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【Webセミナー抄録】新しい顧客体験を新しいチャットボットで創りませんか?

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3月16日(水)12:00-13:00に開催されたWebセミナー「新しい顧客体験を新しいチャットボットで創りませんか?」の抄録です。

顧客の動向

コロナ禍の長期化により、顧客が関心を持つエリアは、自宅からリーチできる程度の生活商圏が中心となりました。これまでショッピングを目的とした移動が制限され、移動時に立ち寄れる導線商圏が主流となりました。そして隙間時間が増えたことにより、お手元商圏が大きく拡大しました。その商圏における顧客に対しては、リアルとネットの利点を融合させた体験設計が重要であり、そして新しいサービス利用の鍵は使い勝手です。

パンデミックの発生が、デジタル化のスピードを大きく変え、ビジネスはデジタルに変わっています。このデジタル化により、新しい経済競争が生まれ、顧客と商品・サービスの提供側の関係性はより深くなっています。その競争に勝ち抜いていくためには、お手元商圏ではアクセス容易性、各商圏を統合した商圏ではライフサイクル全体の顧客体験、そして顧客のパーソナライズが欠かせなくなっています。

チャットボットへの期待と現実

今、チャットボットはかなりの企業で利用されるに至っていますが、なぜチャットボットが求められているのでしょうか。それは、

  • 気軽に問い合わせができる
  • 時間や曜日に縛られない
  • 返事が早い

ということです。つまりアクセス容易性なのです。

ガートナーのアナリストは、今稼働しているチャットボットの90%は、2023年末までに破棄されるだろうと述べています。今のチャットボットには2つの大きな課題があります。それは、

  • 簡単かつ素早く始められるが、質が伴っていない
  • ストレスのない顧客インターフェースの実現には、膨大なコスト・時間がかかる

ということです。

 

チャットボットの定義

これまでのチャットボットは、「質問に回答するためのチャットボット」であると定義できます。事前に決定された一連の質問と回答でプログラムを構成するもので、質問を理解できなければ行き詰まってしまいます。それに対して、これからのチャットボットは、「インタラクティブなチャットボット」であることが期待されています。人の質問の本質を判断できるソフトウェアです。

チャットボット市場で、IBM Watson Assistantはリーダーのポジションにあります。それはなぜでしょうか。IBM Watson Assistantは、「質問に回答するためのチャットボット」を開発するツールであるとともに、「インタラクティブなチャットボット」を開発するツールでもあるからです。そして、販売、マーケティング、サービスといった顧客のライフサイクル全体に対応できる、パーソナライズされたチャットボットを、顧客が容易に利用できるようにするからです。

 

チャットボットの活用事例

「真実の瞬間」。顧客満足の実現を考えるために重視されているキーワードの1つです。企業が顧客と接する僅かな時間のことを指します。ここで真実の瞬間における事例を3つご紹介します。

 

第1の瞬間:商品購入を決断する瞬間
「オンライン対話型取引の現場」事例 –
オーストラリアのオンライン専業銀行 UBank

 ビジネス・チャレンジ

  • 市場投入までのスピードと、アイデアから実装への移行における障壁を取り除く。
  • データを活用して顧客にとってより強力にし、チームの生産性を向上させたい。

 ソリューション

  • RoboChat:住宅ローンの申し込みプロセスを支援するための仮想アシスタント
  • Mia:300以上の異なる質問に答えることができるインタラクティブエージェント
  • RoboBrain:従業員の生産性を向上させるAIを活用した情報調達ツール

 効果

  • 8割が満足
  • 1日あたり約86件の質問に回答
  •  オンライン申し込みフォームを使用したコンバージョンが15%増加
  • 手動検索時間を33%短縮

 

第2の瞬間:再購入を検討する瞬間
「アフターサービスの現場」事例 –
ドイツの電力および天然ガスサプライヤー Eprimo

 ビジネス・チャレンジ

  • 顧客がますますデジタルチャネルに目を向ける中、顧客が期待するインスタントサービスを提供できるダイレクトデジタルチャネルを提供したい。
  • エネルギー供給業者切り替えの機会を活かしたい。

 ソリューション

  • Sophie:エネルギー供給、気候変動政策に関する一般的な情報提供や、顧客への請求期日、検針結果、サービスの変更などの質問に回答できる会話型AIエージェント

 効果

  • 毎月70,000件以上の問い合わせに回答
  • 2年間でデジタル・インタラクション率が40%から75%に増加

 

第3の瞬間:購入後に他者に勧める瞬間
「カスタマー・サービスの現場」事例 –
イギリス ヨーク大学

 ビジネス・チャレンジ

  • 大規模な大学にとっての課題の1つである学生の満足度の向上を模索
  • バイリンガルの教育機関として英語とフランス語を同等に機能させる

 ソリューション

  • SAVY:大学生活、キャリアアドバイス、および学術アドバイスに関連する質問で学生を支援できるパーソナライズされた仮想アシスタント

 効果

  • 50,000人以上の学生ジャーニーを支援
  • 運用開始から1年以内に84%の信頼率に到達

 

IBM Watson Assistantとは

これらの事例におけるソリューションとなったIBM Watson Assistantは、ユーザーとコンピューターの対話を可能にする開発ツールです。チャットボットなどでユーザーの自然言語での問い合わせを理解し、適切な回答を返します。

ただし、Watson Assistantが目指しているのはありきたりなチャットボットではありません。プロアクティブでパーソナライズされたサービスを提供することで、企業のブランド・ロイヤルティーの向上や顧客体験の変革を支援する企業向けAIエージェントです。

ここではWatson Assistantの特長を、AIと、統合の切り口でいくつか示しています。AIは回答品質の向上を図るとともに、少ないデータで学習し運用の負荷を軽減します。また、人の意図を理解し引き出すために教えるAI機能が充実しており、これらのAI機能が、人のコミュニケーションにより近づいたバーチャルエージェントを実現します。また、チャネルの統合やアプリケーション連携により、検索を実現するWatson Discoveryや人間のエージェントにつなぐことができます。枠を超えることで期待を超える顧客体験を実現します。

 

人のコミュニケーションに近づいたWatson Assistant

Watson Assistantは、人のコミュニケーションにより近づいているわけですが、マーケティング業界では、「ヒューマニティー(人間らしさ)」が注目すべきトピックとして取り上げられ、デジタル上では主要なニーズの1つになっています。現代マーケティングの父・フィリップコトラーは、テクノロジーとヒューマニティーの融合の必要性を説いています。ある調査では、世界の6割が「企業がテクノロジーに集中しすぎて人的要素を持った接点を失った」と人間らしさの欠如について言及しています。さらに、日本はデジタル上で最も人間らしさを感じていない国であり、人間らしさを強化するきっかけとなるのは、パーソナル、思いやり、自然なコミュニケーションなのだそうです。

Watson Assistantの人間らしさを取り込んだAI機能とはどのようなものでしょうか。

 

必要なことを上手に聞き出します。

これはスロット・フィリングという機能で、全ての情報を収集し終えてはじめて、次の処理に移ることができます。

 

話がそれてもうまく本題に戻します。

脱線という機能で、ある話題から別の話題に脱線した場合に、その話題に付き合いつつも、自然と元の話題に戻ってこられる機能です。会話中に話の流れや思いつきで、どうしても話題がそれることがありますが、それた会話が終わった後、IBM Watson Assistantは本来の話題に関する追加質問をすることができます。

あいまいなまま会話を終わらせません。

ユーザーの発言にあいまいさがある場合、最適な意図を判断できないことになりますので、明確化という機能は、機械学習を使用していくつかの選択肢を提供し、ユーザーのインプットを求めることができます。それにより、「わかりません」といった応答や人間のエージェントへの引き継ぎのケースが少なくなります。

稀な質問もその場で回答します。

できるだけ持ち帰らずに、その場で回答できることは信頼につながります。稀な質問にまで備えて回答をきっちり整備することは事実上困難です。そのとき、IBM Watson Discoveryのサーチスキル機能をチャットボットに統合できますので、多様な質問に回答を返すことができるようになります。

 

チャットボットのその先〜将来像〜

新たな次元での顧客理解の競争が生まれる中で、顧客理解を深め、高いレベルの顧客エンゲージメントを達成した企業だけが、DX時代に新しい収益を獲得する機会を手にするわけです。

エントリーソリューションであるチャットボットが、顧客との対話を実現することにより、自社の信頼が高まります。そして、信頼の高いチャネルが構築できれば顧客データの収集も容易になります。顧客とのコミュニケーション・データは、一元管理します。また、インバウンドの効率化で、リソースをアウトバウンドへ再配置することによっても、顧客とのコミュニケーションデータを蓄積できます。そのデータから、分析し予測することができます。売上拡大につなげることも可能となります。

エントリーソリューションから将来像への拡張を容易にするのが、ローコード・ノーコードの世界です。ノーコードは、ソースコードの記述を全く行わなくても開発ができるものです。そのため、プログラミングに関する知識が不要です。また、ローコードはゼロからプログラミングするよりも、圧倒的に少ないプログラムコードでアプリケーション開発ができるものです。外部のソフトウェアと統合することもできるため、広範なアプリケーション開発に活用できます。

Watsonアーキテクチャーは、2018年頃までは、顧客とのマルチチャネル化することは困難でした。また、社内のシステムやコンテンツに連携するには、追加開発が必要でした。結果的にサービスの市場投入期間に課題がありました。今日のWatsonアーキテクチャーは、Watsonの統合機能により、チャネルの統合やアプリケーション連携はローコード・ノーコードです。この新しいアーキテクチャーにより、枠を超えることで期待を超える顧客体験を実現します。

チャットボットの活用は、ブランド戦略に貢献します。AIの活用に積極的なカスタマー・サービス部門は、組織がより革新的というイメージが定着します。先見の明のあるインダストリー・リーダーというプラスのイメージを創出できます。AIの高度化は一朝一夕にはできないことが社会的に認知されていることも、インダストリー・リーダーとしてのイメージを高めています。もう1つは、チャットボットによるキャラクターの創出が、顧客から親しみを持って受け入れられます。これまで馴染みの薄かった、あるいは心理的なハードルがあると捉えられていた企業にとっては、顧客との距離を縮めるきっかけとなります。

 

IBM Watson Assistantのご利用について

次に、お客様のチャットボット推進状況ごとにIBM Watson Assistantのご利用方法をご紹介します。

 

パターン1

チャットボットの構築実績と想定するユースケースがないケースです。このケースでは、ワークショップで、ビジネスゴールの明確化、現状の把握、ユースケースの絞り込み、ソリューションの具体化を行うことから開始することをお勧めします。

 

パターン2

チャットボットの構築実績が限定的、DXメンバーの充実度も限定的であるものの、想定するユースケースがあるケースです。このケースでは、お客様のIBM Watson Assistantの実装と検証を、弊社もしくは弊社パートナーが支援いたします。

 

パターン3

チャットボット構築実績があり、DXメンバーも充実している、想定するユースケースもある場合です。この場合は、お客様リードでIBM Watson Assistantを評価いただくことをお願いします。IBM Cloudは60日間のSasSフリートライアルがありますので、IBM Cloudにアカウントを登録してご利用ください。

 

以上が抄録となります。本内容に関するお問い合わせやご相談は、こちらのフォームにご記入ください。

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