IBM クラウド・ビジョン
どこからでも業務を継続できるDesktop as a Serviceをポスト新型コロナ時代の標準デスクトップに
2020年10月30日
カテゴリー CIO|CTO向け | IBM クラウド・ビジョン | クラウド戦略立案
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新型コロナ問題の先行きが不透明な現在、事業継続施策の一環として、感染症や自然災害などのリスクに対応し、自宅などからリモートでオフィス業務を行えるテレワーク・ソリューションを本格的に導入しようという機運が各業界で高まっています。実際に今回の新型コロナ禍以前より同ソリューションを導入していた企業では、比較的、スムーズにテレワーク体制への移行を実現できたようです。具体的にどう対応されたのでしょうか。
天野 朋樹
日本アイ・ビー・エム クラウド&コグニティブ・ソフトウェア事業本部
テクニカル・セールス
IBM CloudのIaaSのテクニカル・セールスとして、年間100社ほどのお客様へのVDIやDaaSを中心とする提案活動に従事。これまで、オンプレミスとクラウド、お客様の業種、利用製品を問わず、数々のVDI案件をデリバリーリーダーやテクニカル・セールスとしてリードしてきた。近年は金融機関向けのインターネット分離基盤やDaaSを利用したオフショア開発基盤、製造業向けのGPUを用いたCAD VDI基盤などの案件も担当している。
新型コロナで多くの企業が出社自粛。オフィス業務の継続が困難に
新型コロナウイルス問題の長期化を受け、多くの企業でテレワーク環境の本格的な導入の検討が進んでいます。その中で多くの関心を集めているのが、RDS(リモートデスクトップサービス)やVDI(仮想デスクトップ)、VDIのクラウド版であるDaaS(Desktop as a Service)などのテレワーク・ソリューションです。複数のクライアントPCのデスクトップ環境をサーバー上に集約し、データセンターなどで一括運用しながらネットワークを介した利用を可能にするテレワーク・ソリューションは、パンデミック下でオフィスと同じデスクトップ環境を利用して安全に業務を行ううえで最適だからです。
日本企業では、以前からVDIなどの仮想デスクトップ・ソリューションの活用が行われていましたが、テレワークを目的に導入していた企業は多くはありませんでした。金融機関での活用は知られていましたが、その目的は機密情報を保護するためのセキュリティー対策であり、オフィスでの利用に限定しているケースが大半だと思われます。
そのような中で新型コロナウイルスの感染が拡大し、人の移動に大きな制限がかかった結果、多くの企業では何が起きたでしょうか?
まず多数の社員が出社を控えることとなり、自宅からリモートで会社のシステムにアクセスしなければ業務を継続できなくなりました。VDIを導入していたもののオフィスでの利用に限定していたお客様は、自宅などからインターネットを経由してアクセスする際のセキュリティーや、会社のPCを自宅に持ち帰って利用する場合の紛失リスクと社外利用におけるセキュリティー、さらには社員の私物PCを利用する際のセキュリティーの確保などで奔走されたのではないでしょうか。
さらに対応が難しいのが、高性能なGPUを搭載したワークステーションでCADソフトやデータ分析ソフトを利用しているケースです。大型のワークステーションは社員の自宅に持ち帰るのは難しく、VDI化したり、あるいはDaaSに移行したりしてリモート・アクセスで利用可能にするといった対応が必要になります。業務で使用しているソフトウェアによってはベアメタルなどの専有環境が必要となり、利用できるソリューションは大きく限定されます。
オフショア開発用のDaaSを社内/協力会社向けに拡張し、プロジェクトに適用
ここで、以前よりDaaSを利用している企業が新型コロナ禍にどう対応したのか、金融機関のお客様のケースを簡単にご紹介します。
IBMでは、以前よりDaaSとして「VMware Horizon on IBM Cloud(以下、VMware Horizon Cloud)」を提供しています。国内のある金融機関様は、同サービスを自社システムのオフショア開発での利用を目的に導入されました。
金融機関様をはじめ、日本企業のシステム開発プロジェクトはオンサイトが主流ですが、海外の開発会社がオンサイトで参加するのは困難です。当初はそうした会社の開発メンバーが専用線を介してリモートでセキュアに開発/テスト用サーバーにアクセスして作業するためにVMware Horizon Cloudを利用されていましたが、その後、国内支社の開発メンバーなどにまで活用範囲を拡大していこうと検討されていた矢先に新型コロナウイルスの問題が発生。2月、3月と感染が拡大していく中で社員の出社を控える流れとなり、それが開発プロジェクトの進捗にも大きな影響を与えます。
そこで、社員が自宅から開発プロジェクトを継続できるよう、VMware Horizon Cloudの利用範囲を拡大することを検討されますが、金融機関様の開発プロジェクトは規模が大きく、IBMなどシステム・インテグレーターの社員も多数参加しています。そうした協力会社も含めてプロジェクト参加者が利用する環境をどう準備するかが大きな課題となったのです。
幸い、VMware Horizon CloudにはインターネットからSSLでセキュアに接続する機能が備わっており、これに2要素認証の仕組みなどを追加実装することにより、短期間で社員が自宅からセキュアに利用できる環境を整えられました。現在はこの環境の利用範囲を順次拡大しているという状況です。
DaaSをポスト新型コロナ時代の標準デスクトップに
以上は開発プロジェクトの例ですが、新型コロナ禍以前よりDaaSを利用されていたお客様では、オンサイト中心で行っていた業務を、比較的スムーズにテレワークに対応させることができました。
現在も新型コロナウイルスの感染拡大に収束の兆しが見えず、今後も別の感染症や大規模な自然災害などで人の移動が大きく制限される事態が起こりえます。加えて、多くの企業で人手不足が叫ばれる昨今、オフィスと同様のデスクトップ環境を自宅などからリモートで利用可能なテレワーク・ソリューションは、柔軟なワークスタイルによって人材を確保し、パンデミックや災害時などの事業継続性を高めるうえで極めて有効なソリューションです。これをポスト新型コロナ時代の標準デスクトップ環境の1つとし、新たなワークスタイルの模索を検討されているお客様も少なくありません。
なお、テレワーク・ソリューションの検討に際しては、既存のデスクトップ環境との親和性が最大の選定ポイントとなります。例えば、多くの企業が利用するWindows 10などのWindowsクライアントOSに関しては、マイクロソフトのライセンス規定によりパブリッククラウドでの利用形態が限定されています。WindowsクライアントOSを前提にした業務アプリケーションを利用されている場合は、この点にご注意ください。
また、CADソフトやデータ分析ソフトをGPU搭載のワークステーションで利用されている場合は、上記のポイントに加えて高性能なGPUを利用可能であることも重要な選定ポイントとなるでしょう。
短期導入が可能な最新のDaaSソリューションをお客様専有のベアメタル環境で提供
IBMは、さまざまな業界におけるテレワーク需要の高まりにお応えするために、新たなDaaSソリューションとして「VMware Horizon Enterprise on IBM Cloud」の提供を開始します。同サービスでは、オンプレミス製品と同じVMware Horizon 7を、IBM Cloudのベアメタル・サーバー上でマネージド・サービスとしてご提供します。お客様専有のベアメタル環境であることから、WindowsクライアントOSを使い、オンプレミスと同様のデスクトップ環境をリモートでご利用いただけます。
また、ベアメタル環境として豊富なラインアップのサーバーをご用意しており、最新GPUを搭載したサーバー上でCADソフトやデータ分析ソフトなどをご利用いただくことが可能です。オンプレミスとのハイブリッドクラウド構成にも対応し、オンプレミスでVMware Horizon 7をお使いのお客様がリソース逼迫時や災害時のバックアップ環境として使うこともできます。2020年9月に開設したIBM Cloud大阪リージョンと東京リージョンを利用し、東西で災害対策構成を取ることも可能です。
多くのお客様の要件をカバーしたリファレンス・アーキテクチャーも提供しており、短期間で導入して利用を開始することができます。クラウドやVMware Horizon 7のライセンス提供、環境構築から運用まで、全てをIBMがワンストップでご支援いたします。
このほか、小規模での利用に適したWindows ServerベースのRDSや、リモート開発プロジェクト・ソリューション「オープンなクラウド開発・運用プラットフォーム」の提供も開始しています。既存のテレワーク環境の拡張やクラウド対応から新規導入まで、お客様のテレワークに関する課題は何でも私たちにご相談ください。
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