IBM Cloud Blog
第1回 『コンテナ共創しませんか?』
2021年05月25日
カテゴリー IBM Cloud Blog | IBM Partner Ecosystem
記事をシェアする:
コンテナ共創センターブログ始めます。
こんにちは。コンテナ共創センターを担当しております佐々木です。
コンテナ共創センターブログでは、コンテナ/Kubernetesを中心とするクラウドネイティブ技術をテーマとして、技術アドバイザーによる最新技術情報や参加企業の取り組みに関して情報発信していきます。
第1回は、コンテナ共創センターを開設した背景について、IBM自身のコンテナ/Kubernetesの取り組みとともにご紹介します。
コンテナ共創センターとは?
コンテナ共創センターは、システム・インテグレーター(情報システム子会社含む)および独立系ソフトウェア・ベンダー(ISV)を対象とした体験・共創型の新しい技術コミュニティーです。
参加企業との「共創」をコンセプトに掲げ、日本におけるコンテナ/Kubernetes技術を活用したソリューションやソフトウェアの拡大と、クラウドネイティブ・エンジニアの育成に取り組んでおります。
日本IBMは、技術コミュニティを運営しながら、クラウドネイティブ・エンジニアによる技術アドバイスとコンテナ開発のためのコンテナ・プラットフォームを無償提供しています。
なぜ日本IBMはコンテナ共創センターを立ち上げたのか?
2021年4月1日、日本IBMはコンテナ共創センターを開設しました。
IDC Japanの調査によると、2021年、コンテナはキャズムを超え本格的な普及期に突入したと言われています。今後、業種を問わず多くの企業が導入を進め、既存アプリのコンテナ化が本格化することが予測されています。
「企業におけるコンテナ/Kubernetesの導入はついにキャズムを超え、国内も本格的な普及期に突入した。今後、さらに導入プロジェクトの需要が拡大していくことが予想されるが、それに対してエンジニアの供給が追い付かなくなり、プロジェクトに影響が出てしまう企業が増えていくと考えられる。ベンダー/SIerとユーザー企業の双方において、早急にコンテナ/Kubernetesエンジニアの獲得と育成を行っていく必要がある」
出典:2021年 国内コンテナ/Kubernetesに関するユーザー導入調査結果を発表 – IDC Japan(15 Apr 2021)
図1. コンテナの導入状況に関するユーザー調査結果(調査年別)
一方で、国内SIer/ISVを始めとするエンジニアの多くが、既存のレガシーシステムの維持運用、レガシーアプリケーション開発運用にワークロードが割かれているという現状があります。
エンタープライズにおけるソリューションやソフトウェアの大部分は、従来からの仮想マシン(ハイパーバイザー型仮想化技術)を前提として実装されおり、近年の急速なビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応することが困難になってきています。
コロナ禍によりDXの緊急性はさらに高まっており、日本企業のITシステムを担うSIer/ISVには、これまで以上に変化の激しいビジネスニーズに迅速に対応できる開発手法や柔軟なインフラ運用が期待されています。
コンテナ共創センターは、今後エンタープライズITにおいて「必須科目」となるであろうコンテナ/Kubernetesテクノロジーのさらなる普及を目指します。
国内SIer/ISVのソリューションやソフトウェアのコンテナ化の促進とクラウドネイティブ・エンジニアエンジニアの育成を通じて、日本企業のDX推進に貢献していきたいと考えております。
IBM自身のコンテナ/Kubernetesの取り組み
IBMは、次世代の開発・運用プラットフォームとして、かなり早い段階からコンテナ/Kubernetes技術にコミットしています。2015年よりGoogle、Red Hat、VMwareらとともにCNCF (Cloud Native Computing Foundation)の創立メンバーとして参画しております。
現在、IBMの製品・サービスのポートフォリオは、エンタープライズ対応の Kubernetes コンテナプラットフォームであるRed Hat OpenShiftが中核を担っております。
図2. IBMのハイブリッド戦略
長年IBMが提供してきたWebSphere、MQ、Db2、API Connectといった主要なミドルウェアやソフトウェアは、クラウドネイティブなプラットフォームに合わせて再設計されており、IBM Cloud Pakというソフトウェア製品としてコンテナ提供されております。
IBM Cloud Pakは、Red Hat OpenShiftと完全に統合されているため、開発したアプリケーションは、Red Hat OpenShiftが稼働するあらゆる場所のあらゆるクラウドに導入できます。
IBMのパブリッククラウドであるIBM Cloudは、Red Hat OpenShift/Kuberentesのフルマネージドのコンテナプラットフォームを提供している上、190 を超えるサービス/APIの大半がKubernetes上のコンテナとして稼働しています。
このように現在のIBMのハイブリッドクラウド戦略は、コンテナ/Kubernetesがベースなので、プラットフォームを凌駕する完全に統合されたハイブリッドクラウド環境により、自動化、セキュリティ、および容易なスケーラビリティに最適化された柔軟な環境を提供します。
企業はパブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミス、エッジ、分散クラウドのいずれにおいても、ベンダーロックインされることなく、スケーラビリティ、アジリティ、選択肢、パフォーマンスを可能にする相互運用性を得ることができます。
競争から共創の時代へ、参加企業が続々と!
2021年4月に開設したコンテナ共創センターですが、おかげさまで50社を超える企業から参加表明をいただいております(2021年5月現在)。
図3. 参加企業一覧(※2021年6月1日現在、ロゴ使用可能企業のみ抜粋)
コンテナ共創センターに参加いただくことで参加企業にはさまざまなメリットがあります。
自社ソリューションのコンテナ化を目的とする企業:
- コンテナ化を早期に実現できる
- 選定ソリューションについてクラウドネイティブ・エンジニアによる個別技術アドバイスを受けられる
- コンテナ移行のための最新のコンテナ・プラットフォームが無償で提供される
- コンテナ共創センター会員相互の知見や事例を取り入れることにより効率的なコンテナ化が期待できる
- コンテナ化されたソリューションはIBM Webサイト上「ソリューションポータルサイト」で紹介される
- 会員相互のエコシステムにより営業面・開発面でシナジーが期待できる
- コンテナ化以降のモダナイゼーションへの道筋も用意されている
- ソリューションの運用自動化や販売拡大に向けて、Red Hat社のISVパートナー支援プロジェクト「Red Hat Kubernetes Operator Project」やマーケットプレース「Red Hat Marketplace」と連携できる
クラウドネイティブ人材の育成に取り組みたい企業:
- 「コンテナ共創センター勉強会」でエンジニアのスキルアップができる
- ベンダー固有技術に依存しない「オープンな勉強会」が開催され、スキルレベルに応じて学べる
- クラウドネイティブをテーマとした最新技術情報が入手できる
- フルリモート前提のバーチャルなコミュニティのため、地理的な制約なく全国のSIer/ISV様が参加できる
- 社内外のゲスト講師による登壇、コンテナ共創センターでの成功事例・知見の共有により、参加者のモチベーションを維持できる
- コンテナ化・マイクロサービス化のノウハウを、IBMミドルウェア製品等のモダナイズ事例で学べる
- エンジニアの現在の専門領域に加えて、DXに求められる「新たなスキル」の獲得が期待できる
- IBM Cloudを初めて利用する場合に、「総額年間12,000ドル」相当の利用クレジットが付与される
- エンジニアが「手を動かして学ぶ」機会を、ご負担少なく享受いただける
IBMは、DX成功のポイントは「共創」にあると考えております。DXを自社だけで実現しようとするのではなく、競合他社と協調領域を形成することや、DX 推進にあたり対等な立場で伴走できる企業とのパートナーシップを構築することが重要である考えています。
コンテナ共創センターへの参加は公式サイトよりお申し込みいただけます。参加費用は無料です。多くの企業のご応募お待ちしております。
コンテナ共創センター勉強会のご案内
コンテナ共創センターのコミュニティ活性化とエンジニアのスキルアップを目的として2021年4月より毎月最終水曜日18:00-「コンテナ共創センター勉強会」を開催しております。
コンテナ共創センター勉強会では、これからコンテナを利用する方や既存のアプリをコンテナ化したい方向けに以下のような内容をお届けしていきます。
- コンテナを基礎から学べるワークショップ
- クラウドネイティブをテーマとした最新技術情報を共有
- 業界の第一人者によるセッション
- コンテナ共創センターとしての成功事例・失敗事例の紹介
- コンテナに関わる全ての方のコミュニケーションの場
コンテナ共創センター勉強会(WebExによるリモート開催)は、Conpassよりどなたでも登録できますのでぜひご参加ください。
多様な業界のSIer/ISVのエンジニアが集い、コンテナ/Kubernetesを中心としたオープン、ハイブリッド、エンタープライズなクラウドネイティブ技術を共に学ぶことができます。
自社のソリューションやソフトウェアにおけるコンテナ技術の活用に向けてともに取り組んでいきましょう。
佐々木 敦守
日本アイ・ビー・エム株式会社
テクノロジー事業本部
クラウドプラットフォーム・テクニカルセールス部長
2006年、日本IBM入社。プライベート・クラウドの開発/運用に従事後、2014年より、IBM Cloudのテクニカル・セールスを担当。シニア・アーキテクトとして企業のクラウド活用を推進。『「仮想化」実装の基礎知識(リックテレコム)』、『絵で見てわかるマイクロサービス(翔泳社)』など共同執筆。CKA認定。
使いやすさに寄り添った文書検索AI「InsightBuddyX」登場(empowered by watsonx)
IBM Partner Ecosystem
生成AIを使用したPoCの3分の2以上が、サービス実装に至らず終わってしまっていると言われています。そして原因の多くは、「精度」「コスト」「運用」面での課題を解消するまでのハードルがまだまだあるから、とのこと。 当記事に ...続きを読む
「IBM Partner Plus Global Award」優勝を果たした、人事向けソリューション評価版がついに提供開始
IBM Partner Ecosystem
「素晴らしいエンジニアを見つけられるか否か。日本ではそれが最も大きな課題となっています。特に、我々のような中堅・中小企業にとっては、それが会社の命運を握っていると言っても過言ではありません。この最重要課題の解決策を、私た ...続きを読む
日本Maximoユーザー会2024@天城ホームステッド 開催レポート
IBM Partner Ecosystem, IBM Sustainability Software
2024年10月15〜16日の2日間に渡り、IBM天城ホームステッドにて1年半ぶりの「日本Maximoユーザー会」が開催されました。 石油・化学企業、産業機械製造企業、エネルギー企業、エンターテインメント企 ...続きを読む