Data Science and AI
事例: シティが機械学習、NLP、AIで重要な内部監査を変革
2023年09月19日
カテゴリー Data Science and AI | データ活用とAI技術の実用化 | ビジネス・オペレーション | 銀行・証券
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読了目安3分 | 2021年7月 14日 Fritz von Bulow著
一見したところ、文書レビューとリスク評価の世界は、最新で最も輝くデータとAIツールでイノベーションを起こす次の大きなホットスポットには見えないでしょう。
しかしながら、シティではマーク・サビーノ氏が”未来の監査”と呼ぶ業務を構築しています。ここでは、IBM Watson Discovery、IBM Cloud Pak for Data、IBM OpenPages などの利用可能な最先端の機械学習、自然言語処理(NLP)、高度なアナリティクス・ソリューションが、銀行の2500人の監査人の日常業務を永遠に変えることになります。
内部監査 : イノベーターの遊び場
内部監査の革新責任者という肩書きがすべてを物語っています。サビーノ氏が20年以上にわたるシティでの長期在職を経て、その使命に乗り出したのは、およそ4年前のことでした。皮肉なことに、どの職務も監査には携わっていませんでしたが、内部監査には、社内全体から驚くほど豊富なデータが蓄積されていました。サビーノ氏にとってこの経験は、シティの他部門ではかつて見られなかったほど、予測能力を備えた、データを積極的に活用するための場所でした。
サビーノ氏と彼のチームは、AIと自然言語処理が監査人のワークフローで果たせる役割を想像することから始めました。テーマや洞察を明確にするため、以前よりはるかに大規模なデータセットを適用し、コントロールテストを拡張するためにその技術をどのように使用できるかを考えていました。
またサビーノ氏は、機械学習とAIを監査ライフサイクル全体に導入してビジネス・モニタリングを実施し、異常を発見、その新鮮な発見を用いてより効果的に監査を計画し、範囲設定とする方法についても考えていました。より大きな検出能力とデータ主導の洞察力を監査人へ与え、利害関係者のエンゲージメントとコラボレーションを強化する統合プラットフォーム上で、そのすべてを提供するように準備しました。
彼自身の言葉
あると便利なだけじゃない: ワークフローにAIを組み込む
シティは世界最大級の企業監査部門を有しています。そして、監査人は、その活動や成果を規制当局に報告する責任も担っているため、その規模と重要性を考えれば、サビーノ氏が導入する革新的な技術には、高度な監視の目が向けられるのも当然です。銀行の常設監査プラットフォームを置き換えるには、慎重な検討とテクノロジー・パートナーへの高い信頼が必要でした。Watsonのツールに慣れ親しんだサビーノ氏は、IBMへ3つの要を提示しました: 高度なアナリティクスとAIを導入した新しい監査プラットフォームが欲しいこと、使いやすいこと、そして業界最高であること。
どうやってIBMはシティのAIへの道を加速させたか?
2020年1月、IBMは5人のIBM社員と25人のシティバンク社員を集めたデザイン思考ワークショップを開催しました。それは信頼関係を築き、ビジョンを打ち出すのに十分なものでした。そこから、人、プロセス、プラットフォームを含むソリューションを構築し、請求可能な時間を数十万時間節約するプロジェクトが生まれました。ビジョンは十分に差別化されており、しかも実現可能なものであったため、シティはソリューションの導入と展開を進めることを選択しました。
このプロジェクトをサポートするために、IBMの技術的才能と業界知識を持った大規模なリソースが投入されました:
- IBM Data Science and AI Elite Teamは、ユースケースの特定とIBM Cloud Pak for Dataの価値の実証を支援
- IBM Expert Labsは、シティのIT組織とのインテグレーションを推進
- IBMのグループ会社であるプロモントリーは、規制要件に取り組んだ
手動プロセスの排除とデータ品質の向上
当初、IBM Cloud Pak for DataとIBM Open Pagesを通じて利用可能なIBMデータとAIソリューションを幅広く活用する3つのプロジェクトが生まれました。
- 最初のユースケースは、監査人がコントロール定義を分析し、5つの「W」(誰が、何を、いつ、どのように、なぜ)に基づいて採点するツールにアクセスできるようにしました。
- 2つ目のプロジェクトは、監査役がIBM Watson Discoveryを活用し、代理店と顧客との間で毎月行われる何千ものトランスクリプトの処理時間を短縮できるようにするためのものでした。
- 3つ目のユースケースは、IBM Watson Assistantを導入して、数百ページに及ぶ監査マニュアルの中から関連するコンテンツを特定し、監査人を支援するというものでした。
そして、リストはまだまだ続きます。というのも、IBMは、サビーノ氏のチームとAIイノベーション・スペース創設を支援し、彼らが新しい監査プラットフォームでWatsonのツールを使ってイノベーションを続けられるようにしているからです。こうした短期間でのさまざまな概念実証を実施することで、シティはIBMを監査改革のパートナーとしてだけでなく、AIのイノベーターとしても信頼するようになっていきました。
本記事でご紹介している、IBMの対話型AIソリューションのご紹介
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*本記事は、こちらのIBM blog (US)”Citi transforms critical internal audit with machine learning, NLP and AI”の抄訳となります。