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先進 ITで描く 2025 年の世界|テクノロジーが切り拓く近未来の業界変革

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リアルとデジタルが一体化する2025年の世界

ポストコロナにおける経済活動や日常生活の回復への歩みを進める中、世界は新たなトレンドを示しつつあります。人材はますます貴重な資源となり、サステナビリティーの優先度が高まると同時に、デジタル・トランスフォーメーションは当たり前ものとなってきました。

変革の原動力となるITも、新たな進化を遂げています。世界の経営者や消費者との対話、およびこれから実用化される先進ITへの洞察から、私たちは、既存の枠を超えた体験・プロセス・IT環境が、リアルとデジタルの一体化した世界を生み出すと考えています。

【リアルとデジタルの一体化した世界】リアルとデジタルの一体化した世界

クラウド技術やモバイル・デバイスを活用したデジタルサービスが登場し、リアル世界のサービスの一部を再現する段階から始まって、デジタルならではのサービスが次々に開発されて利用できるようになりました。自分の嗜好にあった提案を受けることができたり、サービスを利用する上で時間や場所の制約がなくなったりと、私たちの行動様式も従来のものとは大きく変わってきています。

しかしながら、利用者の目線で見ると、提供されるサービスは提供者(企業)の単位ではっきりと分断され、デジタルとリアルのサービスも別モノになっており、利用者にとっての目的がシームレスに完結できるまでには至っていません。
次の段階では、リアルとデジタルが一体化し、企業横断・業界横断で創り上げられたサービスが主流になると考えています。それらは真に利用者の立場にたって最適化された体験であり、これからの企業にとっての競争優位の源泉となるでしょう。

IBMが提唱するボーダーレス時代のアーキテクチャーは、先進ITによって、幅広いデータの活用やパートナーとの共創を加速し、あらゆる枠を超えて進む業界変革を支えます。

【ボーダーレス時代のアーキテクチャー】ボーダーレス時代のアーキテクチャー

IBM技術リーダーたちが注目する10の先進IT

技術系の最高職位を務めるIBMフェロー/Distinguished Engineerが、2025年頃に普及段階を迎える10の先進ITに注目しています。これらの先進ITが、前述のさまざまな境界を取り払いリアルとデジタルが一体化する2025年の世界を描いていきます。
さらにその少し先では、量子コンピューターの実用化によって、業界変革を次の段階に進めていくことも期待されます。

    デジタルとリアルを結ぶ技術

  1. トータル・エクスペリエンス
  2. メタバースで注目される仮想空間やAR/VR技術なども活用した、デジタル世界とリアル世界をシームレスにつなぐ体験(マルチエクスペリエンス)に加え、サービスの利用者、提供者だけでなく様々な立場からみたトータルな視点で、関わる全ての人々にとって最適かつ最も魅力的な体験を創り上げます。 ITを生活環境に溶け込ませる技術(アンビエント・コンピューティング)の活用により、さらに進化した体験の提供が可能となり、差別化の一要素となるでしょう。

    組織を超えて繋がり、共創する技術

  3. ハイパー・オートメーション
  4. インダストリー・プラットフォーム
  5. サステナビリティー・プラットフォーム
  6. トータルな視点で最適と呼べる体験は、企業横断、業界横断での共創なくして実現できません。そのためには、共創に参加するプレイヤーが相互に、業務機能やデータを活用することが容易で、協業によるビジネスプロセスが切れ目なく素早く流れることが重要です。
    ハイパーオートメーションは、AIなどのテクノロジーを徹底活用し、組織の枠を超えて高度な自動化を実現します。インダストリー・プラットフォームは、企業の機能を部品化し、エコシステムにおける相互連携を容易にします。また、サステナビリティー・プラットフォームは、現代における企業の重要テーマとなったサステナビリティー要求に対し、業種横断で対処していく機能、企業内で素早く応えるための共通的な機能を提供します。

    自律的に判断し最適化する技術

  7. エンタープライズAI
  8. インテリジェント・データ・ファブリック
  9. ローコード開発/ノーコード開発
  10. 企業横断、業界横断での共創を支える高度な自動化や、機能の相互連携を実現するためには、人手を介さずに業務の最適化を自律的に行うことができるAIやデータ活用のしくみ、および部品化された企業の機能を迅速に組み合わせてシステム化できることが必要です。
    エンタープライズAIは、企業のあらゆる業務領域でAIが活用できるために、AI学習やAI運用維持の困難さを解決します。インテリジェント・データ・ファブリックは、AIをはじめとした幅広いデータ活用のために、企業が持つあらゆるデータへのアクセスを効率化します。また、ローコード開発/ノーコード開発は、ソースコードをほとんど、あるいは全く書かず、また、各種部品を組み合わせてシステムを開発する手段を提供します。

    IT環境にとらわれないための技術

  11. クラウドネイティブ・プラットフォーム
  12. IoT & エッジ
  13. オートノミック・セキュリティー
  14. 企業が提供するサービスや保有データを適切に共有し、幅広く利用するためには、IT環境による差異がその障壁となり、加えて高度なセキュリティーの確保が求められます。
    クラウドネイティブ・プラットフォームやIoT&エッジは、従来のオンプレミスやIoT、エッジコンピューティング環境においても、パブリッククラウドで発展してきた最新のクラウドネイティブ技術を共通して活用でき、あらゆるIT環境で自律的な運用を実現します。また、オートノミック・セキュリティーは、人がマニュアルで対応していた対策から、高度なセキュリティー対策が自律的で、自動的に実行される機能を提供します。

3つの“徹底”による変革の実現

リアルとデジタルが一体化する世界における業界変革は、さまざまな枠を超えて実現されることになります。業界を超えた共創や、創造性の領域にまで踏み込んだ自動化によって、トータルな観点から磨き上げられた顧客体験が提供されるとともに、技術の進化や共創によってサーキュラー(資源循環)型経済への移行がなされ、持続可能な社会実現に向けた取り組みが進んでいきます。
こういった業界変革の実現に向けては、3つの“徹底”が必要であると考えています。

  1. 徹底した、パーソナライゼーション
  2. 多様なデータをもとに、接点、コミュニケーションスタイル、情報量、タイミング等あらゆる体験の要素をパーソナライズします。また、付加価値の高い顧客接点業務に注力するため、自動化やデータ活用を組み合わせ、従業員一人一人にあった業務を作り上げます。

  3. 徹底して、高度化するAIを使いこなす
  4. 大量の学習データ作成など、AI構築の手間とコストを減らし、あらゆる業務領域でAIを活用します。また、社内のAIを可視化し、精度をモニタリングすることで、AIの信頼性を確保した上で、多様な業務に幅広く組み込み、自律化を加速させます。

  5. 徹底的に、外部の力と協業する
  6. 組織・企業を超えてビジネス連携するために、自社のワークフローを可視化のうえ業務機能ごとに部品化して、外との接続を容易にします。異業種間でのシームレスな連携を実現するために、業界を超えた標準規格のルール作りを積極的に推進します。

IBMでは、10の先進ITを活用し、以上の観点から業界変革が実現された数年後のビジネスの姿(ユースケース)を、11の業種ごとに定義しています。

【業界変革ユースケース】業界変革ユースケース

ボーダーレス時代のアーキテクチャー

3つの“徹底”によって先進ITを活用した業界変革を成し遂げるにあたっては、以下のようなさまざまな障壁を乗り越えていかなければなりません。

  • トータルな体験構築を阻む「組織の壁」
  • 変革の取組を阻む「マネタイズの壁」
  • 変化への対応を阻む「アジリティの壁」
  • AI活用を阻む「学習データとスキルの壁」
  • 接続を阻む「既存システムの壁」
  • 連携情報の活用を阻む「データ形式の壁」

これらの壁は、従来どおりの組織体制や業務のやり方のままデジタルに置き換える取り組みにおいては、直面することがなかった、あるいは避けて通ってきたものです。
しかしながら、リアルとデジタルが一体化し、企業横断・業界横断で創り上げられる、真に利用者の立場から最適化された体験が競争優位の源泉となる時代においては、いかにこれらの壁をいち早く乗り越えるかが成功へのカギとなります。

ITのあり方もまた、従来の枠にとらわれない共創による変革を推進するために、次の段階の進化が必要です。
IBMが考える、既存基幹システムをデジタル世界に融合させる「ボーダーレス時代のアーキテクチャー」は、数年後のビジネスの姿(ユースケース)と同じく11の業種ごとに定義されており、従来の枠を超えた共創や、新たな体験の実現を加速していきます。

二上 哲也

二上 哲也
日本アイ・ビー・エム株式会社
IBMコンサルティング事業本部
CTO執行役員 IBMフェロー

 

早川 勝

早川 勝
日本アイ・ビー・エム株式会社
IBMコンサルティング事業本部
金融インダストリーCTO
IBM Distinguished Engineer

 

森 祐之

森 祐之
日本アイ・ビー・エム株式会社
IBMコンサルティング事業本部
理事・パートナー
 

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