目が高い事業から人材を定義することにフォーカス
  2. システムは最小限でまず使ってみる(一番リソースをかけずにできるポイントです)
  3. 組織を役割として捉え、まずは人に役割を担っていただくことにして、進捗把握のポイントを明確にしておく(四半期に一度、特定のフォーマットで成果を共有してもらい、それが指針に対してズレていないかを確認する)

杉山 慶太の写真

杉山 慶太
日本アイ・ビー・エム株式会社
IBMコンサルティング事業本部
組織人材戦略 
シニア・マネージング・コンサルタント

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