社員が語る「キャリアとIBM」

デジタル社会を共創し、豊かな日本へ (上)

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社員が語る「キャリアとIBM」では、IBM社員のキャリアや仕事内容をインタビュー形式でご紹介します。
IBMコンサルティング事業本部 公共・医療・ライフサイエンス事業部 を統括している執行役員の浅野 正治さんのインタビューを、2回に分けて、お届けします。

浅野 正治
日本アイ・ビー・エム株式会社
IBMコンサルティング事業本部 公共・医療・ライフサイエンス事業部
シニア・パートナー / 執行役員

略歴:
1998年日本IBM入社。入社後は、医療機関担当の営業、営業部長、事業部長としてヘルスケア業界のお客様の課題解決を支援。
2012年からエンタープライズ事業本部にて、官公庁・自治体・医療・製薬企業の事業部をリードし、2020年4月には執行役員に就任。
2021年よりIBMコンサルティング事業本部にて、公共・通信メディア・公益業界におけるコンサルティング、システム開発、システム保守などのサービスビジネスを牽引し、多くの先進的成功事例を推進。

浅野さんは、公共・通信メディア・公益サービス事業部をリードしています。
まず、公共事業のうち、官公庁事業部のビジネスについてお伺いできますか?

官公庁事業の領域では、中央省庁やその外郭団体、地方公共団体、大学がお客様となります。

中央省庁のお客様には、デジタル変革のパートナーとして、お客様の業務を支える情報システムの高度化が大きなビジネス事業領域となります。
地方公共団体や大学のお客様向けには、IBMの持つ技術や専門性を活用したオファリングを用意し、ビジネスを広げています。

IBMでは、単なるコスト競争力ではなく、コストに見合うだけの価値をお客様にもたらすことをサービスとして重視しています。
例えば、お客様のシステムにおける利便性を考慮する際に、既存パッケージを単純に推奨するのではなく、ユーザー視点に立った共創ワークショップを通じて、専門のデザイナーがUI/UXをデザインします。

上流から下流までの多様な専門人材によるサービス提供が可能で、かつ自社でハードウェア、ソフトウェア、クラウドの全てを開発提供できるのは、IBMだからこそです。
公共事業チームでは、トータルとして価値を提供し、公共領域のお客様のデジタル変革を導いています。

では、同じく公共事業のうち、医療・ライフサイエンス事業部はどのような事業部でしょうか?

医療事業の領域においては、医療技術の急速な発展や健康意識の高まりの中で、世の中は人生百年時代と言われ、超高齢化社会を迎えています。
それに伴い、年々増加する医療費への対応、患者体験の向上や医療従事者の働き方改革への対応が求められています。
医療事業部では、これらの課題解決に向けて、テクノロジーを駆使した医療デジタル変革(DX)を実現し、未来の医療を創っていくことを目指しています。

ライフサイエンス事業の領域においては、パンデミックや製薬のグローバル化などを背景に、製薬会社を取り巻く環境は、近年稀に見る大きな変革期にあります。
この変革期の中で、ライフサイエンス事業部では、研究から製薬製造、そしてコマーシャルなどの各バリューチェーンに対して、DXを活用した様々なソリューションを提供し、製薬会社が持つ多様な課題を共に解決しています。

未来の医療DX実現のために、具体的にはどのようなサービスを提案しているのでしょうか?

様々な事例がありますので、一例でお伝えすると、病院の診療業務を支援する電子カルテシステムでは、各種の医療機器や専門システムなどと連携すると同時に発生するデータを一元管理し、医療従事者のデータに基づく診療(EBM:Evidence-Based Medicine)の支援に取り組んでいます。
また、業界ならびに業界横断でデータの蓄積や活用技術を用いた標準化、これをベースとしたヘルスケア・デジタルサービス・プラットフォームの立ち上げやヘルスケアサービスの推進を行なっています。

参考情報: 次世代型スマート・ホスピタル構想の実現に向け、ヘルスケアサービス向けデジタルサービスの情報基盤の構築を開始

医療事業は、新型コロナウィルス感染症の影響も大きく受けた領域でもありますよね?

新型コロナウイルス感染症の蔓延により、患者様と医療従事者の対面活動の制限や、情報収集におけるデジタルチャネルへの移行が必要となりました。
これらにより、医療情報担当者(Medical Representatives、以下MR)に求められるスキルの変化など、コマーシャルモデルの変化も起こっています。

IBMでは、ニューノーマル時代でも、患者様への正確な情報提供を行うMR変革を支援するため、AIやDXを活用し、環境変化に順応した新たなコマーシャルモデルの実現を支援しています。
また、製薬会社では、グローバルかつスピードを要する薬制要件対応や個別化医療シフトや新製品上市などの生産業務の増加や複雑化により、生産や労働環境への大きな変化が起こっています。
このような変化に対し、製薬会社は、安定した医薬品供給が求められており、サプライチェーン管理は急務となります。

IBMは、こうした製薬会社のサプライチェーン課題に対しても、DXによる製薬製造スマートファクトリーソリューションを推進しています。

参考情報: 中外製薬と日本IBM、生産機能の新しいオペレーションを支えるデジタル基盤を構築

IBMは、公共事業部で支援する官公庁関連のビジネスにおいても、お客様から多くの支持を受けています。IBMが特に支持される理由は、どのような点だと考えていますか?

デジタル庁の動きに代表されるように、日本政府はデジタル変革へと大きく舵を切っています。
官公庁のお客様と会話をしていても、これまでの延長ではない変革への強い意欲を感じます。

IBMは、世界で110年以上、日本でも80年以上の歴史を持っていますが、その歴史は「変革」の歴史です。
お客様からは、「IBMが自社の変革をどのように推進してきたのか」、「IBMグローバルでの多様なデジタル変革の実績や成功要因について教えて欲しい」と多くご要請いただきます。
特に、官公庁のお客様には、ICTの変革だけでなく、組織や業務変革を含む最適なデジタル変革を相談するパートナーとして、大きな期待をいただいていると考えます。

IBMが持つ多様な技術や知見を用いて、この期待に応えていくことが大きな使命だと感じています。

官公庁向けに支援しているサービス事例を教えてください

政府のデジタル変革の中でも、私たちが特に注目しているテーマは、「データ・ドリブン(データ駆動型行政)」です。
官公庁のお客様は、多くのデータを蓄積されていて、これを業務活用することで、行政効率を高め、より質の高い行政サービスを実現することにつながると考えています。

官公庁のお客様では、なかなか具体的な実例として紹介することが難しいため、ある省庁のお客様として事例を挙げさせていただきます。
ある省庁のお客様には、基幹システムの刷新にあわせて、単に定型帳票類を効率的に出力するだけでなく、職員の皆様が業務やスキルに応じて柔軟にデータ活用できるプラットフォームの構築、高度なデータ活用に向けたAIの導入、国民の皆様とのコミュニケーション強化という「データ・ドリブン」の包括的な提案を行いました。

現在IBMでは、それぞれのシステム導入や支援のサービスを実施しています。
この取り組みは、IBMグローバルの官公庁を担当しているチームから見ても、「非常に先進的である」と評価されています。
こうした取り組みを良い事例として、多くの官公庁領域のお客様にも共創したいと考えています。

参考情報: 独立行政法人中小企業基盤整備機構事例

浅野さんが目指している官公庁領域の未来を教えてください

IBMに限らず、ICTが持つ様々な価値や先進的な技術を最大限に活用する上で、残念ながら、官公庁の調達や契約の仕組みが制約になっている面があると思います。
その中で、お客様が発注やベンダーによる請負という形態に留まらず、様々な関係性の中で、「公共サービスの共創が進んでいく未来」に期待をしています。

官公庁には優秀な人材が多数いらっしゃいますが、デジタル技術の進化や貢献領域の広がりは急速で、お客様が方針を考え、ベンダーに委託して進めるというやり方だけでは、十分な活用はできなくなると考えています。

公平性や手続きの公正性といった大前提はありますが、政府とベンダーが知恵を出し合って優れたデジタル技術サービスの適用を行い、民間ベンダーには貢献に応じたリターンが得られるような共創型の関係性が生まれてくることを期待しています。
日本でも人材のリボルビングドア(官公庁と民間企業との間で人材が流動的に行き来する仕組み)の議論が始まってきていますが、こうした人材の交流とキャリアの多様性も、未来に向けて大事な動きだと考えています。

「デジタル社会を共創し、豊かな日本へ (下)」に続く


インタビュー・執筆:小出 沙織
Global Executive Recruiting Lead, APAC & Japan
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