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エッジにおけるリアルタイム分析の実現をIBM Cloud Satelliteが支援

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この投稿は、2021年2月26日に、米国 IBM Cloud Blog に掲載されたブログ(英語)の抄訳です。

ソリューションを迅速にかつ大規模に配布できる方法とは

エッジ・ネットワークで使用されるデバイスの数は、年々指数関数的に増加し続けています。ある調査によると、2022年末までに、生成されるすべてのデータの75%がエッジで収集、分析、対応されるようになると予測されています。このような規模と量に対応して作業を行うためには、企業のIT戦略の中でストリーミング分析ソリューションがいわば当たり前のようなものになる必要があります。そして、定義上、これらのソリューションは非常に低いレイテンシーで動作しなければなりません。

データ分析の結果をミリ秒以上で返すということは、すなわちその瞬間に迅速な選択をする必要があります。そのため、結果に依存するようなユーザー体験では遅すぎるかもしれません。例えば、商店街を歩く歩行者への小売店からの連絡を、歩行者がさらに商店街を先に進んだ後に受信した場合、意味がなくなってしまう可能性があります。また、より深刻なケースとして、故障しそうな医療機器の予測分析機能がメンテナンスを勧めるアラートを送信する前に、すでにその医療機器は使用されてしまっている可能性もあります。

多くのビジネス・アプリケーションでは、非常に低いレイテンシーで運用する必要があるだけでなく、現地の金融規制に準拠するために、エッジでデータを処理する必要がある場合があります。

あらゆる規模の企業が、経済市場全体からの圧力などにより、競争上の必要性としてクラウド技術を採用するようになっています。ビジネス目標を達成するためには、地域をまたがって事業を展開する大企業は、特に、レイテンシーとデータ保管の要件を満たすエッジでスケーラブルなソリューションを実現するクラウド・ベースの戦略を立案することが課題となっています。

1つのアプローチとして、複数のクラウドを採用することで、地理的な拡張性ならびに柔軟性を確保し、ビジネス・ニーズを満たすことができます。しかし、さまざまなクラウドの利用に伴い、その運用管理は複雑になります。実際、運用は、顧客に新しいアプリケーションを体験してもらい、価値を提供することよりも優先される可能性があります。

さらに、オンプレミスでITを構築している企業の多くは、社内のスキル不足や、高いセキュリティー・リスクにより、ワークロードをクラウド・プラットフォームに移行することに消極的です。彼らにとっては、アプリケーションの一部をクラウド上で最新化して、オンプレミスの強化されたシステムに接続するというハイブリッド・ソリューションの構築は適切かもしれませんが、、このようなハイブリッド・クラウド・アーキテクチャーは、エッジを利用した場合の低レイテンシーとローカルでのデータ管理といった要件を満たしていないことが多いものです。

 

必要な場所で分散クラウドを活用する

分散クラウドは、ハイブリッド・クラウドの制約とマルチクラウド戦略の複雑さに対する新たなソリューションです。分散クラウド・アーキテクチャーでは、ユーザーはオンプレミス、パブリック・クラウド、エッジでクラウド・サービスを柔軟に利用することができます。

IBM Cloud Satellite は、IBMにおける分散クラウド・サービス・ソリューションです。IBM Cloud Satelliteをご利用のお客様は、クラウド・サービスを保守する負担を負うことなく、柔軟にクラウド・サービスを利用することができます。IBM Cloud Satelliteには、すべての環境、つまり「ロケーション」と呼ばれる場所へのアクセスとアイデンティティー管理が備わっています。Satellite Linkは、チームが独自のネットワーク・ポリシーを実行するための安全なトンネルの機能を提供します。IBM Cloudの単一の管理画面では、複数のロケーションをまたがって実行されているすべてのサービスとアプリケーションを管理することができます。チームは同じビューを使用してプロビジョニングとデプロイ機能を管理します。

 

エッジにおけるストリーミング分析ソリューションのスケーリング

あるシナリオを考えてみましょう。WorkSafe社は、作業現場で動作する職場安全ソリューションを提供しています。人工知能ソフトウェアを介して、ビデオ・カメラが訪問者のヘルメットの有無を監視し、ヘルメットをかぶっていない場合には、システムが警告を発して立ち入りを妨害します。システムの低レイテンシー要件を満たすためには、ビデオ・データが生成されるとすぐに処理する必要があります。

COVID-19 パンデミックの発生に伴い、 WorkSafe 社の顧客は、健康ガイドラインに対応したコンプライアンスの実施に焦点を当てたソリューションにするようWorksafe社に依頼しました。この変更点には、さまざまな移動のルールを考慮した監視なども含まれていました。これにより、カメラは現場の人と人との距離を判断し、安全な距離を保つルールに違反した場合に警告を発することができるようになり、感熱カメラを追加したことで、AIソフトウェアが従業員の体温を瞬時に検出するようになりました。

こうした新しいユースケースに対応したソフトウェアを開発したWorkSafe社は、IBM Cloud Satelliteを使用して、初期に行ったワークスペース・セーフティー・ソリューションと同じ方法で顧客企業に展開しています。Red Hat OpenShift クラスターは、各サイトでコンテナ化されたソフトウェアを受信するように設定されています。顧客は、既存のユースケースをサポートするソフトウェアに加え、新しいソフトウェアを実行するために OpenShift クラスターを拡張することを選択します。ビデオ・カメラが解析ソフトウェアの両方のバージョンを実行しているサーバーにデータを送信した場合、システムは同時に両方の安全ユースケースに関連するルールに従うことができます。Cloud Satelliteの単一の集中管理コンソールにより、すべてのアプリケーション・アクティビティーを包括的に管理することができます。。

 

パブリック・クラウドをエッジに

ますます拡大するデジタル・ビジネスの最先端でソリューションを提供する企業は、クラウド・プロバイダーのデータセンターがどこに所在しているかにかかわらず、パブリック・クラウドのメリットを活用する必要があります。具体的には、IT戦略はこれらの要件を満たす必要があります:

  • データのレイテンシーと保管要件を満たす。
  • エッジでのソフトウェアの一貫した展開、運用、管理。
  • 数ヶ月ではなく数日程度で既存のアプリケーションを変革。
  • クラウド・ネイティブの開発と運用を行う社内スキルが不足していても、ソリューションの配信を拡大可能。

IBM Cloud Satelliteは、どこでも一貫したクラウド・サービスを立ち上げ、使用し、監視し、管理できるようにすることにより、こうした要件を満たしています。

 

分散クラウドについてより詳しくは

なお、分散クラウドやIBM Cloud Satelliteについてさらに詳しいことは、こちらもご参照いただけますと幸いです。

  • IBM 分散クラウドお役立ち情報: こちら
  • IBM 分散クラウド Cloud Satellite 公式サイト: こちら

分散クラウドやIBM Cloud Satelliteに対するご質問やご相談がございましたら、ぜひ公式サイト(こちら)からお寄せください。


翻訳:IBM Cloud Blog Japan 編集部

*このブログは、2021/2/26に発行された“ Real-Time Analytics at the Edge(英語)”の抄訳です。

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