Db2
Db2 on CloudでDR機能を持つ高可用性データベースを自動作成する
2022年07月06日
カテゴリー Db2 | Hybrid Data Management | IBM Data and AI
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はじめに
IBM Cloudが提供するフルマネージドサービスであるDb2 on Cloudは、一つのリージョン(例えば東京リージョン)において、アベイラビリティ・ゾーンをまたがったマルチゾーンの高可用性 (HA)構成をとることができます。
それに加えて、異なるリージョン間で、データベースを簡単に複製できる災害復旧 (DR)機能も提供します。
これはBCPの検討において非常に有用で、万一メインのサイトが自然災害などの外的状況の影響を受けた場合においても、クリックするだけでDRサイトに切り替えてデータベース・サービスを継続することができます。
メインのサイトへの切り戻しも、同様に簡単に行うことができます。
災害復旧(DR)機能
DRを検討する場合、日々更新されるデータベースをどのように複製・同期するかが課題となります。
フルマネージドではないデータベースの場合、災害対策のためのデータ伝送を実現するためには、以下のような方法を検討する必要があり、設計・構築に大きなワークロードを見積もる必要があります。
- ストレージ機能によるディスクのスナップショットの伝送
- データベースのバックアップ・イメージおよびログ転送によるデータ伝送
- データ・レプリケーションを行うソフトウェア機能によるデータ伝送
Db2 on CloudのDR機能を使うと、リージョン間のデータベースの同期が、フルマネージド・サービスとして自動で行われます。
ユーザーがDRサイトのために、上記の設計・構築を行う必要はありません。
わずか数回クリックするだけで簡単に設定することができ、即時に利用を開始することができる、Db2 on CloudのDR機能の利用方法を、実際の画面で見ていきましょう。
簡単なセットアップ手順
以下をIBM Cloud上で行います。
1. メインのサイト(例:東京)でDb2 on CloudのHAプランを選択
2. DRサイト(例:シドニー)を追加
3. DRサイトへの切替:シドニーをメインへ
4. 復旧:東京を再びメインへ
1.の手順により、以下の3つのノードで構成される、Db2 on CloudのHAプランが東京リージョンに作成されます。
2.の手順により、DRノードを追加した以下の構成が作成されます。
メインのサイトとDRサイトは切替が可能であり、メインのサイトが稼働している間は、DR側を読み取り専用データベースとして活用することも可能です。
1. メインのサイト(例:東京)でDb2 on CloudのHAプランを選択
IBM Cloudのカタログ・メニューより「Db2」を選択、「ロケーションの選択」に「東京」を選びます。
Db2 on Cloudには、無償でお試しいただけるLiteプランに加えて、高可用性(HA)構成も選択できる「スタンダード」と「エンタープライズ」のプランがあります。
どちらのプランでも、HA構成に加えて、DR機能を利用できます。
今回は「スタンダード」プランを選択します。
DR機能は、HAプランのオプションとして選択可能であるため、「High Availability Configuration」を「YES」とします。
「作成」を押すと、Db2 on CloudがHAプランとして東京リージョンに作成されました。
参考マニュアル・ページはこちらをご参照ください。
2. DRサイト(例:シドニー)を追加
1.の手順により、わずか数十分で高可用性データベースが作成できました。
作成されたDb2 on Cloudを操作するGUI画面であるコンソールを開きます。「管理」メニューの「災害復旧(Disaster recovery)」ページより、さらにDR用ノードをオンデマンドで追加することができます。
DR ノードのデータセンター(例では、シドニー)を選択し、「災害復旧の有効化 (Enable disaster recovery)」をクリックします。
自動的にDRサイトへのデータベースの同期が始まります。
「災害復旧(Disaster recovery)」ページに、新しい DR ノードと、デプロイメントが正常に行われたことを示す通知が表示されます。
シドニーにDRノードが追加されました。
DRノードは、メインのサイトが稼働している間は、読み取り専用データベースとして活用することも可能です。
参考マニュアル・ページはこちらをご参照ください。
3. DRサイトへの切替:シドニーをメインへ
ここで東京に大災害が発生したと仮定して、DRサイトであるシドニーをメインに昇格させることとします。
DR サイトへの切替を行うために、シドニーのDb2 on Cloudコンソールを開きます。
「管理」メニューより、「災害復旧(Disaster recovery)」ページで、現在「スタンバイ(Standby)」と表示されているシドニーのDb2 on Cloudの、「プロモート(Promote)」ボタンをクリックします。
DRサイトであるシドニーに正常に引き継がれました。
通知が表示され、この時点でシドニーが「アクティブ(Active)」になり、「プロモート(Promote)」ボタンが東京 (この時点で「スタンバイ(Standby)」) に移動しました。
これで、シドニーでデータベースの継続利用が可能となり、サービスを継続することができます。
4. 復旧:東京を再びメインサイトへ
東京が災害から復旧し、メインサイトを再び東京に戻すことにします。
この場合も、3.と同様の手順で切替を行うことができます。
東京のDb2 on Cloudを操作するGUI画面であるコンソールを開きます。
「管理」メニューより、「災害復旧(Disaster recovery)」ページ上で「プロモート(Promote)」をクリックします。
東京に正常に切り替わりました。
通知が表示され、この時点で東京が「アクティブ(Active)」になり、「プロモート(Promote)」ボタンがシドニー (この時点で「スタンバイ(Standby)」) に移動しました。
再び東京でデータベースの継続利用が可能となります。
まとめ
今回はDb2 on Cloudの、クリックするだけでセットアップできるDR機能をご紹介しました。
フルマネージドのDb2 on Cloudデータベースを使うことにより、BCP構成も簡単に実現できるメリットを活用できます。
高性能なDb2を使って、DRも簡単に実現できる、可用性の高いシステム構築をご検討ください。
なお、Db2環境は、IBM CloudのDb2 on CloudのLiteプランを使用すれば無料で試すことができます。
無料プランではHA、DRプランは選択できませんが、手軽なSQLの実行・テスト環境に最適です。
ぜひ皆様実際に使ってみていただければと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
平野 真弓
日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジー事業本部 Data & AI
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