IBM Consulting
DX推進を支えるMicrosoft Azureイネーブルメント|人材育成
2022年09月09日
カテゴリー IBM Consulting | デジタル変革(DX) | 人材育成、適性配置
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IBMは30年以上に渡りMicrosoft社との協業を行っており、Microsoft社のGOLDパートナーとして認定されているが、2021年度よりこれを強化し、両社CEOのリードのもと戦略提携が急速展開されている。そのなかで特に注力しているのがIBMの業種・業務知見に基づくコンサルティングやシステム構築などのサービスと、クラウドビジネスでトップクラスのシェアを誇る『Microsoft Azure(以下、Azure)』の組み合わせである。このビジネス規模は戦略提携以来、驚異的な飛躍を続けており、Microsoft社とIBMの協業によるお客様のDX推進事例が次々と生まれている。こういったAzureビジネス拡大によるお客様への貢献を支えているのがイネーブルメント(人材育成の仕組み)である。本稿では、IBMがどのようにAzureイネーブルメントに取り組んでいるのか3つの具体的なポイントを紹介する。
資格取得推進
グローバルでは既に30,000以上のAzure資格を保持し、その数は継続的に増加している。IBMでは国外のグローバル人材をプロジェクトメンバーに迎えるスキームはAzureに限らず従来より定着しており、30,000のAzureリソースがプロジェクトを支える形が整っている。こういった資格取得の拡大は日本でも更に加速しており、取得にあたっては「Re-Skilling」「Cross-Skilling」プログラムを展開。例えば従来オンプレミスで経験を積んできた人材に学習時間と実践の場を提供することによりAzureへのスキル転換を図る「Re-Skilling」と、自社/他社クラウドの経験豊富な人材に更にAzureスキルも習得する機会を提供する「Cross-Skilling」の両輪でAzure人材拡大に注力している。こういった動きに更に加速をつけるべく、実務担当者だけでなく上位管理職も率先して資格取得推進を行い裾野を拡げている。
Enterprise Skilling Initiative(ESI)の積極活用
Microsoft社がパートナー向けに展開するESIで提供されるオンライン研修を活用し、実践力を高める取り組みも盛んである。例えば基幹系システムのサーバー1,000台以上をAzureに移行した大規模事例において、プロジェクトメンバーが実践知識を身に着けるのに非常に有効であったという報告が2022年4月開催の「The DX Forum」ブレークアウトセッション「マイクロソフトとIBMが描く金融機関向けDX戦略」でも共有された。プロジェクトスケジュールや採用するアーキテクチャ、メンバーのスキルレベルにあわせた最適な研修をいつでも受講することができるメリットは大きい。
「Microsoft Azure Fridays」研修のブランディング
もともとIBMでは金曜を知識習得にあてる「Think Fridays」が定着していた。これにちなみ、金曜ランチタイムを中心に手軽に受けられる「Microsoft Azure Fridays」を企画。今年度上期には全12回に渡り「Microsoft Azure Fridays」を開催し、延べ1,000人以上の参加者が業種や技術ごとにAzureの最新オファリングや事例を理解した。
続いて実践力獲得にフェーズを移し、「お客様からRFPが出た」シーンを想定してAzureの構成設計や見積を行う「Microsoft Azure Fridays演習編」のシリーズ展開を開始。下記のような工夫をこらし、本番さながらの演習を意識している。
- 模擬RFPのシナリオをアレンジすることで、演習難易度を初級~中級~上級にバリエーション化
- 演習の回答サンプルをコスト重視のケースや信頼性重視のケースなど複数準備
- 受講者が演習で作成した構成設計に対し、Azureアーキテクトが具体的なアドバイス実施。例えばPaaSを効果的に組み込むポイントについても実例から理解することができている。
また、これらの研修は全てオンデマンド研修としても整備し、必要な時にいつでも学べる環境を準備しており、ラーニングコンテンツから「Microsoft Azure Fridays」を検索すると様々な研修を見つけることができる。ブランディング以前のAzure研修はテーマ毎に随時開催していたが、「Microsoft Azure Fridays」により包括的な理解が定着し、直接の担当業務とは必ずしも直結しない研修も受講しやすい形を整えたことにより、知識の拡がり/底上げにも繋がっている。
おわりに
イネーブルメントは実践知識やスキルを身に着けるだけでなく、意識の上での「安心材料」の意味合いも大きい。「Azureをしっかり学んだ」という自負があるからこそ新しい機会にも積極的にチャレンジすることができ、結果としてビジネス拡大やプロジェクト品質確保に繋がるということは、昨年度のビジネス結果からも実証されている。IBMは歴史的に、自社クラウド・自社技術を強みにビジネスを展開してきたが、現在はその戦略に加え、マルチクラウド戦略にも注力しており、お客様のDX実現に向けAzureイネーブルメントの重要性は益々加速している。
寺澤 真紀
日本アイ・ビー・エム株式会社
IBMコンサルティング事業本部
ハイブリット・クラウド・サービス
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