IBM Sustainability Software
EAMの勘所: 第3回 設備階層の決め方
2014年06月14日
カテゴリー IBM Sustainability Software | 設備保全・高度解析
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使える保全管理システムと使えないシステム
EAMの勘所とは
企業資産管理を円滑に行うために「EAMの勘所」と題して定期的にコラムを掲載していきます。
第3回目は「設備階層の決め方」に関して、設備台帳の構築時の留意点などを、Maximo営業部の清野よりご紹介いたします。
保全管理システムではシステムの構築にあたり、設備台帳を整理します。通常設備台帳は以下のように何らかの形で存在します。
- 紙ベースの台帳
- Microsoft® ExcelやMicrosoft® Accessのデータベース
- 現状の保全管理システム
ではこのデータを直接新しく構築する保全管理システムに入力して良いか?というと必ずしもそれが正しくない場合があります。通常、標準化を行ってい ない設備台帳には様々な”粒度”のデータが登録されています。ある管理グループは機器単位で登録していますが、別なグループでは部品単位に登録しているか もしれません。
従ってEAMの導入に際して、これら設備データの”粒度”をそろえる必要があります。この作業を怠ると、部門単位では効率的なデータ管理と思えても、調 達、在庫管理など企業レベルでのデータの活用にそぐわない場合も発生します。また各工場間などの保全管理の評価の際、設備の捉え方を標準しないと、単純に 比較を行うことが出来ない場合も出てきます。
企業ワイドの資産管理システムの導入での設備台帳の構築では以下の点に関して留意すべきです。
- 設備の標準化を行うため検討チームの立ち上げ。以下の担当者の参加を要請する。
- 保全管理者:保全を行う視点から設備を捉える
- 設備技術者:設備の特性や構造など、技術的な視点から設備を捉える
- 在庫管理者:在庫管理の立場から設備を捕らえる
- 購買管理者:調達管理の立場から設備を捕らえる
- 経理(原価計算)担当者:原価計算、固定資産管理の立場から設備を捉える
- 情報担当者:EAMパッケージの立場または情報基盤的観点から、設備台帳の計算機資源を考慮する(CPU速度、Diskサイズなど)
- 工場間を比較するための主要な評価指標(Key Performance Indicator:KPI)を定め、KPIの分析レベルに応じた設備の階層を検討する。
- ロケーション(場所)や設備階層の作成方法に関して一定のルールを決まる(例:最大の階層の数など)
- 設備ID及び設備名称の設定方法にルールを設ける。
(1) 意外な落とし穴
設備台帳を作成する際に、階層や名称付けのルールを決めて作成を始めると、以外に非常に細かな階層まで設備台帳を作成してしまうケースがあります。 また標準化を進めるあまり詳細すぎてデータの作成が実質上進まない問題に直面したりします。例えば、設備階層標準に3階層と決めたとするとその階層は以下 のようになります。
階層 | 呼び方 | 説明 |
---|---|---|
1階層目 | 設備 | 設備全体を現します。例えばボイラーを例に取ると、ボイラー全体を設備と考え登録します。 |
2階層目 | ユニット | 設備を構成するユニット(子設備)です。燃料供給ポンプや循環システム、燃焼システムなどがユニットになります。 |
3階層目 | 交換部品 | ポンプを構成するベアリングなど、既製品として購入できるような部品を意味します。 |
ここで、ある設備はユニット単位で交換を行うため3階層目の交換部品の定義が実質的に必要ありません。しかし単純に3階層でのデータ作成を依頼する と、保全員または技術者のみなさんにはデータ作成の意図が十分伝わらず苦労して3階層目のデータを作成してしまいます。せっかく作成した交換部品データで すがユニット単位で交換してしまうためそれらの部品に関しては1度も保全の指示がでないことになり、無駄作業となってしますのです。
またもう一つの問題として「ボイラー」システムを設備とするがボイラーを構成する「ポンプ」を設備とするか?という問題があります。これは設備を管 理している担当者の定義や感覚に因るところが多く、このはじめの設備に定義よって2階層、3階層目のデータの”粒度”に違いが発生します。
(2) 「名前づけ」の重要性
通常、設備の名前をつける場合「モータ」「ポンプ」「バルブ」など設備分類する名称を使用する場合が一般的です。しかしこれだけだと目的とする設備 を探し出すためにはまだまだ検索を行わなければならないでしょう。また設備名称を担当者が勝手に入力させると「アイソレーションバルブ」「アイソレーショ ン・バルブ」「アイソレーション バルブ」など様々な表現方法を使用してしまいます。これでは目的とするデータを検索することは厄介です。そこで以下のよ うな名称の決定ルールを使用すると効果的です。
設備分類名+設備機能名+代表的に設備仕様1+設備仕様2+…
例えば
「遠心ポンプ 復水回収系 1000RPM+200PSI+240VA」
というような名称にすると、機器の大まかな特性がわかるだけではなく、機器仕様からも検索が可能になります(例:PSIを検索すると、なにか圧力に関連する機器の一覧を見つけることができます)。
(3) 意外と便利は「英数字コード」
よくシステムを選定する時に「日本語のコードが使えること」という条件が入っている場合があります。これは一件「そのほうが良いに決まっている」と 思うのですが実際はそんなことはありません。著者はコードに関しては英数字を使用することをお勧めします。とくに入力する場合が多いコードは半角性数字を 使用すべきです。以下その理由を述べます。
現在のコンピュータで日本語を扱い場合の最大の問題点は「日本語入力における仮名漢字変換」です。例えば作業指示書のステータスを「承認済」に変更することを考えます。実際のこのようなコードを入力する必要がある場合、
[shouninzumi](11文字)+変換キー+候補選択
となります、これが「承認済」を「APPR」と定義すれば4文字の入力で終了です。人間は無意識での学習能力があるため多少長めの英数字コードでも繰り返し利用することで、比較的容易に記憶され、最終的に効率が良くなります。
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