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キー・パートナーに訊く | 毛利 茂弘(株式会社システムリサーチ)

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株式会社システムリサーチでPM/Tech Advisorとして活躍する毛利茂弘氏に、日本IBMで中部地区パートナーを担当する大石正武が訊きます。

(写真左)毛利 茂弘(もうり しげひろ) | 株式会社システムリサーチ 製造システム事業部 製造システム1部 シニアマネージャー
(写真右)大石 正武(おおいし まさたけ) | 日本IBM エコシステム共創本部 広域共創ビジネス推進部 中部地区パートナー担当

 

<もくじ>

  1. 1. 毛利さんとIBMのつながり
  2.  2. IBM Championになったきっかけ
  3.  3. 時代へのすばやい対応 | watsonx.aiを用いた業務改善PoC
  4.  4. 叱咤激励 | 枠を超えた情報共有の仕組みを

大石: 今朝は僕ら2人とも散々でしたね…。
でも気を取り直して。今日はどうぞよろしくお願いします。

 

毛利: まさか朝から90分も閉じ込められてしまうとはね…。
とはいえ、その時間で今日なにを話すか整理できたので、よしとしましょう。それではお願いします。

 

(著者註: この日の朝、お2人とも事故で緊急停車した新幹線に閉じ込められてしまったそうです。)

 

大石: 改めて、毛利さんとIBMの関係がどうスタートしたのかから聞いてみたいと思ったのですが、いいでしょう。

 

毛利: わかりました。では、長い歴史を手短に話しますね。

スタートは2000年台の中盤なので、IBMさんとももう20年近くなりますね。弊社システムリサーチは、当時の「GBS(グローバル・ビジネス・サービス)」、現在のIBMコンサルティングのコアパートナーとして、ある大型プロジェクトのデリバリーを行っていました。そこに僕もプロジェクトメンバーとして参加していました。

そのプロジェクトは超重要な社会インフラ・システムの刷新で、絶対にシステムダウンが許されないという厳しい環境だったんですが、IBMさんのメンバーもシステムリサーチもそしてお客様側も、本当に文字通り「ワンチーム」となってどんなトラブルも乗り越えていました。僕の人生の中で、あのプロジェクト以上の規模とチャレンジは経験していませんね。

それ依頼ずっと、セールス活動でもデリバリー活動でも、IBMさんとはさまざまなプロジェクトをご一緒させてもらっています。

 

大石: ありがとうございます。私が最初に毛利さんとお会いしたのは2010年代の終わり頃でしたよね。

 

毛利: いや、違いますね。大石さんと初めて会ったのはもっと前です。
2015年でした。何かの機会で、大石さんが当時担当されていたお客様をご紹介いただいたのが最初でした。

 

大石: あれ、そうでしたっけ? 覚えていないや…(汗)。
あ、思い出しました。毛利さんに弊社のクラウド関係のセミナーにご登壇いただいたときですね。

 

大石: そのころはまだIBM Champion*にはなられていませんでしたよね。

* IBM Championとは、テクノロジー分野で活動される世界中の技術者や開発者、ビジネスリーダーの中から、IBMのソリューションやソフトウェアに積極的に関わり優れた貢献をしていただいた方を、IBMテクノロジーの「オフィシャル社外貢献者」として認定し表彰する制度です。

 

毛利: そうですね。2021年が最初で、今年で4年連続となりました。

 

大石: IBM Championになられたのには、なにかきっかけがあったんですか?

 

毛利: ぶっちゃけ、当時弊社を担当されていたIBMの担当営業の方に「毛利さん、IBM Championになってくださいよ! 推薦しておきましたから。」って言われたのがきっかけで…「なんやねんチャンピオンって!?」って状態でした。その後、申請に必要な書類とかを用意するのに難儀しましたね。

そんなスタートだったので、最初はよくわからないままにやっていた部分が大きかったんですが、少し時間が経ってくると意識が変わってきました。その価値がわかってきて、今では「来年もIBM Championでいられるように」と、自分から率先して活動しています。

 

大石: 毛利さんにとっての、IBM Championの価値はなんでしょう?

 

毛利: それはやっぱり技術者としての信頼性ですかね。ビジネス面で一目置いてもらえるところがありますから。

ただ残念なのは、それがセールス関連の部分だけにとどまっているということ。僕はたまたまIBMのセールスチームともIBMコンサルティングを中心としたデリバリーチームとも付き合いがあるんですが、IBMコンサルティングの方たちはまったくと言っていいほどIBM Championのことを知らないですよね。

ここはもっと上手く連携して欲しいなと思います。この状態だと、デリバリーを通じてお客様にIBM Championの価値を訴求するのは難しいです。

 

大石: おっしゃる通りですね…。社内にフィードバックします。

 

大石: 私が毛利さんと親しくなったのは、「コンテナ共創センター*」の立ち上げ時に、システムリサーチ様と毛利さんに参加依頼をさせていただきご了承いただいてからですよね。

* コンテナ共創センターは、日本IBMによるコンテナ利用拡大を目的とした、共創を促進するエコシステムです。最新技術のタイムリーな適用を可能とするモダナイゼーション基盤であるコンテナのさらなる普及を目指し、検証用コンテナ基盤の無償提供や技術アドバイス、コンテナ技術を基礎から学べるオープンな勉強会などを中心に活動しています。

参考 | コンテナ共創ブログ記事

 

IBM Innovation Studio 東京のExpert Zoneに置かれた「AIブロック」を手にする毛利氏と大石

 

毛利: そうですね。そのくらいから「込み入った話」をお互いするようになりましたし、面倒なお願いごとをされることも増えましたね。まあその分、こちらも面倒なお願いをするようになりましたけどね(笑)。

真面目なことを言うと、以前の大石さんは案件ベースの営業さんだったので、話す内容も案件ベース止まりでした。でも今は、パートナー企業と一緒にソリューションを考えたり、市場に対応した戦略策定みたいなところから一緒にやる仲間になったということです。

 

大石: システムリサーチ様は時代への対応スピードが早いですよね。毛利さんがいるからですか?

 

毛利: たしかに僕は率先して新しい技術を試していきたい性質なんで、多少は寄与できているかもしれませんね。

先日も新しい取り組みとして、IBM Watson Discoveryの検索機能と生成AIのwatsonx.aiを用いた業務改善のPoCに取り組みました。求めていた情報を見つけるまでの時間を約半分にすることができたので、これは実装に向けて今後も進めていく予定です。

先日PoCの詳細が米国のIBMサイトにアップされたのでご覧いただき、詳しく知りたいという方はご連絡いただきたいですね。

参考 | Streamlining information search using gen AI

 

大石: これはすばらしいですね。他にも社内で新しい取り組みを何かされていますか?

 

毛利: 新しいテクノロジーや製品の勉強会的なものは随時開催しています。IBM製品もあればそれ以外のものも。。。

これはその性質上しょうがないところもあるんですけど、その中身をしっかり理解できているサービスやテクノロジー以外、どうしたってデリバリーチームは使いたがらないですよね。

少なくとも、「こういうときはどうすればいいでしょうか?」と聞ける相手がすぐ近くにいるか、あるいは調べたときすばやく解決策に近づけるか。これがサービスや製品の選択に大きな影響を与えます。

こうした点からも、社内にエキスパートを増やすことが大事だし、エキスパートへの道のりとして社員たちがどんどん発信してける場を増やしたいんですよ。これって、自社内だけじゃなくて、社会的にも必要なことだろうと思っています。

 

毛利: デリバリーや社内の取り組みの話ともつながるのですが、システムには障害が起きないのが一番だけど、お客様の立場で考えると万一起きたときにしっかりサポートしてもらえるのか、どういう体制が組まれるのが一番重要ですよね。それが訴求力や信頼感につながります。

「そこをしっかりお願いしますよIBMさん!」というのはもちろんなんですけど、さらにそこから一歩踏み込んで、その先の企業や製品の枠を超えた情報共有の仕組みにもIBMさんには取り組んで欲しいですね。

たとえば、製品別だけじゃなくて「社会的な役割り別」で必要な情報が得られるように。情報が広く行き渡るように。そうした取り組みを行うことが、ゆくゆくはIBMのバリューになっていくと思いますし。

 

大石: チャレンジングですけど、たしかにそういう仕組みは必要ですね。
今だと、IBMのパートナー企業向けに限定公開されている「Seismic」というシステムや、あるいは、広く誰でも使えるものだとQiitaとかになりますかね。

 

毛利: そうですね。ただどちらも今のままでは不十分かな。
そうだ。ついでに大石さんへの叱咤激励もいいですか?

 

大石: もちろんです。…ドキドキしますね…。

 

毛利: IBMは昔から製品はいいのにあまりアピールが上手くないですよね。「だからこそ、このIBM Championプログラムじゃないですか〜」と言われるのかもしれませんけど、古くから歯痒い思いをしてきた者として、そこで負けてしまっているところをどう取り返すのかはもっと考えて欲しいなと思っています。

新たに日本市場に製品を投入するなら、「日本ではこういう使い方が合いそう」という情報も一緒に伝えて欲しい。それから「ビジネスに特化した」という言葉もよく聞くけれど、じゃあ具体的にどんなビジネスのどんな場面を想定しているのかも。

それがあれば、IBM Championたちももっといろんなアイデアを発揮しやすくなると思うので。

 

大石: わかりました。僕の力だけでは難しいところもありますが、来週の中部地区IBM Championにお集まいただく会でも、みんなでそれについて議論しましょう。

 

毛利: はい。この取り組みを若手技術者の刺激になるものへとつなげていきたいんで、ぜひお願いします。それが最終的にお客様のために、そしてその先の社会のためにつながっていくでしょうから。

 


TEXT 八木橋パチ

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