IBM Consulting
散在するモノづくり情報を「貯める・繋ぐ・活用する」
2021年12月21日
カテゴリー IBM Consulting | デジタル変革(DX)
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落合 範一
日本アイ・ビー・エム株式会社
IBMコンサルティング事業本部
CAD、BOMを中心とした製品/設計情報管理領域の課題を実務者目線で整理・検討し、パッケージ製品の隙間を埋める仕組みをソリューションコアとして適用することで解決に導く情報連携基盤構築の下記の経験を多数有する。
- IBM開発・製造拠点の技術管理部門の現場で実践したPLM経験を生かした製造業のお客様設計コンサルティング
- お客様設計現場で生まれた情報連携基盤ソリューションをベースに製造業を中心としたお客様の様々な課題解決に適用
モノづくりでは事業部や組織を横断した情報を活用することが多々あります。しかしながら、ツールや運用が様々であり、加えて事業・組織の再編や統廃合のたびにこれらの情報管理の仕組みを見直すことは困難を極めているのが現状です。例えば、部品製造会社とその部品を使用した製品を開発・製造する会社が統合されたケースでは、業務上、お互いの設計情報は密接な関係があるにもかかわらず、ツールや運用などの環境が異なるため、設計者が欲しい情報を漏れなくタイムリーに集める作業が属人的となり、業務に支障をきたすことがあります。EI-Coreは、そのような様々な情報を一元化して統合するのではなく、既存の情報を集めて、繋げて、活用することで「知の活用改革」を実現します。
取り組み事例
背景
2社の経営統合に伴い、お互いが持つ設計情報の相互活用が今後益々重要となり、経営統合後の新しい業務を支えるためにPDM環境のIT基盤統合を実現することが必要不可欠となりました。このような情報連携基盤を実現するための技術課題と連携方針を検討した結果、既存のPDM環境を活かした状態で業務に必要な情報を「繋ぐ」ことを基本方針としました。
業務を検証する
どのような業務シーンで、どのような情報が集まると、どのような期待効果があるのかを検証するために、ユースケースと関連情報を整理しました。その結果、設計者は品目を中心としたあらゆる関連情報を横断的に集めたり、EBOM/MBOMのような構造から関連性を辿り集めたりすることで日常の設計業務を行うことが多く、このような情報を集めることに様々な課題があり、それらを解決することが業務改革の一歩であることを客観的に評価します。
ユースケースの一例
関連情報の概要
情報連携基盤を実現する上でなぜEI-Coreが有効なのか?
EI-Coreは、Webアプリケーションを構築するためのフレームワークであり、情報を「貯める」「繋ぐ」「活用する」をコンセプトに様々な汎用機能(コンポーネント)をオープンな形で提供することにより、一社一様のシステム連携や、情報活用ユーザーインターフェースなどの様々なニーズに柔軟に対応できる利点があります。また、オープンテクノロジーを多く採用しているため、運用や拡張にも対応し易く、ベンダーロックの少ないソリューションであることから、将来の業務変革に伴う機能拡張にも対応し易いことが利点です。
EI-Core のコンセプト
実現を目指す情報連携基盤とは?
業務の検証を踏まえ、情報連携基盤で実現すべきゴールを設定します。
- 所在場所がわからなくても情報を横断して検索できる
- 業務で活用したい情報単位で探すことができる
- 検索した結果を絞り込み、比較することで業務に有効活用できる
また、ゴールを達成するためのシステムとしてはEI-Coreの柔軟性を十分に活かしたアーキテクチャーとして、繋げる機能をバッチ基盤、活用する機能をアプリ基盤として設計・開発し、加えてBOMのような大量の構成情報を扱ってもストレスのない高速レスポンスを実現するためにグラフ・データベースを採用するなど、一社一様のシステムを実現しています。
PDM情報連携基盤システム概要
業務と操作感に一体感を持たせるためのユーザーインターフェースとして、現在使用している連携元のシステム操作感の継承と新たな操作感を融合したデザインを検討することで直感的に利用できるような創意工夫をこらしています。
PDM情報連携基盤ユーザーインターフェース一例
同じ課題で困っていませんか?
モノづくりの環境において、情報活用改革に取り組む際になかなか一歩を踏み出せないことはないでしょうか?大局的に取り組むのは大変なため、直面している課題を局所的に対応するいわゆるパッチ的(絆創膏)な対応で満足していないでしょうか?改革は大きな効果が期待できますが、反面痛みも伴います。しかし、溜まっている情報は企業としての知の共有財産です。有効に活用するためのポイントは、一元化することに大きな労力を割くことではなく、既存の「貯める」仕組みと新たな「活用する」仕組みを分離して考え、それらを「繋げる」という発想です。その発想に基づけば「知の活用改革」の実現が前進するのではないでしょうか?
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