デジタル変革(DX)
DX Drive Program – 5. 業界別アプローチ/アプリケーション
2021年01月20日
カテゴリー デジタル変革(DX)
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5-1. Materials Discovery/新規材料の探索
Materials Discoveryの分野は、化学・薬品など直接のビジネスを行う業界のみならず、その材料を利用するビジネスを行う製造業・サービス業にとっても、SDGsを指向する環境の中、ビジネスの向上・拡大につながる重要な課題となってきています。
しかし材料探索は、これまで多くの場合その分野の専門家による技能と経験に大きく依存する方法で行われ、時間短縮と効率化が困難なものでありました。これに対しIBM ResearchではAIを幅広く応用して飛躍的に進歩させる技術の開発を行ってきました。
AIの応用
IBM Research Materials Discovery技術として主に2つの手法を開発しています。
一つ目の手法は素材に関する膨大な文献や実験データを読み込んでデータを理解・体系化したうえでユーザーが求める新材料を推測・提案します。読み込まれたデータはその意味構造を反映したknowledge graphに処理され、グラフ構造に表現された情報の関連性も活用して、利用者の要件を満たす材料の検索や、組み合わせの推論ができます。
もう一つの手法は、膨大な物質の化学構造と物性値の関連性を学習してユーザーが求める物質の“化学構造式”を生成します。化学構造のうちどの部分、どの形状が物性値の特徴量となるか見出し、逆に求める物性値につながる特徴量から新規の化学構造を生成します。
クラウド上で実行可能なソフトウェア・エンジン
IBM Researchでは上記二つの手法の技術をクラウド上で実行可能なソフトウェア・エンジンに実現し、この技術を利用、ビジネスにつなげたいお客様と共同研究を行うプログラムを行っています。
お客様の興味のある分野の公開の文献、データ、化学材料、あるいはお客様独自のそれらの情報をもとに実際にモデル化・トーレニングを行い実行します。
IBM Research
持続可能な社会の実現に向けての活動が社会的にも企業としてもますます重要になる中、IBM Researchでは5年後の技術の目標を示した5 in 5 に表明したように、新規の材料の探索にIT技術を応用することを推進しています。
温暖化対策としてのCO2を吸収して処理する材料、収率の向上に役立つ肥料、エネルギーの効率利用につながる新しいバッテリー材料などを量子コンピュータ、AIを化学・素材技術に応用して進めていきます。
テクノロジー&IPビジネス開発 BDE
酒井丈嗣
5-2. R&Dプロセスのデジタル化推進のアプローチ
素材産業のR&D部門では、今DXを重要な課題として取り組んでいる企業が増えています。例えば、R&D部門の中にDX推進室を設けたり、R&D部門をあげてデータサイエンティストを育成する取り組みが、近年特に顕著になっています。
R&Dデジタル化の悩みのタネは「実験データ」
DXを推進するにあたって、「自社の実験データを有効活用したい」という要望をよくお聞きします。一方で、この課題に取り組み始めている企業様からは、よく以下の悩みを伺います。
- 研究員の実験ノートやPCにあるデータを、どう収集すればよいかわからない
- テキストデータや画像データ、官能評価データなど実験データの種類が多すぎて、どう整理すればよいかわからない
解決に向けた2つのヒント:「プロセスマネジメント」と「データマネジメント」
素材メーカーのR&D部門で実験データを活用するには、データを収集、整理、管理する基盤が必要となります。そのためにはR&Dのプロセスを整理し(プロセスマネジメント)、各プロセスで発生するデータを収集、整理、管理する取り組み(データマネジメント)が必要となります。
- プロセスマネジメント:R&Dの業務プロセスは属人的なところが大きく、マネジメントが難しいと考えられています。しかし、プロセスの体系化無しにはデータマネジメントを考えることができないため、まずはR&Dプロセスを型でとらえることが必要になります。
- データマネジメント:R&Dにおけるデータマネジメントでは次の3つの観点に留意する必要があります。
- 発生したデータをデジタル化する仕組み
- データ同士を紐づけるためのルール
- データ利用者に向けたデータの見せ方
自社の実験データを活用するにはデータを収集、整理、管理する基盤が必要となります。これから検討を始める場合は、「プロセスマネジメント」と「データマネジメント」の観点でプロセスとデータの整理を始めてみるのはいかがでしょうか。
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